日本の死者は半分に減らせた。戦犯はこのままでは厚労省だがここから巻き返せば大功労者

2日の厚労委員会で、「高齢者施設」が、重症者・死亡者発生の最大の発生源であることを明らかにした。

その後、後追いのような報道で、朝日日経が続いた。

朝日によれば「高齢者施設で2人以上が感染した集団感染は1176件、医療機関で992件。昨年10月末までの累計と比べて、高齢者施設で5倍、医療機関で3倍になった。一方、飲食店は1064件で2倍にとどまった。」とのこと。

そして、東京では、高齢者施設・医療施設で発生した患者の死者が今年1月からの死者全体の6割を占めているという驚くべき状況だ。

 

であるならば、高齢者施設での蔓延防止対策こそ急務。厚労省は、高齢者施設で定期検査こそ呼びかけてはいるが、文書を一本出しただけ。そして、今日の厚労委員会の質疑のために問い合わせたところ、各自治体での定期検査がどの程度行われているのか、厚労省はデータを持ちながら集計すらしていないことが明らかになった。

 

今日の厚労委員会の質疑で、このところ飲食店への厳しい言及が続く尾身さんに対し(以下発言については概要)、

「そのような状況であるのであれば、まずそこから手をつけるべき。高齢者施設への防疫対策(頻回検査)が最初にやるべきことでは?」

と質問したところ、尾身さんは

「ずっとそれも一緒に言っている。マスコミがそこは取り上げてくれない」

とのこと。いかにも派手なところ、自分が報じたいことしか報じないのが常のマスコミのやりそうなところ。

この点について、田村厚労大臣にも尋ねたが、

 

「ずっと通知出してるが、協力が得られない。検査して従業員が陽性になれば、濃厚接触者も自宅待機しなければならない」

 

とか出来ない言い訳ばかり。実態調査すらしていないのに、やる気がないだけでは?

厚労省や厚労大臣が、もう少し的確な分析をして有効な政策を取ってくれれば、高齢者・病院施設での施設が6割占めていたとの報道によれば、このコロナ禍被害も半分くらいに出来たのでは?

と思わざるを得ない実態が、今回及び前回の質疑であぶり出されてきていて、逆にとても残念です。厚労省、今からでもきちんとやってください。このままではあなた方が戦犯。しかし、ここからきちんと巻き返せば、大功労者です。

大坂府の感染者数増大は政治のせい?

一部野党とマスコミに取っては、新型コロナは格好の政権攻撃の材料。
そして、それは一部の地方自治体にも向けられている。
立民の党首が「まん防効果なければ内閣と大阪知事「辞職を」」(日刊スポーツ)と呼びかけたと報じられ、米山隆一元新潟知事は「維新を酷評…「口だけ勇ましくて実は全然問題を解決しない」」(デイリースポーツ)と発言したとのこと。

いずれの発言内容も扇動的な記事が売り物であるスポーツ紙にふさわしいレベルのものなので、真面目に対応するのもどうかとは思うが、新型コロナ問題をマスコミや政治が自己の利益のために利用することによって、まともな政策が取られにくくなっていることは間違いないので、簡単に反論をしておく。

今回の近畿圏での感染者数増大は、間違いなく英国型変異株の影響。
今、もっとも変異株の割合が高いとはっきりしているのが兵庫県。
なんと陽性者の8割が既に英国型変異株とのこと(NHK)。こうなると変異株というよりは主流株だ。

以下は厚労省発表の「都道府県別の変異株(ゲノム解析)等確認数)」(厚労省HPより)

 

圧倒的に兵庫県、大阪府が多い。英国型変異株は、感染力が強いと言われており、イギリスでは、相当強力な社会的距離政策が取られたにもかかわらず昨年12月から今年1月にかけてかなりの「波」を形作った。別にイギリス政府が悪くてイギリスで変異株が流行し、感染拡大が続いた訳ではない。
近畿圏で英国型変異株が流行したのも同じこと。大阪や兵庫が偶然に選ばれてしまったに過ぎない。

新型コロナウイルスも自然のなす技。残念ながら、現時点の人智では、人がコントロールできるものでないことは、日本だけでなく世界中の国が証明しているところ。
勿論、中国やニュージーランドなどの例外はあるが、それは100万人都市を予告なく封鎖して外出禁止をして数日で全員検査を行うなどの強権的手法や、事実上の鎖国政策など極端な政策のなせる技。
日本を含めた大多数の国ではそんなことはできないので、皆苦労している。

そんな中で日本は実はかなり健闘している。以下は発生当初よりの累計での分析。

 

感染者数、死亡者数共に主要国の10分の1以下の数字であり、政府や自治体が責められるような事実は存在していないことは明らかだろう。

一方で、新型コロナを政治利用することは国益を損なう。そして、国民を不幸にする。
マスコミも一体となって煽ることで否応なく国民を怯えさせてしまい、それが政権などの支持率に影響することによって政治を萎縮させてしまうからだ。
萎縮によりどうしても対策は保守的に、かつ過剰になりやすく、多くの人々の経済や精神を抑圧していく。この種の批判や煽りは、一見すると正義に映りやすく、それに反論するものはバッシングを受けやすい。
自然と大政翼賛会的風潮が醸成されていく。

真に国民の利益を考えるのであれば、批判ではなく事実の検討を。
そして、検討に基づく建設的提言を行うべきなのだ。

問題は中身。30際以下の罹患自体は医療ひっ迫をもたらさない。

今日も「大阪で新たに666人の感染確認 過去最多」(関西テレビ)と騒々しい見出しで陽性者数のみが報じられている。

しかし、問題は中身。

数が増えても30代以下ならほとんどは無症候か軽症で終わり、医療に負担もかけない。以下は昨年西浦氏が作成したデータを厚労省から提供を受けて作成したグラフ。

そもそも、罹患率も極めて低く、致死率も50代以下であればかなり低いので持病や肥満のない方なら、それほど心配はないのが新型コロナという疾患の特徴。

テレビだけ見ていると誤解するが、新型コロナの真の問題は、病期が長いので重症患者が増えると病床逼迫率が高くなり、医療システムに障害そもたらすというところにある。

変異株についても、相変わらず騒がしくされているが、一部の国では弱毒型の変異株に置き換わっている可能性も指摘されている。

マスメディアもそろそろ数だけの報道は終わりにしたら?

田村大臣、大丈夫ですか?今やるべきなのに疎かなのは高齢者への感染対策。

厚労委員会で、本日も尾身さんとたっぷり議論させていただいた(アーカイブはこちら)。疫学の始祖ジョン・スノウは、コレラの正体が病原菌とはわからなかった時代に、発生者の地図と現地調査で、患者発生の原因に不潔な井戸があったことを突き止め、感染を食い止めた。現在のコロナ対策も、ハッキリ言って手探り。事実に対して、事実を基礎にして対策を取るべきだ。

今ハッキリしている事実とは「日本人は罹患率が低い」上に、高齢者に大きくリスクが偏った病気であること。

それが以下のグラフだ(西浦氏作成データを厚労省より提供されたもの)。

青は無症候のままで終わる方、黄緑は軽症で終わる方、黄色が重症になり回復した方、赤は死亡された方。ご覧になれば一目瞭然、40代くらいまでは黄と赤はほとんど見えない。50代くらいから見え始め、ハッキリするのは70代・80代の方。

さて、緊急事態宣言などの社会的距離政策は医療システムを守るための戦い。それはドイツ・メルケル首相が昨年3月に国民向けに演説した中で明言され、今日また尾身氏も明言された。

そして、医療システムに負荷を与えるのは、重症者と重症化の結果である患者の死亡。その圧倒的多数が70代以上の高齢者の方なのだから、そこの年代に対する対策こそ最優先であるべき。

さらに、驚くことに丁寧にクラスター発生源を追って発表してくれている大阪府(他所でここまでやって発表している所はないので、情報公開さすがです)のデータによれば、クラスター発生源の42%が「高齢者・障がい者施設」、34%が「医療機関」。

つまり、ここを徹底的に守れば医療システムへの負荷が減り、ひいては緊急事態宣言などの社会的距離政策も不要になるはず。

以上の分析について、さすが医師(≒科学者)である尾身氏は、今日の質疑で「医療を守ることが中心的な課題という委員の考えは正しい」と素直に認められた。

その上で「医療システムを守る」ための手段として私が提言したのは、重症者と死亡者を減らすこと。そしてそのためには、確実な事実(前記各グラフ参照)としてある、高齢者への感染源として最も比率が高い高齢者施設と慢性期病院でのクラスター発生を防止すること。尾身氏も「そして、そのためには施設と病院従事者への毎日の抗原検査と入所者・入院者の定期的抗原検査が非常に有用だ。尾身氏も「委員おっしゃるように、重症化予防は非常に大事。特に高齢者。高齢者施設への院内感染は多い。そこで止める。そこが大切だというのは私も大賛成。国にお願いして高齢者施設への検査を今まで以上にもっと充実させようと。委員の考え方に150%賛成。その元を追うと飲食店への対策、両方の対策が必要だが、高齢者施設への感染対策に重点を置くというのは正しい。」とのこと。

概ね同意はされたが、飲食店のみ取り出すのはやはり疑問。以下は、厚労省が作成した、報道に基づく2人以上の集団感染源。尾身説によったとしても、医療施設・高齢者施設へのルートとなるのは飲食店だけでなく、企業等や学校関係などもありそう。飲食店(1/5)だけ絶ってもあまり高齢者施設・病院への感染は減りそうもない。

ではどうすれば良いかと言えば答えは簡単。

高齢者施設・病院への「入り口」をシャットアウトすれば良い。

施設・病院の従事者に毎日の抗原検査を行えば良いのだ。どこかで従事者が感染してきても、出勤時にそれがわかれば感染を施設で広げることはなくなる。とても確実な方法で、コロナ治療の第一線にいる大学病院で取られている方法だ。

PCR検査ではなくなぜ抗原検査かといえば、結果判明まで1日かかるPCR検査に比べて10分程度で結果がでる抗原検査の方がずっと実践的。1日かかればその間に感染を広げてしまうかもしれない。

早いだけでなく、ずっと安い。その上、最近は精度もあまりPCR検査と変わらない(厚労省資料)。だから、開業医の方々は、臨床で抗原検査を重宝されていて、PCR検査ではなくこちらを第一選択とされている方も多い。

入所者・入院者は外部と接触する機会が少ないので、毎日までは必要ないが、従事者は通勤や外食などどこかで日々新しい陽性者となることがあるはずなので、毎日しなければあまり意味がない。今日の陰性が、たとえば1週間後までキープされる保証はどこにもないからだ。

今、厚労省は「定期的検査」を呼びかける文書(「医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請)」を発出し、感染多発地域での費用負担をしているが、「定期的」ではなく「毎日」でなくては上記のとおりあまり意味がない。そして、それがどこまで行われているか実態調査が是非必要。

尾身さんは、飲食店の対策についてどこまで行われているか「実態調査」が大事とかを他の議員の質問で言われていたが、それを行うならこちらを優先すべきだろう。

実態調査について、厚労省は、案の定「どこの自治体で行われているかはわかるが、高齢者施設でどの程度行われているかはわからない」と気の抜けた答弁。これでは重症者も増え、病床も逼迫するはず。

さすがに尾身さんは「高齢者施設、飲食店への対策は2者択一ではないが、委員おっしゃるとおり高齢者施設での検査は頻回にやった方が絶対にいい」と私の意見に同意してくれ、「検査キットの精度も良くなっていて、どう取り扱うか国の議論に参加して結論を出したい」とのこと。

ワクチンに対する大きな期待があることは否定しないが、今の接種スピードから見れば、アメリカ、イギリス、イスラエルのように全国民の半数に行き渡るのには1年以上かかるだろう。むしろ、地道な対策が早道だ。

高齢者への対策以外に、もう一つ、今の対策で足りないのは、私が行ったような統計的解析。今、厚労省は、陽性者の帰趨すら把握していない。西浦氏が作成を止めたあと、無症候で終わったのか、軽症でおわったのかだけでなく、重症者したのは何人かすら把握していない。日々の重症者が何人かしかわかっていないという驚くような実態。ジョン/スノウのように事実を元に分析すべきで、厚労省のコロナ対策本部に数十人の増員、感染研には300人の増員を勝ち取った今、ここを手厚くするのはあまりに当然。

これについても尾身氏は、「データの収集分析は感染対策の基本。率直な感想は、様々な理由でデータは現場にあるが、実際にあるデータが迅速に共有されていないという現実は1年言ってるが、もっと効率的な対策を打つためには私たちはどうしても乗り越えなくてはならない。政治、専門家、官僚、みんながやらないと。戦う一番の重要なところに問題がある。なんとかしてやらないとこの問題永遠に続く。是非みんなでやりたい。」と答えられ、まさに問題点を共有されているとの認識だった。

田村大臣も、「尾身先生おっしゃられたとおり、データは貴重なので検討して参りたい」とのこと。

残念だったのは、次の2つ。

田村厚労大臣に、施設・慢性期病院関係者への毎日の抗原検査を呼びかけたところ、「抗原検査は唾液検査ではなく鼻腔検査だからできない」「もし陽性だと2週間職員が休まなければならない」とビックリするような答弁をしたことがまず一つ。

抗原検査も唾液検査が承認済み。それに、陽性者が「2週間休まない」ことの方がよほどおおごと。必ず死人が出ます。そんな認識しかない方がトップではこの先も、多くの直接的犠牲と、飲食業者を中心とした経済的被害、そして若者の自殺や出生数の極端な低下が続く。

もう一つは、たぶん野党の方から「人権問題だ」とかのヤジが時々飛んでいたこと。「定期検査」は人権問題でなく、「毎日の定期検査」だとなぜ急に人権問題になるのか?

新型コロナ病棟の医療従事者へ「毎日の定期検査」を行っている急性期病院はあるが、なぜ高齢者施設では人権問題になるのか?

唾液を吐くだけで負担はなく、職業柄もやむを得ない高齢者施設・慢性期病院の従事者への検査がなぜ人権問題になるのか? プロ野球選手やお相撲さんはPCR検査をやっている。

政治家の人権意識なんて所詮そんなもの。

さて、次回は、田村厚労大臣のビックリな知見を改めてもらうところから続きをやります。

去年1年で70代で新型コロナで亡くなったのは1万人に1人だけ。あなたは知っていましたか?

マスコミで流れているのは、一方的な数字だけ。

「今日は東京都の陽性者数○○人でした。先週より○○人増えています。」

 

でも、本当にその数字が大事なのでしょうか?陽性者が増えて怖いのは、それで重大な結果が生じるから。でも、人は残念ながらいつかは病気で亡くなるもの。

そして、それは高齢になればなるほど身近になる。

私の周囲でも、同級生や先輩が毎年何人もがんなどで亡くなっています。それは避けられない事実。いつかは私もその運命に服するのです。

 

怖い怖いと思われている新型コロナ。実は70代の方で、昨年一年間で新型コロナで亡くなったのは1万人に1人だけ。80代以上(90代・100歳代含む)でも1万人に4人だけです。

その統計的事実から示される姿は、今のイメージされている重篤な疾患と一致するものなのでしょうか?そして、そのための対策によって、飲食業などのサービス業を徹底的に痛めつけ、若者の自殺率を増大させ、出生数を激減させることに釣り合うものなのでしょうか?

今日の厚生労働委員会で、その疑問について、率直な議論を政府の政策を実質的に決めていると言ってもいい分科会の尾身会長にぶつけてみました。

 

私「去年1年で70代でさえ1万人に1人しかなくなっていない」

 

尾身会長「先生がお示ししたデータ、実はわれわれは当然知っておりましたし、ところがそれが、一般国民にはなかなか伝わらない側面がある」

 

そこを伝えなければこの議論は始まらない。

皆さんは知っていましたか?70代でさえ、去年1年間で1万人に1人しか亡くならない。それが新型コロナの日本における本当の姿であることを。

緊急事態宣言のような緩い社会的距離政策は取っても意味がないし、取る必要もない

ワクチンや緊急事態宣言解除を巡るマスコミ報道、一部野党の攻撃、専門家と称する方々の言動に、どうにも馴染めない。

「新型コロナ撲滅がすべて」「政府は手ぬるい」という取り上げ方がどんどん強まり、事実はいつも置き去りだ。

ワクチンの効果については以前触れたので(「ワクチン接種率63%のUAEの衝撃」)、今回は私が「緊急事態宣言」に疑問を持つ理由を少し丁寧に述べてみたい。

その最大の理由は効果があまりにも不確かなことにある。

緊急事態宣言は欧米や中国で行われているロックダウンの限定版で「社会的距離政策」と呼ばれる疫学的政策の一種。先に行われた飲食店の時短などは、その中でもかなり緩和的な施策だ。

EUを見ると、小売店はすべて休業、学校も閉鎖したり、自宅からの外出も理由がないと出来ず、移動距離にも制限を求めるなどかなり厳しい措置が罰則を持って取られていることが多いが、それでも効果はなかなか出てこないのが普通。

現在のフランスや少し前のイギリスがその良い例だ。フランスは、バーやレストランの閉鎖措置を昨年の10月頃より実施し続け、10月末からは2度目のロックダウンが1ヶ月ほどなされて感染者数は減少したが、バー・レストランへの閉鎖は続けられたにも関わらず12月初めから徐々に再燃し始め、最近は3万5000人を超えて3度目の全国ロックダウンに踏み切る。日本型の飲食業の制限(フランスはより厳しく禁止)は、少なくとも感染者の持続的抑制に効果がなかったのだ。

アメリカでは、緩和的な社会的距離政策の効果を検証できる、とても良い例がある。

ノースダコタ州とサウスダコタ州における状況だ。

ノースダコタ州でのみ、日本と同様の比較的緩い社会的距離政策が取られたのだ。

両州は、地理的にも南北で隣接し、気候も大差ない。さらに人口(ND州67万人・SD州81万人)、人種構成や産業も似通っているので比較に好都合。

規制について簡単に述べると両州ともに3月〜4月にかけては飲食店を閉店したり施設利用を制限したりしたが、両州共に4月末頃までには解除している。

違いが出たのが11月以降。ノースダコタ州のみ以下の社会的距離政策+マスク政策をとったのだ。具体的には、以下の命令が発出された。(サウス・ダコタ州は一切規制なし)

11⽉16⽇〜12⽉18⽇ 

・屋内のビジネス及び公共の場と対⼈距離を保つことができない屋外のビジネス・公共の場でのフェイスカバー着⽤を義務付ける

・州内の全ての飲食施設では、収容⼈数が着席可能⼈数の50%に制限、150⼈の客を超えてはならない。施設内での営業は午前4時から22時まで。

・全ての宴会場、舞踏場、イベント会場は、収容可能⼈数の25%、かつガイドラインで定められている収容制限を超えてはならない。

・⾼校の冬期スポーツやコミュニティ活動、その他K―12学校の課外活動、競技会、校外活動は、宗教活動など⼀部例外を除いて全て中断。

では、両州の感染者数の推移はどうだったかというと、下記グラフのとおり。

規制が行われた11月中旬〜12月中旬を含め、感染者数の推移はほぼ同じ。

ちなみに人口はサウスダコタ州の方が14万人ほど多いので、規制したノースダコタ州の方がむしろ成績が悪いとも言える。

この例を見ると、少なくとも緩い社会的距離政策に効果があるとは評価できない。

感染は自然に増えて自然に減っていくのだ。

実は、これと同じことは日本でも起きている。

ご承知のとおり、緊急事態宣言が取られたのは日本の一部地域。首都圏と関西圏と福岡県。私の居住する静岡県は、首都圏と関西圏の間に挟まれ、気候が似通っている上に、人口も300万人とそこそこあり、政令指定都市も2つ抱えるなど、比較に適している。

では、緊急事態宣言が出された東京都、大阪府、そして出されなかった静岡県の感染者数の推移はどうだったのか、下のグラフをご覧いただきたい。(比較し易くするために大阪府は感染者数を3倍、静岡県は15倍に補正している)

ご覧の通り、非常に良く相似している。3都府県共に同じような時期に増え、同じような時期に減っているのがよくわかるだろう。そして、大阪府は東京より一足早く2月末で解除されている。

さらに念のため、少し気候が違い、首都圏と関西圏から離れた沖縄県の様子はどうか?

若干ピークは沖縄県が後ずれしているように見えるが、やはり同じような時期に増え、同じような時期に減少している。

さて、以上をご覧いただき、皆さんはどうお考えだろうか。

ご承知のとおり、マスコミやそこに登場する感染症の専門家の方などは相変わらず「解除の時期が早いのでは」「リバウンドを懸念」など同じようなことを繰り返し、一部野党も国会の予算委員会でそう言って政府を責め立てている。

しかし、それらの批判の大前提は「緊急事態宣言に効果がある」あるいは「あった」ということ。

アメリカや日本における規制のあるなしの比較対照例を見れば、少なくとも緊急事態宣言のような緩い社会的距離政策など取っても取らなくても、感染はある時期自然に増え、そして自然に減っていくと誰にでも理解出来るのでは?

その点を、マスコミも専門家も(そして当然のように一部野党も)スルーしているのが不思議でならない。

社会的距離政策に害というか反作用がなければ、「出来ることはなんでもやってみる、試してみる」でも良いかもしれないが、緊急事態宣言は違う。

特に大規模な飲食店の事業者やその従事者、そして関連産業(第一次産業にまで及ぶ)には多大な損害が起きている。

今後のためにも、緊急事態宣言の効果について、以上のような比較対照しての検証をきちんと行うべきだろう。そして、今言えるのは、日本の感染者数のレベルでは、効果が不確かな緊急事態宣言のような政策は取るべきではないということ。

病床数の確保並びに軽症者への治療の充実によって重症化を防ぐという、医療対応政策に全力を挙げるべきだし、それで足りる。

リバウンドはあって当然。恐れる必要なし。

最近、テレビに出てくる専門家と称する方々がよく口にするのが「リバウンド」への懸念。

しかし、そもそも社会的距離政策(「緊急事態宣言」はその著しい緩和版)とは、間欠的に社会的距離を制限することによって医療システムを守り、社会生活と医療体制維持の両立させながら、最終的には集団免疫が獲得されるまで(あるいは何らかの理由で流行が収束されるまでの間)の時間稼ぎを目指す政策(NATIONAL GEOGRAFIC)。

それを忘れて「限界まで抑える」ことをしたら、社会生活も限界まで抑えられ、社会が死んでしまう。

そして、感染が一定数持続しないと免疫も得られない。

リバウンドはむしろあって当然なのだ。

変異株は日本にとって脅威か?

ダラダラと続けられた緊急事態宣言がようやく終わりを迎える。

「このままでは2月末に東京の感染者は1日3500人」といつものように煽った専門家がおられたが、いつのものようにその予言は実現しなかった。

しかし、相変わらずこのネタが終わって欲しくないマスコミは「リバウンドの兆し」とか「変異株は感染率と死亡率が上がる」など、恐怖を煽るニュースをマメに探して繰り返している。

たしかに、イギリスでは1月初旬のピーク時に一日当たり陽性者が6万人、死者が1800人を超えた時もあった(ただし、そこから急激に減少)。フランスでは11月初旬の一日8万8790人!という驚くべきピークを乗り越えて減少していたのが、12月初旬から少しずつの増加がもう4ヶ月も続いていて、今は一日3万人を超えるレベルにまでなってきている。

日本にも問題の英国型を始めとする各種変異株が入って来ているのは証明されており、神戸などでは既に55%が変異株だが(朝日)、あまり影響は感じられない。2月中旬以降、新規陽性者は1000人前後。致死率も上がっていない(以下の致死率のうち、50代以下のグラフは横軸の単位が最高10%、60代以上は100%と異なるので注意。50代以下はほとんど亡くなることのない感染症なのだ。)

 

 

 

理由は依然として証明されていないが、日本と欧米では全く別の疾患といっていい新型コロナウイルス感染症。

欧米で変異株が脅威とされていることから、日本でも脅威となるかのような報道がなされているが、そもそもそれまでの株も欧米では脅威だったが、日本は全くといっていいほど様相が異なっていて、感染者数も死者数も人口当たりで比較して1/5〜1/10程度。

もういい加減、欧米の報道や対策に惑わされるのは止めて、日本の現状を見つめたらどうだろうか?

シビリアン・コントロールを取り戻そう

SNSで、感染症の専門家の方々が緊急事態宣言延長について考えを急に変えた(延長すべき→解除すべき)ことについて、驚きの声が拡がっている。

 

そもそも、現在世界各国で主流となっている社会的距離政策(いわゆるロックダウン)は、広大な地域の完全なシャットダウンとその地域の住民の全数検査を行う中国方式を除いては、その効果が少なくとも定量的には定かでは無い。

 

一方で、アメリカなどの隣接州(例えばノースダコタ州とサウスダコタ州)などでは、種々の社会的距離政策を採った州と採らない州で感染状況がほぼ変わらない、という結果も出ている。この州ごとの規制の差異と結果が相関しないことについて、広範な規制を敷いたカリフォルニア州とそうではなかったフロリダ州などを例としてAP通信が報じている。

また、フランスでは日本よりよほど厳しい社会的距離政策が昨年末より取られているが、逆に感染者数は増え続けている。

 

一方で、日本では、社会的距離政策としては非常に緩和的な政策(飲食店の営業時間短縮)が一部の都道府県で年初より緊急事態宣言に伴い実施されたが、陽性者数の推移は、宣言地域と被宣言地域でほぼ同じような傾向にある。

下記は全国の新規陽性者数だが、全国的に年末から年初にかけて増え、その後減少し、横ばい(いわゆる下げ止まり)になっている。

緊急事態宣言で飲食店営業に制限をかけた宣言地域と大多数の非宣言地域はみな同じようなグラフ。

ここから推測すれば、この動きは、飲食店営業での感染増大やその制限による減少が原因ではなく、単なる季節的要因(寒さや乾燥の進行による増大、その緩和による減少)など、全国で共通の要因による感染者数の増減があったと考えるのが普通だろう。

冒頭の専門家の意見変化には、私も少しというかだいぶ驚いたが、背景にはそのような事実を受け入れざるを得なくなってきたということがあるのかも知れない。

 

そもそも感染症専門医の方々は、感染症を治療する専門家であって、マスな単位での感染症拡大防止の専門家ではない。

また、マスな単位での専門家(疫学者)も、パンデミックレベルにおける感染拡大防止策などについては机上で組み立てられた理論があるだけで、現代科学のレベルでその有効性の検証や確認など誰もしたことはない。現代史においては、スペイン風邪のような経験が無いからだ。

 

その限度の知識として、専門家の意見は政策形成の参考程度に止めるべきところ、自治体の長も政府も野党もマスコミも、その意見を絶対視するような風潮があるが、これは形を変えたシビリアン・コントロールの逸脱に他ならない。

 

専門家の意見は勿論貴重。しかし、絶対ではないし、専門家は時に誤ることもある。経験の無い事象であれば尚更のこと。「各産業の中で一番大事なのは医療」という偏った意見が平然と唱えられる状況は明らかにおかしい。

 

国民に対し、責任を負うのは総理大臣や各自治体の首長。医療の専門家だけでなく、経済などの各専門分野の意見を広く聴取し、実態を統計数字(「一年経っての総括」参照)などからよく見極めた上で、最後は民意によって選ばれた政治のトップがその責任と眼力でもって「総合的に」適切な政策を執っていくべきだ。

 

 

1年経っての総括、日本は独自路線を行くべき

新型コロナパンデミックが起きて1年。

そろそろ、世界ではなく我が国の状況を落ち着いて見つめ直すべき時期だろう。

世界の状況と、我が国の状況は大きく異なるからだ。

 

1.罹患率がとにかく低い。

 

下記は年代別の罹患率。1年経ってみて、

・1年間の総数と罹患率

 累計罹患者数が44万2393人(厚労省データ・2021/3/13まで)。

日本の総人口1億2562万人(総務省2021年2月概算値)中、感染したのは0.35%。1000人に3人。

 

・2021年における1日あたりの罹患率

 2021年1月1日〜3月13日までの累計陽性者数は20万8608人。一日平均2897人。総人口中感染したのは0.002%。10万人に2人。

 

・年代別罹患率

 世代別の累計罹患者数(厚労省データ2021/3/10)のパーセンテージ。

最も多い20代でも1年間通して1%にも満たない罹患率。後記のとおり、発症率は約5割なので、実際に発症する方は以下の数字の半分程度。

2.無症状率は約5割

 

厚労省が積み上げデータを出していないので、少し古いデータで恐縮だが、昨年私の事務所で厚労省が4ヶ月毎に出しているデータを積算したところによると、罹患率が低い上に無症状で済んでしまう割合は全年齢平均で約5割。

10歳未満は65.6%が無症状。年齢を経るごとに徐々に上がっていくが全年齢平均で約5割、48.4%が無症状。

仮に罹患したとしても、高齢者層以外はなかなか重症化はしないし、30代までは死亡することはほとんどない。なお、20代・30代で死亡した方はおられるが極めて少数のためパーセンテージは0.0以下となっている。

3.40代以下はほぼ死なず、重症化もしない。

 40代以下の世代(10歳ごとに区分)の罹患率は、1年間通しで、0.13%〜0.75%。

 罹患する可能性が低いので、新型コロナ感染で死亡する確率もかなり低い。

 以下は、1年間を通して、各年代における新型コロナに罹患して死亡する確率(つまり感染しなかった方を含めてその年代に属する全人口が母数)を示したもの。罹患した方が亡くなられる割合を示す致死率ではないことに注意。

残念ながら人は死からは逃れられない。その現実にシビアに直面せざるを得ない70代、80代であっても、罹患率がそもそも低いので新型コロナで死亡する確率は極めて低い。70代で0.01%(1万人に1人)、80代で0.04%(1万人に4人)。

 

4.結論 日本においては、医療体制さえ整えておけば、人生や仕事、社会生活を犠牲にしてまで押さえ込まなければならない感染症という評価にはならない

 

いかがだろう。数字を前にすると、マスコミや一部の感染症専門医の虚像に踊らされていたことに驚く方も多いのではないだろうか?

70代でさえ1万人に1人しか亡くなることのないこの感染症を、日本中がここまで恐れて社会生活を抑制するのはいくらなんでも均衡を欠くだろう。

欧米では、日本の10倍以上の陽性者数、死亡者数なので、各国とも社会生活を犠牲にしてでも抑制に躍起なのは理解しうる。

しかし、日本の状況で、リスクは本来ほとんどない若者の楽しみを奪い、サービス産業に壊滅的打撃を与えるような社会的距離制限政策=緊急事態宣言を取る必要はない。

 

当初、右も左もわからない状況に国が、国民が、そして医療機関が怯え、この感染症と距離を置こうとしたことはやむを得なかっただろう。

だが、感染防止のノウハウも確立され、対症療法も進歩し、感染防御用品の不足も解消された今、この罹患率・新規陽性者数に過ぎない日本が、医療崩壊の懸念をいつまでも口にしているのは正直情けない。

 

昨日、NHKが回復した高齢の入院患者を介護老人保健施設の半数近く(1600にも上る)が受け入れることを表明したとのニュースが流れた。

前掲のグラフを見ればわかるとおり、重症入院患者のほとんどは高齢者。介護の問題を抱えている方が多く、急性期医療の現場では痴呆症の方などのケアのノウハウもないため、回復に向かった場合に介護が大変な苦労になっていて、受け入れ数を制限せざるを得ない一因とも聞く。したがって、素晴らしい取り組みだ。

厚労省も介護報酬を加算するなどの支援策を打ち出しているという。

 

こうした工夫を積み重ね、国民に不自由をさせる社会的距離政策を回避することこそ、本当の政策ではないか?

 

最後に率直に指摘する。

感染症専門家の方々は、それがご自身の仕事であるが故に感染症を限りなくゼロに近づけることを優先した意見を具申される。それはそれで正当。しかし、世の中はそれだけで成り立っている訳ではない。

民間部門が多い医療界は、採算や風評、慢性的に不足気味の医療従事者の意向を気にせざるを得ないし、その声を背景に日本医師会会長は、医療界の都合を叫び続ける。また、マスコミは、新型コロナの新規陽性者数を伝えるだけでニュースが出来上がり、時折「後遺症」やら「変異株」やらのスパイスを混ぜれば安直に視聴率も話題も稼げる。

そして野党は、陽性者が増えた、医療が逼迫している、政府は無策だ、と叫べばマスコミが快哉を叫び、マスコミによって「新型コロナは恐怖の感染症」との先入観を植え付けられた一部の国民は同調する。

 

 

しかし、それで国民は幸福になるのか?

新型コロナで死亡することはほぼ考えられない女性や若い世代の自殺者が増え続けていることから目を背けて良いのか?

懸命に働いて世の中に楽しみを与えてくれる飲食店を始めとするサービス産業や関連産業を軒並み苦境に陥いらせる政策を継続するのか?

政府は、日本における新型コロナウイルスの実態を、正面から見据えて、野党やマスコミの雑音は排除し、正しい政策を執り行うべきだ。

 

具体的には、次の施策。社会的距離政策(緊急事態宣言)は、これらをやり尽くしてからというのが当たり前の順番だ。

・病院間や老人保健施設との連携をより強固にして、医療体制を拡充させること

・感染防止対策は高齢者への感染防止対策に重点を置く。特に介護施設・慢性期病院への徹底した検疫(高齢者を孤独にさせる隔離ではなく、検疫に比重を置くべき)

・初期診療の充実=隔離から治療へ。イベルメクチン、デキサメタゾンなど重症化を防ぐ投薬の促進