萩生田発言は党利党略の極み。決めたことは堂々と実行せよ

安倍首相に近いことで知られている萩生田幹事長代行が10月の消費税増税に関し、6月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)が示す景況感次第で延期もあり得る」「6月の日銀短観で、この先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない。違う展開はある」と述べた」と伝えられた(共同通信配信ヤフーニュース

まさに党利党略の極みだ。菅官房長官は従前の「リーマン級の出来事内が起こらない限り引き上げ方針に変更ない」(ロイター)と否定したようだが、明らかに野党に対する揺さぶり発言だった。

しかし、萩生田発言の問題は否定すれば済むような問題ではない。すでに何度も言及しているが、現在の日本の国家財政は、実質的には破綻しているといってもよい状況。国家財政への信認が失われれば、即通貨への信認喪失に繋がる。この問題に関する懸念は私一人のものではなく、麻生財務大臣、黒田日銀総裁も共有していることが先日の財務金融委員会での私の質疑で確認された。

また、今の1000兆円に上る国債残高は未来への負の遺産そのもの。消費税増税を見送れば60年払いで支払っている国債の残高がさらに積みあがる。

G20で「本年後半には世界経済の勢いを取り戻す という見通しが出され、~世界経済における、年当初に考えていたような下 方リスクというものがかなり改善をされて、参加 国の間でもこうした認識が共通されたんだ」と麻生大臣が一昨日の財務金融委員会で述べていたが、財政に責任を持つ財務大臣がそう考えている中(茂木再生相も「景気回復途切れたと考えない」と発言している)、政権与党の要職にあるものが、こんな発言を軽々にするなど考えられないことだ。今さえ良ければ、今の政権が維持されれば未来などどうでもいい、と安倍首相が考えていることを端的に示しているのではないか。

日銀は政府からの独立性を保ち、来たるべきときインフレファイターとしての役目を堅持せよ。

日本ではあまり話題にならなかったが,トランプ大統領は,アメリカの中央銀行であるFRBのパウエル議長に昨年末以来圧力をかけ続けている。洋の東西を問わず,政権にあるものは政権への支持率を上げるため(ひいては選挙に勝つため)経済の好調を望むし,それがトランプ大統領なら尚更だろう。昨年末のNYダウ下落が続いた際に,その引き金となった利上げを行ったパウエル議長の解任を検討したようだし,法的に困難な解任は諦めたようだが,現在も不満を述べ続けているという。

 

さて,話を日本に移そう。日銀の異次元緩和について、私が懸念しているのは「止められないこと」。質的・量的緩和には禁止薬物と同様に依存性、中毒性がある。日銀にとってというより、政府=財政にとってだ。

そして、「止められない」異次元緩和の副作用は、利ザヤ縮小による金融機関の経営悪化、通貨信認喪失によるインフレ、政府の財政規律の弛緩、そしていつか起こるかもしれないインフレに対し中央銀行が通常用いる利上げという手法が取れないことだ。

ただし,日銀が政府に対して独立性を保ち,中央銀行としての矜持を保つことができるのであれば,FRBのように緩和政策をやがて中止し,マイナス金利という副作用の多い政策(質的緩和)は取り止め,同時に国債買い入れ(量的緩和)を停止することが出来るかも知れない。仮に日本にインフレが訪れれば,この両者を行うと共に,伝統的な中央銀行の政策である利上げでインフレに対向する必要があるからだ。

これらの点を含め、4月10日の財務金融委員会で質的量的緩和政策について黒田日銀総裁にお聞きしたが、現状の問題を認められた上で、インフレには利上げで対処する強い決意を示されたのは、逆に驚きであった。以下ご紹介する。

なお、今回の記事では補足的なものとなる、・マイナス金利とは、・イールドカーブ・コントロール,・国債は誰の借金か、・国債残高減少のスタートラインに立つには、・プライマリーバランス黒字化計画に見込みがないこと(GDP見込み関連)、などは末尾に記載した。ご興味がある方は併せてご覧下さい。

 

―日銀の質的量的緩和政策が政府の財政規律を弛緩させないか

(質問要旨)現在の国債残高は、財務省によれば、平成31年度3月末の見込み額で約900兆円。これに特別会計の財投債や国庫短期証券なども含めた日銀の資金循環統計2018年12月末残高では1013兆円。国債に付与されている金利が高ければ、当然、将来の利払いが大変になる。その時々の国債残高の加重平均利率(各々金利が違う国債の全部をならしてみたときの平均的利率)で毎年の一般会計に出てくる国債関係の利払い費は決まるが、本年度予算では8兆8502億円。財務省の900兆円をとった場合に、国債残高の利率の加重平均は約1%。一方で、日銀が長短金利操作で、長期国債、超長期国債に至るまでの利率を下げてイールドカーブをフラット化すれば、将来の国の予算、これにおける国債利払い費を圧縮する効果が、当然生じる。そのような超低金利の国債でも日銀が買い受けるとなれば、国債価格の暴落を心配することなく国債に依存した財政状況が続く懸念があると考えられる。つまりは、日銀の量的緩和政策やイールドカーブ・コントロール=長短金利操作が政府の財政規律を限りなく弛緩させたままにする可能性があると思うがいかがか

○黒田総裁「 財政運営そのものにつきましては、もちろん政府、国会の責任において行われるものと認識しておりまして、具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、一般論として申し上げますと、確かに、我が国の政府債務残高が極めて高い水準となっている中、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは極めて重要であります。2013年に政府、日本銀行が公表した共同声明においても、政府は持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進することとされております

日本銀行としては、物価の安定というみずからの使命を果たすため、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要であると考えておりますし、また一方、政府においても、先ほど申し上げたとおり、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進されることを期待しております。

 

 

―日銀の緩和政策の前提となる政府の財政規律維持

(質問要旨)現に、対ドルレートを見てみれば、2011年には七十五円だったものが、111円、ほぼ1/3の通貨価値が失われている。極端な円安は国富の喪失。PBの黒字化がなければ日銀の事実上の財政ファイナンスが続いて、円の信認が失われて、コストプッシュインフレを招くおそれがある。日銀の役目は「物価の安定」を図ること。だから、異次元緩和は、財政再建、財政均衡について政府が協調行動をとることを前提に行われているし、それが、2013年の共同声明三項後段に「財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」という文言に表されていると思うがいかがか。

○黒田総裁 「御指摘のとおり、我が国の政府債務残高が極めて高い水準となる中で、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは極めて重要でありまして、この点は、こうした国会質疑の場も含めまして、これまでも繰り返し申し上げてきているところであります。

日本銀行としては、持続可能な財政構造を確立するための政府の取組が引き続き着実に進められることを期待いたしております。

一方、日本銀行としては、物価の安定というみずからの使命を果たすために金融政策を運営しております。したがいまして、いわゆる出口の進め方も含めまして、先々の金融政策についても、やはり2%の物価安定の目標を実現して、それを安定的に持続するためにどのような措置が最も適切かという観点から毎回の金融政策決定会合において判断していくということになると思いますので、御指摘のような、通貨の信認が失われるようなことのないように、私どもとしても十分適切な金融政策を運営してまいりたいと考えております。

 

 

—インフレが生じた場合の対抗措置

(質問要旨)

心配しているのはインフレ目標、インフレターゲットが2%を達成した、あるいはこれを超えていったとき。今の国債残高から考えると、仮に2%達成後、あるいはこれが昔のように3%、4%、5%になっていったときに、通常であれば利上げということで対抗するが、そうしたら、直ちに政府の利払い費もふえていくことになるし、既存発行の国債が暴落するおそれがある。つまり、日銀が本来的な日銀の存在理由であるインフレに対して立ち向かうときに、通常の利上げという手段がとり得るかどうか、ここが非常に心配になるが、この点いかがか。

○黒田総裁 「物価の安定というのは、日本銀行法にも定められております日本銀行の使命でありますので、それを果たすべく、金融政策を運営しております。したがいまして、2%の物価安定の目標が実現され、それが安定的に持続するように金融政策を運営してまいるわけですので、物価の状況が2%を達成され、あるいはそれよりも上昇していくというようなときに、現在のような金融緩和を続けるということはあり得ないわけでして、当然、そうした場合には適切な金融の引締め策をとっていくということになると思いますが、まだ現時点では消費者物価の上昇率は1%未満でありまして、0.7%とかそういった状況ですので、まだ2%への道のりは半ばというところでありますので、当面、現在の大幅な金融緩和政策を続けていくということは確かでありますが、将来において2%の目標が達成されるというような状況になったときには、当然、適切な金融政策の運営を行うということは日本銀行法でも定められておりますし、また、それに沿って金融政策を運営してまいるということでございます。

 

 

 インフレというのは、ある日突然やってくる。70年の狂乱インフレも突如始まった。日銀には、黒田総裁が言明されたようにインフレファイターとしての役割をしっかりと心に秘めた上で、政策に取り組んでいただきたい。

 

――――――――以下参考―――――――

・マイナス金利とは

 [質問]

(要旨)今、1年満期から10年満期まで、国債はマイナス金利。国債の発行元の財務省が国債を売り出す際(入札方式)には、国債に利息を付けていますが、入札する方がその利息込みの金額より高い金額で入札することによって実現している。例えば、10年物国債は今、0.1%の付利がなされて売り出されています。10年後に元金が返され、毎年0.1%の金利が支払われる。100万円額面だとすれば、毎年100万円×0.001=1000円の利子が入ってきて、10年後には100万円の元金が戻るので入札した方は合計101万円のお金を手にするこ。ところが、この10年国債が、101万8800円で落札されているので、入札者は買った瞬間に8800円損することが確定する。この場合、毎年880円損するので880÷100万円=-0.00088なので-0.088%、0.005%きざみだと切り上げて-0.09%になります。これがマイナス金利の正体ということでよろしいでしょうか。

〇(財務省可部理財局長答弁)「(要旨)おっしゃるとおり。」

 

・イールドカーブ・コントロールでマイナス金利に踏み込む理由

 [質問]

日銀のとっている質的緩和策=イールドカーブ・コントロール(略してYCC)はマイナス金利の国債を買った瞬間に損します。また、一般の金融機関はマイナス金利のものを買えるはずもなく、10年国債まで買いたくても買えない。ゼロを超えて、あえてマイナスまで踏み込んだオペレーションを行われているのはなぜか。(*普通、債券は長期のものほど利率が高いので,金利は償還が長期のものほど高い。住宅ローンの固定金利も,長期ほど高いことはご存知のとおり。このため,金利を縦軸,返済年限を横軸でグラフにとると右肩上がりになるのが普通です。それを長期金利も短期金利とあまり変わらなく低くしてグラフの線を横ばいにする,これがイールドカーブ・コントロール)

〇[黒田総裁]日本銀行は現在、長短金利操作つき量的・質的金融緩和、いわゆるイールドカーブ・コントロールという枠組みのもとで、物価安定目標の実現のために適切なイールドカーブをつくるということを促しております。具体的には、短期政策金利をマイナス〇・一%、長期金利をゼロ%程度とする金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが形成されるように、国債買入れを実施しております。~確かに、最近では、投資家のリスク回避姿勢の強まりなどから、主要先進国の長期金利が低下傾向にありまして、我が国の十年物金利も小幅のマイナスで推移しておりますが、こうした動きはイールドカーブ・コントロールの全体としての金融市場調節方針との関係では問題ないと思っております。いずれにいたしましても、イールドカーブ・コントロールを通じて物価安定目標の実現を目指しているということでございます。

 

・国債は誰の借金か?

[質問](要旨)本年2月19日の当委員会で、麻生大臣は、国債は政府の借金であり、国の借金ではない、とお答えになった。確かに、形式上見ると、債務者は政府なので、政府の借金。しかしながら、その借金を返す原資というのは、個人個人から徴収する税、ある

いは法人から徴収する税。法人も国民が形成していることが多いわけですから、国民が政府に納める税金で賄う、こういう関係になっている。ですから、借金の実質的な返済者は、負担者は、やはり国民ということになろうかと存じます。

 

・国債残高減少のスタートラインに立つには

この借金をふやさないために、プライマリーバランス(PB:基礎的財政収支のこと。国の一般予算の歳出のうち、国債関係費(国債の元金の償還費と利払い費、つまりは国債という名の借金に対して支払っている元利金)以外の一般歳出(社会保障費や防衛費、公共事業費、教育費など)の黒字化が計画されていたが,、2020年プライマリーバランス黒字化は先送りされ2025年に。

PB=基礎的財政収支は、国債関係費を除いたところで収支をバランスさせるにすぎないので、プライマリーバランスが黒字化されても、新規発行国債はなくならず,利払い分は必ず増える。

残高1000兆円あるいは900兆円となれば、加重平均が1%でも、利払いだけで毎年10兆円あるいは9兆円増えていく。

PBとんとんであっても残高は減らない。残高を減らしていくには、利払い費を上回るところまで行かないと1円も減っていかない。本年度予算の利払い費が8兆8502億円。税収が62兆円、税外収入が7兆円、計69兆円。これが87兆円にならないと国債残高が減るところには行かない。つまり、税収などが18兆円も伸びないと一円も減っていかない。

また、基礎的財政収支を超えていわゆる財政均衡(その年度の歳出を国債に頼らずに税収などだけで賄える状態のこと)に達するには、32兆円伸びなければいけない。簡単に言うと、税収が今の1.5倍になって初めて既発行の900兆円は、償還のいわゆる60年ルールに基づき元金を毎年1.6%ずつ減らして完済できるということになる。

 

・プライマリーバランス黒字化計画に見込みがないこと(GDP見込み関連)

[質問](要旨)新経済・財政再生計画では、2025年度プライマリーバランス黒字化のためのプランがは全て経済成長頼み。名目GDPで3%、実質では1.5~2%程度の高い成長が前提で、それ以外のマイナスシーリングや歳出削減などは具体的には計画されていない。つまり、GDPが上昇していくというAプランはあるが、うまくいかなかった場合のBプランは全く計画されてない。だから、予定どおりの経済成長見込みが達成されないときには、PB黒字化も達成できず、国債が積み重なっていく。2013年~2017年の実質GDPの伸び率の平均は1.2%前後、2018年はこれよりも落ち込む見込み。御承知の世界経済も、中国の景気悪化及び米中経済戦争などの影響によって、十年続いた異例の好景気が落ち込んでいるし、今後も落ち込むことはほぼ一致したコンセンサス。ニッセイ基礎研究所が3月8日レポートによれば、2018年度の実質成長率は0.5%、19年度は0.6%、2020年度は1.1と予測。内閣府発表のCI一致指数は、2019年1月には△2.7ポイントの大幅低下で、景気動向指数の一月速報で、これまでの足踏みから、下方への局面変化に下方修正され、二月速報でもこれが維持。

内閣府に伺うが「下方への局面変化の定義」は?

○丸山政府参考人「(要旨)事後的に判定される景気の山がそれ以前の数カ月にあった可能性が高いことを暫定的に示すもの」

 

麻生大臣のG20での発言を高く評価する。

ロイターが、「麻生財務相、消費増税をG20で表明 「成長持続への意志と決意」と報じている。記事によれば「G20での初日の討議終了後に「日本経済の持続的成長に向けた意志と決意の表れとして10月に消費税の引き上げを実施する」と、米ワシントンで記者団に語った。 」とのことだ。

一昨日の財務金融委員会で私は質問の機会を得て、麻生大臣に円の信認を守り、若い世代に過大な負担を押し付けることがないよう、日本の財政を持続可能とするよう財政規律強化への取り組みを強く求めた。

これに対し、麻生財務大臣は財政均衡の必要性について同意され、その決意を述べられた。そして、今日、G20の場でそれを明言された。消費税増税については賛否があり、特に過剰な平準化のための措置については問題もあるが、ポピュリズムに走らない財務大臣としての姿勢と決意表明は、誠に僭越ながら高く評価したい。

消費税増税は社会保障維持のために必要だからこそ3党合意できめられたこと。それに決めたことは守らなければ日本の財政に対する国際的な信頼が失われ、その結果は通貨安となって、国民の生活に逆に大きく跳ね返ってくることになるからだ。

ちなみに、一昨日(4月10日)の財務金融委員会での質疑を要所のみご紹介すると

質問「(要旨)財政を成り立たせるために日銀が新規国債買受やイールドカーブ・コントロールを持続すると、通貨信認喪失が起きないか」

 

○麻生大臣「政府といたしましても、これまで経済の再生とかまた財政健全化の取組というものを、今後ともきちんと維持しないと、税収が少々伸びてきたらぱっと緩めてみたりするような、放漫財政みたいなことになりますと、今御心配されておられましたように、通貨の信認というものの維持が極めて難しいということになり、極端な円安にまで振れてみたり、いろいろな形になりかねぬということをきちんと戒めた上でやっていかねばならぬところだと思っております。」

 

質問「(要旨)少子高齢化で人口オーナス期を迎えている今の日本で、経済成長頼みでプライマリー・バランス達成は困難。プライマリー・バランスが仮に達成されたとしても、現在積み上がった国債をどうやって返すのか。逆に、これは返せないので、残高については返済を諦めて、現在のように国債を発行してジャンプを繰り返す、繰延べ払いを続けるのか。あるいは、第二次大戦の戦費によってGDPの250%にまで膨らんだイギリス国債のように、非常に長い年月をかけて、いつかインフレが生じて通貨価値が落ちて国債の重みが減るまで、ずっと放置するのか。どういうふうにお考えなのか、率直なお考えをお聞かせいただきたい。」

 

○麻生国務大臣 「(要旨)これは御指摘がありましたように、これは公的債務残高がGDPと言われるものの約二倍ということに累積するという、極めて厳しい状況にありますのは御存じのとおりで、~少なくともGDPを過去最高まで伸ばすことをやらせていただきまして、税収も、少なくとも、この7年間で、28兆ぐらい増加させることになりましたし、また、歳出の改革というのもいろいろやらせていただいて、新規国債発行というものは、平成24年度44兆が、32兆ということで、約12兆円減少させるということにもなり、財政健全化に一定の成果を上げてこられたんだということははっきり言えるんだと思っております。

~債務残高というものを今御指摘のように実額で減少させるという御指摘については、これはもう極めて重要なことなのであって、今の厳しい状況を続けていけば、これはGDP比を反転して減少を目指すという意味では、まずはプライマリーバランスの実現化ということが必要なんだと思っておりますが、それが達成された後も、これは引き続き、いわゆる今やっております新経済・財政再生計画のもとで私どもとしては、更に歳入とか歳出とかいろいろな改革を続けていくことだろうと思います。2025年度のプライマリーバランスを、債務残高を達成した後でも、この姿勢を続けて、債務残高の安定的な引下げというものを目指していくという姿勢はきちんと持ち続けておかねばならぬところだと思って、これが簡単にできるか、それは簡単にできるはずがありませんので、長いことかけてこうなってきましたので、長いことかけてまたやっていかないかぬということが基本だろうと思っておりますが、簡単に、あれをやったらぱっとできるというような種類のものではない、それだけははっきりしていると思います。」

というものであった。

黒田日銀総裁とのやり取りについてはまたご紹介するが、これはロイターの別の記事「当面、現在の大幅な金融緩和政策を続けることは確か=黒田日銀総裁」で取り上げられた。

財政ポピュリズムの横行

政治において、本当に恐ろしいのはポピュリズム。人間も動物、集団的に間違ってしまう事がある。そして、その間違いを先導するのが政治だ。政党政治が常に正しい訳ではなく、与野党全てが間違った方向を向くことだってある。物理学のように厳密な「正しさの証明」が出来ないことは自明の理なのだから、自分自身の主義主張を含め間違っている可能性があることを自覚し、常に検証と検討を続けることが必要だ。そのことは、現在の主流であるかないかなどとは、は全く関係がない。ガリレオの時代には天動説が間違いなく主流というか唯一絶対的な考え方であったが、それは完全に誤りであった。

さて、今の日本では、ほとんどの人が気づかないうちにポピュリズムが横行しているのではない か?

それは与野党共に議論を避けている財政ポピュリズムだ。ここ数年では最もマシになったとは言え、本年度予算の歳入の32%、32兆円は国債依存。60年払いで返済される国債はまた増えた。 今年の歳出での返済は14兆円だったので、差し引き18兆円また増えてしまった。原発のことは心配する(私も誰よりも心配し訴訟まで起こしてますが)レフトサイドあるいはリベラルの方々も、こ の問題となると急に感度が鈍くなる。未来へのツケ回しが子どもたちの未来も奪っていくのは確度としては原発事故以上に確かなのに。

アメリカでも政府債務は22兆ドル!にも上り(GDPが19.4兆ドルと日本の4倍なのでGDP比率は、 1.1倍程度)、財政は持続不可能と心配する声は日本以上に大きいが、最近、ステファニー・ケルトン というニューヨーク州立大の教授が「政府予算や財政赤字は完全雇用やインフレを実現するた めに積極利用すべしという「現代金融理論(MMT)」の強固な提唱者」として注目を集め、ク ルーグマンらと論争になっているとロイターが伝えている(アングル:「財政赤字は悪くない」、 大統領選にらみ米国で経済学論争)。同記事によれば、ケルトンは、「債券市場や外国為替市場が許さないことを地球を救う支出を抑 制する理由に挙げるのは、かなり筋が悪い」と主張しているという。つまり、債券市場=「国債の暴落」や外国為替市場=「通貨の信認の失墜から通貨安を招くこと」は気にするな、というのだ。

アメリカであの経済の大御所、ローレンス・サマーズから「ブードゥー経済学(魔術 のようで理論的に怪しいとの意味)だ」とまで言われた(上記ロイター)ケルトンの主張を実践しているのが、実は現在の日本の政治だ。

敢えて「日本の政治」としたのには訳がある。国債に依存しきった現況を肯定しているのは、政権与党だけではない。ほとんどの野党もその問題には触れていない。そこに触れれば財政支出を切り詰める、もしくは増税する、という話に繋がっていき、政治家とし て最も触れたくない話題になってしまうからだ。

そうしたところ、このケルトン理論を極限まで実行しようと、消費税撤廃、現金配布まで謳った新党が立ち上がろうとしている。

懸念されるのは、こういった極端な主張が出てくれば、それに引きずられるようにして、財政ポピュリズムがさらに進行してしまうことだ。

こういった懸念を述べると、右左の立場を問わず、財務省の手先的な穿った見方をする方もいるが、この懸念は、麻生大臣や黒田日銀総裁も共有していることが昨日(4月10日)の財務金融委員会での私の一般質問で明らかになった(これについてはまた報告します)。

アメリカでもオバマ政権の大統領経済諮問委員会のスタッフが「右も左もない。普通の人々が興奮が冷めた時点で代償を支払うような魔法の考えだけが存在している」(上記ロイター)と述べている。

日本でも同じ。財政ポピュリズムに代償を払うのは未来の私たちだ。

議論から逃げているのは誰か?何の議論から逃げているのか?

野党は憲法議論から逃げている、こういう声が聞こえる。しかし、今の政治、あるいは各政党が逃げているのは100年に一回あるかないかの憲法改正というレアな問題ではない。目の前に存在する、最も重い課題から逃げ続けている。そこに与野党の差はない。

本来であるならば、周智を結集し、すべてをさらけ出して国民的議論を行うべき3つの課題を挙げよう。

1 財政、2 社会保障、3 安全保障、である。

最初に挙げた財政。現在の国債残高は,財務省による平成31年度3月末の見込み額は、994兆円、日銀資金循環統計の2018年12月末残高は1013兆円、いずれにしろ約1000兆円に上っている。毎年の一般会計予算に出てくる国債関係費は、この積み重なった国債という名の借金の元利払いだ。

まず、元金は、国債残高の1.6%分。国債には60年で償還するという60年ルールがあり、これに従って毎年1.6%ずつが返済される。1000兆円あれば16兆円ということになる(一般会計にはのってこない復興債などもあり、今年度の一般会計歳出での償還費計上額は14兆6580億円)。また、その時の国債残高の加重平均利率で毎年の利払いが決まることになろうが、本年度予算の利払い費は8兆8502億円,これから推定すると1000兆円の国債残高の利率の加重平均は約0.9%程度だろう。

財政収支(税収が国債関係費のうち利払い分まで賄うこと)が黒字化しないと、この合計23兆円あまりの国債関係費、つまり借金の元利払いは今後少なくとも60年に渡り継続し、国民を苦しめ続けることになる。

今、政治的課題とされている基礎的財政収支(プライマリーバランス・PB)とは、国債関係費を除いた部分の収支を合わせるだけなので(税収が、国債関係費以外の一般歳出と均衡)、仮に均衡に達したとしても利払い分は赤字のままで、その分(今年で言えば14.6兆)国債残高は増えていくことになる。

問題は、現状1000兆円の国債残高を減らす手段がないことだ。

以前のブログ(「Bプランなき財政再建計画。本気度ゼロ?」)で触れたが、基礎的財政収支を均衡させるためのプランは、景気頼み、つまり景気向上により税収が増えるということをプランしているだけ。この17年間同じことの繰り返しで全く実現していない(内閣府・中長期財政計画)。最新のプランでも、名目GDPで3%前後,実質では1.5~2%程度の高い成長が続くというおよそ現実離れした机上の計画が立てられているだけだ。

現実的な計画を立てるのであれば、歳出を削るか、歳入を増やすか、あるいはその両方を行うしかない。しかし、両者ともに限界があることははっきりしている。まず歳出。レフトサイドからよく言われる防衛費だが、実は防衛費を削減しても焼け石に水。防衛費は増えてきたとはいえ未だ5兆2000億円(5.2%)。半減させても2兆円にしかならない。

一方で、日本の財政の内、最大の割合を占める社会保障費は34兆円(34%)に上るがこれから高齢化が進み増大こそすれ削減など見込みすら立たない。やはり大きな割合を占める地方交付税交付金も16兆円(16%)で、これも地方自治体の財政の大本であり削ることは困難。手を付けられるとすれば公共事業費6兆円(6%)だが、これも半減させても3兆円。仮に防衛費と公共事業費を各々半減させても5兆円にしかならず、利回り費用の3分の1に相当する新規国債発行を減らせるだけ、やはり借金は年間10兆円のペースで増えていく。

一方で歳入だが、これもよく言われるように法人税課税の強化や個人の累進所得課税強化にも問題がある。法人税の実効税率は、現在29.74%。主要国と比較して小数点以上で日本より多いのはフランスだけ。

(引用元:財務省 法人課税に対する基本的考え方

 

 また、仮に法人税率を現行の23%から10%上げても単純計算では6兆円程度の増収にとどまる。国際的にみて突出した税率となってしまうため、アメリカの多国籍企業のように大企業や小回りの利く優良中小企業の海外脱出が増え、計算通りにいくかどうか。

 個人への累進所得課税強化はどうか。実は日本の累進課税はまだまだ厳しい。所得4000万円超の場合、住民税を合わせた実効税率は55%。主要各国では最も多いパーセンテージになっている。

また、所得階層で高い層に累進課税を強化しても、高い層の税収に占める割合は相対的に少なく、税収はたいして増えない。かといって圧倒的に多数を占める低・中間層への課税を強化すれば、国内経済を支えている消費層の消費力が落ちて経済が縮小してしまう。

では、消費税はどうか。消費税については、国際的にみれば未だ低い水準にある。EU諸国は25~20%が多いので、仮に予定通り10%に増税されたとしても半分以下だ。2018年11月に自民党税調の野田毅最高顧問が20%まで上げることを示唆したことを報じられたが、それは、国際比較を念頭においたものであろう。しかし、消費税は、国民の購買力を直接はく奪する性質を持つ税だ。社会が順調に発展している段階において、かつ、社会保障が充実して信頼のおけるものであればともかくとして、現状の日本で消費税倍増を図ることは経済におけるスーサイドに繋がるおそれもある。現在の日本は少子高齢化が進んでボリュームとしての消費層が減少し、しかも個々の所得が往時よりも減少している。すなわち消費力が質的量的縮小にある中で、消費税を倍増させれば、極端な経済縮小を招く恐れが大きいと考えられる。

以上のとおり、歳出・歳入面の努力で、1000兆円に積みあがった借金を減らすことは解決不能に近い。

これは10年積み重なった現実だ。下の図表をみてほしい。随分急激に借金が増えたなと思われるであろう。

(引用元:財務省 3.公債残高の累増

しかし、実はこれは10年前に作成されたもの。平成5年ころには150兆円程度しかなかった国債残高が、平成20年には553兆円に急拡大したことに財務省が警鐘を鳴らしたグラフだ。それから10年。国債残高は倍増し、1000兆円となってしまった。その後の歴代政権や財務省もそれなりにこの問題を意識してはきたのだろうが、国債残高は縮小するどころか倍増してしまったというのが現実であり、この問題の解決の困難さを示している。

 そして、現状はさらに深刻さを増している。日銀の「質的量的緩和政策」とは、この解決不能の財政問題を金融政策によって支えている側面を持つものだ。質的緩和とはゼロ金利政策。つまり、1000兆円の国債の利払い費を低く抑えて財政を維持可能とするものだ。現に10年債に至るまで現在はマイナス金利。10年分の利払いを含めた総額(額面100万円、付利0.1%とすれば10年分で101万円。それよりも高い価額(例えば101万8000円)で売り出し元の財務省から入札者は落札している。買った瞬間に損が確定するという極めて不健全なところまで今、進んでしまっているのだ。そんな落札者があてにしている転売先は日銀しかいない。

また、量的緩和とは、日銀が新規国債の実質的な買い手となること。日銀のバランスシートで2016年と2017年を比較すれば、約30兆円国債残高は増加している。つまり、一般会計歳入に表れる新規国債発行額32兆円のほぼ全額を日銀が購入しているのだ。これを財政ファイナンスと言わずしてなんというのか。この副作用は、すでに利ザヤの縮小(貸出金利と、貸出資金の原資として受けれている預金に対して支払う預金金利との差額が利益となる、というのが銀行の基本的ビジネスモデル)として地方の金融機関を直撃し、連続赤字を計上するところが増えてきているが、最大の副作用は通貨の信認の失墜だ。いつかはやってくる。最近麻薬を20年以上常習していて逮捕されたタレントがいたが、まずいことを続けていれば、そのいつかはやってきてしまうのだ。そのことに薬物依存か国債依存かに変わりはない。通貨の信認失墜は、輸入物価の高騰を招く。だが、国民所得は上昇しない。需要が引っ張るディマンド・プルではなく、価格上昇が引っ張るコストプッシュ・インフレは国民生活の窮乏をもたらす。このインフレに対して通常中央銀行が行う利上げ政策を取れば、既発行の国債価額が下落し、保有する金融機関に実質的な信用不安が起きる恐れがある。また、利上げは国家財政も直撃する。利払い費が増大すれば、予算が圧迫され成り立たなくなってくる。

(この項目のまとめ)

現状:①国債残高1000兆円

   ②今後少なくとも年15兆円程度は増え続ける

解決不能な理由:

人口減やこれと密接に関係するGDPの横ばいから考えて、税収の伸びは期待できない。法人税・所得税を増やしても足りないし優良企業・高所得者の海外移転を促してしまう。消費税増税は、直接的に可処分所得を減らすため、ただでさえ経済縮小傾向にあるところこれを推進してしまう。

放置した場合の将来的課題:

現状では質的緩和により金融機関の経営が圧迫されるという副作用が出ている。より深刻な問題としては、日銀による財政ファイナンス(=質的量的緩和)を続ければやがて日本の財政に対する信用が失われる。そうなったときに起こる円安=コストプッシュインフレでは国民の所得は上昇することなく物価のみが上がる。そうなれば、国民は長期間実質所得の減少に苦しむこととなる。また、インフレに対して中央銀行が利上げで対抗することが難しい。利上げは国債価格の暴落をもたらし、金融不安を誘発する。予算も、利払い費の増大で圧迫される。

今回はまず、財政の課題について詳しく書いたが、今後、社会保障と安全保障についても論考を進めたい。

簡略に今の問題意識について紹介すれば、社会保障の課題は、端的に高齢人口の増大と若年者人口の減少に起因するもの。特別会計も含め社会保障費の2大支出先は医療給付と年金給付。医療給付は、年齢階層別に高齢世代になるほど一人当たりの年間医療費は顕著に増大する。当然年齢階層別人口分布において高齢者の比重が大きくなれば国家財政における医療給付費は増大する。

また、年金において取られている今の賦課方式は、人口増大社会を前提とし、その中で合理性があった制度。人口が増大局面にあるときは、支えられる人数が少なく、支える側が多い人口構造(ピラミッド型)であれば双方に負担は少ない。しかし、現在のような花瓶を逆さにしたような人口構造の社会では、支えられる側の人数が多く、支える側が少なくなる一方なので、若い世代であればあるほど損をする。損をしながら生きていくことが国家によって決められている社会とはいかがなものであろうか。ジム・ロジャースが、自分がもし10歳の日本国民なら「AK-47を購入するか国外に去ることを選ぶ」と述べたのもわからなくもない。

安全保障も長年、避け続けられている課題だ。沖縄の辺野古を始めとする基地問題は、本当に解決を図ろうと思ったら、今の隷属的側面が色濃い日米関係を変えていくしかない。そしてそれは日本の安全保障の大局的な設計を抜きにしては語れないし、憲法9条改正問題も、その大局的設計があってこそ議論されるべき問題だ。

なお、念のため補足すると、今回の記事の目的は次のとおり。国民が今の国の真の姿を知るべきであるし、政治がそこを敢えてスルーしているのは極めて無責任だと思っているからだ。現状を明らかにし、将来待ち受けていることについて、たとえそれが見たくない真実であったとしてもそれを当事者に告知すべきだというのが、今の専門家のあり方。それが医師であっても弁護士であっても国会議員であっても同じことだ。その上で、苦い現実をさらに苦いどのような方策で乗り越えていくのかを国民と一緒に模索し、合意を得ていくというのが民主主義の正しいやり方であろう。

私は、この難局が現政権ひとりの問題だとは思っていない。ここに至るまで政治に関与した全ての政権、政党には同等の責任がる。この問題は、安倍政権やそのメンバーを個人攻撃しても解決しない。政治家として国民として本当に将来の日本に対して責任感があるのであれば、誰かに責任を押し付けるのではなく、課題に正当に向き合うべきだし、そういった姿勢を持った政党こそ、次の政権与党として国民が待ち望んでいるものであろう。ブルーオーシャンは未だに開けたままだ。

国債からみた日本の財政

国債からみた日本の財政。やはり大きな問題が見えてきます。引き返せないところまで来ているのかいないのか。最新のところでその数字をまとめてみました。

1.国債:

財務省発表の平成31年度3月末の国債残高見込  994兆7978億円

日銀資金循環統計 2018年12月末(速報) 1013兆0990億円

 平成31年度3月末の見込額である財務省の発表(発行ベースと思われる)と、平成30年12月末の各保有主体別に個別に積み上げた日銀の数値(保有機関の保有残高の合計)が若干違っていますが、いずれにしろ国債残高は概ね1000兆円に達しています。

 保有者別の内訳は下記グラフのとおりです。

出典:財務省 平成31年度国債発行計画について

 日銀以外の銀行や生損保、年金、家計(個人)、海外投資家などは合計505兆円ほど国債を保有しています。仮に国債価格が暴落しても、会計上、日銀は簿価(買入価格)で評価するのでバランスシートは痛みませんが、それ以外の505兆円の保有者は相当の痛手を被ることになるでしょう。

2.平成31年度予算における国債発行予定額

一般会計分:建設国債・4条公債新規発行額 32兆6605億円

特別会計分:復興債 9284億円

財投債 12兆円

借換債 103兆1404億円

国債発行総額    148兆7293億円 

 予算案の一般会計だけ見ていると、国債は32.6兆円しか発行されていないように見えますが、借換債を含むと148.7兆円もの国債が今年度も発行される予定です。日銀の国債買い入れが最近40兆円未満程度(保有残高の推移からの推計)であることからすれば借換債の多くは日銀以外の主体(ほとんどは金融機関)が引き受けているのでしょう。

3.予算のうち、国債償還のために固定化されてしまっている経費

  債務償還費(元本償還分) 14兆6580億円

  利払費等          8兆8502億円 

  国債費計         23兆5082億円

 国債は(復興債などの一部例外あり)、60年償還ルールにより、毎年1.6%ずつ償還費が積まれ(1.6だと60年で96%にしかならないので正確には62年ルール?)、それが特別会計の国債整理基金に流れてそこで少しずつ償還されていきます。換言すればその年の残高の98.4%は据え置かれ、期限の到来したほとんどの国債は借換債によってジャンプされているのです。 

 それでも、新規国債が発行されなければ60年で国債残高はなくなるはずですが、今年度予算でも新規国債発行額は32兆6605億円。償還したのは14兆ですから、18兆円逆に増えているのです。

 このことから導かれる問題は、以下の2つです。

 ① 将来の予算を少なくとも60年に渡って、毎年23兆円以上拘束してしまうこと。

 ② 国債残高は増え続けていくであろうこと。

 ①について少し付言すれば、債務償還費は、現状ベースで14兆6580億円が固定されています。これに、毎年発行される新規国債の1.6%が加算されていく訳です。国債が32兆円新たに発行されれば債務償還費はこれに5120億円加算されることになります。

 また、金利はご承知のとおり現状ではとても低い。1000兆円を残高とすれば、この利払いが8.8兆円しかないのですから、金利は0.88%ということになります。これ以上の低金利はあまり考えられないことと、元金にあたる国債残高が漸増していくことを考えれば、本年度予算に計上されている8.8兆円程度は今後も利払費としてかかっていくでしょう。

 ②についても補足します。将来、仮にプライマリーバランスが均衡したとしても、利払い費分はプライマリーバランスの外なので、その分(今年度の例では8.8兆円)新規国債はやはり増えていくのです。下図は、財務省の予想グラフ。内閣府の作成した大甘の「成長実現ケース」によるものです。

出典:財務省 平成31年度国債発行計画について

4.まとめ

 将来に渡って、国債残高は順調に!増加していくでしょう。危機や破綻といわれるものは、ある日急に訪れるものです。それは国債破綻か、インフレか、それとも予想もつかない別の形でかはわかりませんが。これをいうと、「いつになったら起こるんだ?」と批判する方が必ずおられますが、福島第一原発の事故前に、著名なお笑い芸人が原発反対派を嘲笑していたことが思い起こされます(もちろん、安倍総理の例の発言も)。

 財政均衡や財源のことはすっかり頭から離れた政治家の言動が相変わらず目立つ昨今ですし、財務省の陰謀論が大好きな方もおられます。しかし、厳然と積みあがった事実も一方であるのです。野党支持者の方の多くは、「安全寄り」に考えて地球温暖化論では、CO2削減に積極的な方が多いと思われます。原発問題も同じでしょう。

 私は、日本の財政についても、「安全寄り」に考え、未来への負担削減を提唱していきます。皆さんにも一緒にこの問題について考えていただければ幸いです。

【国会報告】本会議:民事執行法一部改正

 今日は午後から本会議。民事執行法の一部改正案の質疑が行われました。この改正案は、①財産開示命令(裁判で負けたのにお金を払わずいる人の財産を明らかにするよう、債務者の出頭を求める制度)②不動産競売に暴力団員が参加できなくするための手続整備③ハーグ条約に関連し、子の引き渡しに直接的な強制執行を認めてそのやり方について手続を新設するもの、の3つを定めたものです。
 ①②は、実務に生じていた問題点を改善するもので賛成ですが、③には抵抗があります。ハーグ条約に沿った子の引き渡しがなされていないことについて国際的批判があったことは事実ですが、法整備が進むことにより、様々な事情により海外から国内に子どもと共に逃げ帰って平穏に暮らしている親子を無理やり引き離すという事例に繋がることも当然予想し得るところです。国際的批判がいつも正しいとは限りませんし、今まで法務省が意識的にこれをサボタージュしていたのは、そういった点を考慮しての日本的なやり方での抵抗だったのでしょう。
 今日は野党第一党、第二党が代表質問されたのですが、私が法律の実務家である故に余計辛口な評価になってしまうのでしょうが、①②の実効性について十分な理解がなされているのか疑問の残る質問でした。そして、③について、その背景に潜む上記の問題点について意識をあまりされているようには思われませんでした。
 やはり、野党はシンクタンク的な機関を自前で持つ必要がありますし、それでも不足する分について、日弁連などの各委員会委員にリサーチする必要があるのではないでしょうか。野党の政権担当能力は、こういった細かいところに現れてくるのだと思います。率直にいって、現状では不足があります。
 もう一つ、気になったのは法案外のことに関する過度の言及。私が普段リサーチしているところによれば、普通の国民はこういうやりとりをあまり好ましく思っていません。
 野党は常に国会における質の向上を意識し、中身で勝負、という姿勢で堂々と論戦を行っていただきたいと強く願っています。
なお、野党が政権を担当するためという視点からの批判ですので誤解なきよう。批判ないところに改善も向上もないのですから。

環境省が環境破壊省になった日

皆さんは「再生利用実証事業」というものをご存知だろうか?

あまり耳慣れないこの事業は、環境省が今福島で進めている事業だ。

除染作業で集めた土は、本来であれば福島県内の中間貯蔵施設で保管された後、30年以内に県外の最終処分場で処分されることになっている。最終処分は普通であればトレンチ、すなわち地中に溝を掘ってコンクリートなどで障壁を作り、そこに監視しながら保管することになる。

 

現在までに集められた汚染土は1700万㎥という途方もない量だ。地道に除染作業員の方が各地で集め、フレコンバックに詰め込んだのだ。

この折角集めた汚染土を今、環境省が再び環境中に散逸させようとしている。それが再生利用実証事業だ。汚染土を道路の下に埋めたり、園芸作物(リンゴやブドウ、キャベツ、大根など)や資源作物(燃料油の原料となるトウモロコシなど)の土壌に使うというものだ。

 出典:環境省 中間貯蔵施設情報サイト 飯館村における再生利用実証事業http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/recycling/iitate.html

 

本来であれば,トレンチを掘って厳重に隔離した上で監視下におくべき汚染土を,道路の下に「再生資材」と称して埋め込んでしまうという発想は,一昔前の廃棄物を敷地に埋めて処理してしまっていた杜撰な工場を思い起こさせるが,今回の実証事業とやらはそれを作物の土壌の一部に使おうということなどちょっと想像もつかないことをしようとしているのだ。このような「実証事業」が既に飯館村と南相馬市で始められてしまっている。二本松市でも行われようとしたが,住民の反対にあって頓挫しているようだ。

この福島県内でなんとかごまかそうという発想は,沖縄における米軍基地問題を思い起こさせる。政府は,30年で県外最終処分を行うことができないと考えているからこそ,約束に反して,福島県内で,「再生処理事業」などというお為ごかしの名前をつけて,事実上の最終処分を進め始めているのだ。

これは絶対に許してはならない事柄だ。政府与党は,福島県民に約束したとおり,汚染土の全量を県外で最終処分しなければならない。このところの常習手段である,「名前をつけてごまかす」ということは,この問題では絶対に取ってはならない。

どうしても「再生処理事業」とやらをしたいのであれば,環境省は「環境破壊省」と名称を改めるべきだ。誰の指示でこのような環境破壊を計画しているのかは不明だが,実態に名前を合わせるのは当然だからだ。

ドラえもんが送り込まれる日。私たちの今が未来の迷惑となっている現実

私が小学生だったころ、ドラえもんの連載が始まった。のび太君があんまりだらしない一生を過ごしたので、ひ孫のセワシ君の代まで貧乏で苦しい生活が続いている。セワシ君がドラえもんを過去に送り込んで、大本の原因であるのび太君をなんとかして未来を変えようというのが始まりのストーリーだったと記憶している。

今、国会にドラえもんが現れてもおかしくない、そんなことをふと思った。

財務省の直近のリポートでは、平成31年度末の国債残高は約995兆円、それ以外の借入金や政府短期証券を合わせると、国の借金は約1250兆円に上っている。もちろん、これだけの借金が急に生じた訳ではない。下図はその推移。

出典:平成31年度予算の編成等に関する建議(財政制度等審議会)https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia301120/index.html

 

国債残高が急増していったのは毎年度予算における歳入(税収)不足を埋めるために、国債を発行し続けたからである。

ただし、国債残高が急増し始めたのは歴史的にはそんなに古いものではなく、平成5年くらいから。

日本の人口増大が頭打ちになり経済における人口ボーナスが終わりを告げ、これによって高度経済成長及び平成バブルが終焉を迎えて税収も落ち込み始めたのに、政治家たちはレジューム・チェンジが起きていたことを理解しなかった。夢よもう一度とばかりに財政支出主導の景気拡大政策を続けることを選択し、これに人口高齢化に伴う社会保障費の急増も相まって予算は膨大化した。そしてその原資に、国債発行というもっとも安易な道を選んでしまったのがことの始まりだったのであろう。

(総務省人口推計より 青山まさゆき事務所作成)

出典:財務省 債務管理リポート2018 https://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2018/index.html)

 

理由はともかくとして、今を生きる我々にとっては、約1000兆円もの残高の国債が目の前に残されている、という現実だけが迫ってくる。

このため、例えば今年度予算では過去の借金である国債費に23.5兆円が費やされている。今年度予算の23.6%が、過去の負の遺産のために拘束されてしまっているのだ。

出典:財務省 平成31年度政府予算案 https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2019/seifuan31/index.html

 

この傾向は、国債残高の累増と共に、ますます悪化し、かつ長期化していく。償還期間が10年を超える超長期国債(20年債、30年債、40年債の3種類)の比重が増しているからだ。

 

 

出典:財務省 平成31年度国債発行計画の概要 https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/181120pdf78.pdf

 

 

40年債は、40年後に償還費用を捻出しなければならない国債だ。つまり、われわれは40年後の未来、2059年の未来に生きる日本国民の予算を拘束し、負担を押し付けてしまっているのだ。

現在国会で議論されている「特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部改正法案」は、簡単に言えば武器の10年分割払いを可能にするものであり、後の予算を拘束する。分割払い分の費用は固定化してしまうので、後の予算に関する裁量の余地が狭められるとしてこれが問題視されている。

しかし、安倍政権だけでなく野党もあまり意識してはいないが、私たちは、実ははるかに遠い未来の予算を、はるかに大きい金額でもって浸食してしまっているのだ。

ある日、ドラえもんが未来の世界から国家に現れ、未来のスーパーテクで今の私たちのだらしのない財政をただしてくれればありがたい。「自分たちの使うお金は今の自分たちでなんとかしてくれ。未来の子孫のことも少しは考えなければダメだよ。」とお説教でも垂れながら。

しかし、21世紀(2003年4月7日)になっても鉄腕アトムは現れなかった。ドラえもんもきっと現れないだろう。今を生きる私たち自身が、自分たちの子孫のことを考え、未来の世代の選択肢をこれ以上狭めてはならない。おじいさんたちの世代のせいで、今の僕たちはこんなに苦しい、と未来の世代にうらまれるようなことはもう終わりにしよう。

デニー知事の言う「危なさの平行移動」。沖縄と日本の基地問題の本質

 沖縄県のデニー知事が、辺野古への基地移設は「危なさの平行移動」に過ぎない、とメディアの取材に答えておられた。結局、沖縄県内での基地移動であれば、沖縄県民にとっては平行移動でしかない。しかし、他県が受け入れるかといえば、保育所や太陽光発電所、風力発電所にも反対する日本人の国民性からしてそれは絶対に不可能。鳩山政権で実証済みのところだ。

 やはりほとんどの日本人が意識していない、戦後の占領体制の継続に終止符を打たない限りこの問題は解決しない。
 ホワイトハウスへの請願署名活動がいっとき話題となったが、もう一つしっくりこなかった。請願はオバマ大統領が市民のために作ったシステムのようだが、日本の領土における問題を、たとえ米軍基地のことだとしてもアメリカに請願するというのは従属的であり独立国らしくない。
 
 本来、憲法改正を言うのであればここのところこそ議論すべきで、その演繹の結果導かれる結論によって決すべきところなのだ。自衛隊員の子どもさんがかわいそう、などという出所も不明な感情論的な例え話みたいなことで行うべき議論ではない。国の礎に関わる問題なのだから。