つい飛び出した菅総理の本音

昨日の菅総理記者会見、フリーの神保記者が総理に対し、

「国民に協力を求めるばかりで、政府は何をやってきたのか。病床数は人口当たりで世界一、感染者数はアメリカの100分の1、それでなぜ医療がひっ迫、単に医療の体制が違うんじゃないか」

という疑問を全国民の前で初めて訴えた。私もそれをずっと訴えてきたが、メジャーマスコミは完無視。だが、かなりの国民が見ていたであろうあの場で神保氏がこれを質問されたことは衝撃だった。たしかに存在する少数派の声が世に出た瞬間だった。

 

そして、菅総理の答えが国民皆保険の見直しに言及したものであったことにつき、Twitterで頓珍漢な受け答えとの批判もあるようだ。

たしかにわかりにくい受け答えであったので、私なりの解説を加える。

 

これは、民間病院が協力してくれないなら、あるいは今の医療体制に問題あるなら国民皆保険とかのまさに根本にまで踏み込んで医療体制を検証して見直すよ、という菅総理のものすごい恫喝だったのではないか?

だとしたら誰も手をつけられなかったところに踏み込む、まさに菅総理の本領発揮というところだろう。

 

ここで総理が口走った「国民皆保険制度の検証」は、実は医師会にとって、とてつもないインパクトのある言葉。

開業医の方が、経験の差、腕の良し悪し、説明の丁寧さ、設備の有無など、医療機関同士の間での競争要因が結構あるにも関わらず、無競争で、今の厳しい競争社会から切り離された聖域のような状態で均一に高所得を得ている秘訣は、実は国民皆保険制度。

ゴッドハンドが診ても、グリーンボーイが診ても料金が同じなのは本来おかしな制度だが、腕の差による価格競争は確実に回避できるので医師会総体の利益には資する。たとえていえば、ミシュランの3つ星級レストランにとっては超格安価格になってしまうが、街角の飲食店にとってはおいしい価格設定となり、結局、数の多い街角の飲食店が潤う方が全体としては都合がよくなるということ。

 

そういった無競争システムが背景にあるため、需要の多いコロナ治療に料金を上げて医療機関が取り組む、というアニマルスピリッツも当然出てこない。公的病院以外には、患者のための奉仕精神に溢れた一部の医療者しか取り組まれていないのも、結局は経済原理が背景にある。

そして、医療資源が実はあるのに取り組む者(機関)が少ないがために医療破滅とまで言われる状況も当然生まれる。

 

そこを変えれば良いという究極の本音を菅総理はつい口走ってしまったのだろうが、ここは日本医師会が死守してきた本丸中の本丸。

日本医師会会長はこの質疑を聞いてどう思われたのだろうか。

 

二つの顔を持つ病気・整理①

世の中、なんでも二分して捉えられがち。

そういった方たちには私はコロナ軽視派に見えるらしい。

私は、ただ単にこの疾患の性質や陽性者数や重症者数などの経時的変化、諸外国の状況、対策の有効性とその弊害などを総合して意見表明しているだけなので、○○派とか固定した考え方はないのですが。

そこで、現時点でのまとめをしてみることにしました。

まずは、新型コロナという病気をどう捉えているかについて。

(以下はあくまで私がどういう考えを基礎として意見表明しているかをご理解いただくための投稿ですので、この整理が絶対正しいなどと言い張るつもりもありません。ただの素人なりの整理です。ですから間違っていたらご遠慮なくご指摘ください。勉強になりますので)

「①新型コロナという病気について」

風邪≒コロナではありません。2つの顔を持つ病気だからです。

コロナの特徴は、重症化が免疫暴走(サイトカインストーム)により起こるというもの。

そして重症化要因である糖尿病・高血圧等々は、最近の研究では慢性炎症に起因するもの(by前に頂いた宮坂先生のコメント)。免疫システムの一部でもあるサイトカイン(TNF-αやIL-6)は、まさに炎症を惹起させる原因物質)の一つ。慢性炎症があると、サイトカインの暴走が起きやすいようです。

ですから、軽症にとどまった例と重症例とでは全く別の病気といっていいほどの違いがあると考えています。2つの顔を持つ感染症なのです。

【1つ目の顔≒風邪】

サイトカインストームさえ起こらなければ、症状から見ればただの風邪。発熱や咳、下痢が起きるだけ。症状が全然出ないですむ割合も半分以上ある。

【2つ目の顔=凶暴な免疫暴走が起きる厄介な病気】

ただし、一旦免疫暴走が始まると全く別の凶暴な疾患に変化します。血栓症や間質性肺炎もその結果。血管内皮に巣くった新型コロナのサイトカインストームで血栓ができて、各所に塞栓を起こしたり、肺胞の壁が炎症で繊維化して間質性肺炎になり、酸素交換がうまくできなくなるのでしょう。間質性肺炎になれば、コロナ感染が排除されても、壁の間質化は残ってしまいますし、血栓症になった場合も同様で、血栓で組織が壊死したりすれば機能低下は起きるでしょう。これらが後遺症の正体なのでしょう。

最近の治療成績の向上は、ステロイドや抗血栓薬を使って、この変化をうまくコントロールして宥めることが出来るようになったからです。

例えれば、キレやすい人をブチ切れるとこまで持って行かずにうまく落ち着かせることができるようになったのです。

このような疾患であるからこそ、むやみに恐れたり、経済的打撃を無視してロックダウンで感染を無理矢理封じ込めようとするより先に、医療体制を拡大して「ブチ切れることを防ぐ」という対応を優先すべきではないかと思うのです。

そのため方策の一つには、医療側が取り扱いやすくするよう、指定感染症としてどのような取り扱いとするか定めている政令の改正をしていくことも挙げられるでしょう。

また、保健所がいつまでもクラスター対策として感染ルートを満遍なく行うのも取り止めて(勿論病院・高齢者施設など必要なケースには継続)、遺伝子解析を速やかに行い、変異株の出現に備えるなどに人的資源を投入していくのも効果的な対策となるでしょう。

また、肥満気味の方は先に挙げた糖尿病などの慢性炎症に起因する慢性病を複数持っているのが普通ですから、当然重症化しやすいでしょう。

アメリカ人などニュースみていても太っている人の割合が異常に多い。緊急事態宣言よりも3ヶ月で減量、を呼びかけて慢性病のコントロールを良好にすることを呼びかける方がより積極的かつ効果的な手法かも知れません。

また、これは私の勝手な推測ですが、20歳未満の重症者が少ないのは、免疫システムが未完成なのでサイトカインストームが起きにくいから(B型肝炎などの例からの推測)からなのでしょう。この世代にスポーツやリクリエーションなどの行動制限を課すのは不合理です。

本末転倒の議論

陽性者数が急増し、緊急事態宣言が取り沙汰された前後から、悪者にされ始めているものが二つある。

一つは居酒屋。もう一つは若者世代。

 

両方共に私は異論があるが、今回は後者について。

 

若者世代が感染を広げているので、若い世代の行動を抑えて感染拡大を防止すべき、という考え方があり、専門家や政府、自治体もそこに言及されることがある。

 

しかし、それは逆だろう。若い世代は感染してもリスクが少ない(下記グラフ参照)。リスクが少なく重症化割合も少ないので重症者の絶対数も圧倒的に少ない。ということは、医療機関にかけている負荷も少ないということ。

逆にリスクも高く重症者の絶対数も多い高齢者が気をつけるべき、というのが当たり前の考え方(勿論、高齢者施設・慢性期病院の従業者なども)。

(厚労省HPより引用)

 

都会はどうかわからないが、地方では、いかにも換気の悪そうな小さな居酒屋というか飲食店に早い時間から集まってカラオケやったり飲み食いされているのは高齢者の方々が多い印象。高齢者がこういったことに気をつけられて一定の行動制限する方がよほど合理的。ただ、これは高齢者の方々が感染したくないなら、という話。

居酒屋はともかく、屋外で元気に活動された方が日光によってビタミンDが生成され、よほど予防にも良いとは心の底から思うが。

 

そもそも核家族で高齢者と同居している若い人は田舎でさえ少ないのが現状だし、そういう家庭なら自分の祖父母守るために同居の家族が気をつければいいだけ。

圧倒的多数の独居若年層や核家族に行動制限とは発想が逆転し過ぎだろう。

 

若者世代は、この先ただでさえ高齢者の社会保障費という重い負担を背負い続け、そして異常な額に膨れ上がった国債を全部60年払いで受け持つという不合理が待っている。それなのに、これ以上若い世代にばかりクレームをつけるのだろうか。

 

そして、まるっきり無視されているが、判明している感染源では飲食店と同じくらいの感染源が職場。さらに、リモートワークが可能なきれいな職場ばかりではなく、サービス業などの現場仕事で働いているのも多くの若い世代。

若い世代は、懸命に働き、収入を得て高齢者の社会保障を支え、そして感染しているというのが現状だ。

 

「最後の一押し」をする前に

「新型コロナウイルスの感染深刻化で、政府が再び緊急事態宣言を発令する方向となり、企業の経営破綻や休廃業が急増する恐れが強まっている。既に2020年後半から飲食などを中心に体力のない中小・零細企業の息切れが鮮明になっている。再宣言で首都圏の経済活動が一段と停滞すれば、事業継続を断念する「最後の一押し」になりかねない。」

 

信じられないが、このことが今更記事になっている(時事)。今まで「医療機関の都合」しか頭に無かったマスコミが、ようやく気付いたのだろうか?

今まで何度も何度も申し上げてきたところだが、そんなことは普通に少し考えればわかる。

ただ、その少しにようやく思い当たったのであれば、考えを進めて、「最後の一押しをする前に何か出来ることはないか?」にまで考えを進めて欲しい。

医療崩壊が怖くて緊急事態宣言をしようとしているのだから、医療体制を拡大すれば?に行き当たるはず。

 

さて、その当たり前の「医療体制の拡大」になぜか誰も手を付けようとしない。

公立病院と違って、軽症者・中等症者でさえも、民間病院はほとんど受け入れていないのに。

あの小池東京都知事も、そのことについて医療側に要請すらしていない。

 

ただし、「誰も」は正確ではない。吉村知事は病院協会に要請をしたが、キッパリと断られている(産経)。

私も某団体のトップの方と個人的に意見交換させていただいたが、

「多数の病床を持つ公立病院でさえコロナを見る病床が拡大していない。それなのに民間企業にお前ら従えと一方的に言えますか?経済的人的補償もなしに。」

とある意味当然のご意見を頂戴した。

 

ということで、今必要なのは、特措法の改正による「医療体制の拡大」に対する法的基盤作り。飲食業者や劇場などの皆さんに法的根拠を持ってお願いすると同様に、公立病院にも民間病院にもパンデミックなどの非常事態においては、法的根拠を持って必要なことをしていただかなければなりません。当然、経済的補償を伴って。

 

ところが、何故か、知事さんたちだけではなく、立憲民主党も国民民主党も共産党も、そしてもちろん自民党・公明党も誰もこの点に手を付けようとはしていません。誰に配慮しているのかはわかりませんが。

 

そこで、他のどこの政党も出来ない内容を盛り込んだ「新型コロナ対策に関する提言-特措法の改正に向けて-」が昨日、日本維新の会から発表されました。足立議員の取りまとめによるものです。

 

そこに、私がずっと申し上げてきた「医療体制側の充実」についても概略次のとおり明記されています。

○医療機関を対象として、コロナ患者の受入や医療従事者の派遣といった医療等実施の要請・指示、更には命令規定を新設する。併せて医療機関が要請、指示、命令に応じてコロナ感染患者に医療を提供する場合には、医療機関に対して十分な経営補償(赤字補填、金融モラトリアム等)を行うものとする。

(日本維新の会「新型コロナ対策に対する提言≪第7弾≫4頁より抜粋)

 

政治は、巨大な権力や圧力団体、そしてマスコミに忖度することなく、必要なことをやるべきなのです。

緊急事態宣言では医療崩壊は防げない

東京都の小池知事らの要請に押される形で、菅総理が首都圏への緊急事態宣言の発令に踏み切る旨を記者会見で述べた。

 

飲食店を悪者にして、「始めに緊急事態宣言ありき」のような報道を繰り広げてきたマスコミや一部野党は溜飲を下げているかもしれない。

しかし、日本の中途半端な要請ベースの緊急事態宣言で、本当に首都圏の事態は変わるのだろうか?

 

気になるのはイギリスの状況。地域を区切ってまずは11月5日から12月2日まで、3段階のロックダウンで最も厳しいティア3(非常に高い)を導入し、

  • 自宅の庭や接客業の店舗など、屋内外での他世帯との集会は禁止
  • 公園などの公共スペースであれば、屋外で6人以内の集会が認められる
  • パブやレストランは配達やテイクアウト営業のみ
  • 屋内の娯楽施設は営業停止
  • 地元以外への移動は推奨されない
  • 美容院などは営業可能
という措置を取った(BBC)。これにより1日2万人前後の新規陽性者数が一旦1万5千人前後にまでは下がったがその後すぐに上昇に転じ、年末からは1日5万人前後にまで拡大して昨年12月31日にはさらに厳しいティア4(自宅待機)が導入された。
 規制が強化されたのはロンドン(全32地区とシティ・オブ・ロンドン)やイングランド南東部と東部の各州。
これによって現在、イングランドの人口の78%がこの「ティア4」下にあり、生活必需品を扱う店舗以外は営業を停止し、住民は通勤・通学など特定の理由を除き、自宅を出ることができない(Yahoo,BBC)。
しかし、この厳しい規制にもかかわらず、年が明けても1日5万人以上の新規陽性者数が続いている。
 
イギリスがここまでの厳しいロックダウンをしなければならない理由、そしてそれでも収まらない理由は、変異株の出現。
イギリス在住の医師・免疫学者の小野昌弘氏のレポートによれば(「英国と世界がコロナ変異株に警戒する理由」)、

「英国はもともと感染症の研究、公衆衛生・疫学・統計、ゲノム配列を決定するためのシークエンス技術といった科学に特に強い。そしてコロナ変異株の研究にはこの全ての分野が必要になる。これら全ての分野の科学者が参加した全英的共同研究チームCOG-UKが、パンデミック初期であった4月に設置。それ以来、COG-UKは日々変異株のモニタリングと性質の検証をしてきた。」

という。日本では考えられない素早い専門的対応により「英国は140万人の感染者をPCRで確認し、そのうち14万人分の検体のウイルスゲノム全配列を決定」したというのだから驚かざるを得ないが、これによって浮かび上がったのが「変異株B1.1.7(現在はVOC202012/01とよばれる)」の流行。

 

この変異株B1.1.7は「際立って多くの変異(17箇所のアミノ酸変化を伴う株特異的な変異)があり、8つの変異はスパイクタンパク(Sタンパク)にある」。そして、そのうち筆頭の「変異N501Y」は、「ヒトの細胞にあるタンパクACE2に結合しやすくなるとみられている。これがどの程度感染の動態を変えるのかはわかっていない。」

「また、N501Yは、マウスに対する病原性を強め、マウスに重症肺炎を起こすようになることがわかっている。しかし、人間でコロナ感染の病像を変えるか、重症度を変えるかどうかはわかっていない。」ということなので、警戒せざるを得ない特徴を持つ可能性がある。

 

このため、前記の通り11月5日―12月2日のイングランドのロックダウンで、北部イングランドでは流行が抑えられたものの、

「ケント州とその周辺では11月のロックダウンにもかかわらず流行の抑制がうまくいっていなかった。そして12月のロックダウン解除後1週間もたたない12月8日までにケント州で流行の明確な増加がみられた。 そこでイングランド公衆衛生局は増加の原因を詳細に分析。これにより、ケント州から採取されゲノム配列が決定した915検体のうち828検体は変異株B1.1.7によるものであることが判明した。」

つまり、日本とは比較にならないほどの大量かつ詳細な分析により、客観的かつ科学的にロックダウンが機能しない理由が「変異株B1.1.7」の流行によるものであることが突き止められているのだ。

そして、「爆発的な変異株B.1.1.7の流行地域では、感染者数の急増にともなって、入院患者・重症患者が急増し、春の第1波にくらべても、かつてない最悪のレベルにまで医療が逼迫している」

 

 

さて、話を日本に戻そう。

日本でも、検疫に置いて「変異株B1.1.7(VOC202012/01)」の陽性者は確認されている(厚労省)。日本の検疫は、一歩検疫所を出ればあとは入国者の自主性に任せられている「ざる」なので、陽性反応が出ない(偽陰性もしくは感染から間がない者)によって既に国内に持ち込まれていることはほぼ確実だろう。現に成田空港のある千葉県において発熱者などの初期診療にあたられている開業医の方が、抗原検査で瞬時に陽性反応が出る新しいタイプの患者の出現とその数の多さに驚き、変異株との関連を推察する投稿をFacebookに投稿されている。

 

仮に現在の首都圏における新規陽性者数の急増の原因が、この「変異株B1.1.7(VOC202012/01)」に関連するものだとしたら(あるいは今後これに関連した感染拡大が起きるとしたら)、イギリスに比べてはるかに生ぬるい日本の緊急事態宣言など、流行の制御・抑制に何の役にも立たないだろう。政治家のパフォーマンスには役立つかもしれないが、結局は、彼女ら、彼らの自己満足感を充足するだけだ。

そして、この変異は、全国に広がる・あるいは既に広がっている可能性がある。

 

やはり、今直ちに取り組むべきは、人為的コントロールが困難な「変異株ウイルスの感染拡大」に対する対策ではなく、人の努力によってなしうる「医療体制の強化・拡大」である。

これは国や地方自治体のトップ、そして医師会など関連団体がやる気にさえなれば難しいことではない。EUなどが既に実施している事ばかりだからだ。具体的には次のような措置。

民間病院の軽症者・中等症者の受け入れ病床を増やし、国公立病院(大学病院含む)に重症者用病棟を設け、一部は専門病院化する。全国に複数ある自衛隊病院の軽症者・中等症者受入病院化も検討すべきだ。

また、県境に壁が設けられている訳ではないので、国がコントロールして全国に患者の割り振りと輸送を行うべきだ。どうせ面会は出来ないのだから、患者にとっても不便はない。

医療従事者の融通も進めるべき。インフルエンザがこれだけ下火というかほぼない状況からすれば、全ての医療機関で逼迫が起きているはずもない。余裕があるところも逆にあるはず。

そして、当然ながら、これらの全てに対し、財産的補償や報奨はきちんとなされるべき。

 

年末にSNSで知己を得たある著名な医療関係者は、上記のような私の意見に対し、

「多数の病床を持つ公立病院でさえコロナを見る病床が拡大していない。それなのに民間企業にお前ら従えと一方的に言えますか?経済的人的補償もなしに。」

とおっしゃった。確かにその通りだろう。であるならば、この点に関する特措法改正も当然必要になる。

 

菅総理に強く提言したい。マスコミの圧迫やそれに扇動された世論の圧迫で、パフォーマーである小池東京都知事らの緊急事態宣言要請を受け入れざるを得なかったのは、「政治」の宿命だったかもしれない。しかし、真に実効性のある改革を目指されている総理なのだから、同時に「医療体制の強化・拡大」について直ちに着手していただきたい。

 

特措法改正が政治日程に上っている今、この点についての欠缺を埋めることこそ真に取るべき政策だ。

バランスが崩れ過ぎた緊急事態宣言の要請

東京都と首都圏3県の知事が政府に緊急事態宣言を要請した。

西村経済相が「宣言も視野に入る」と発言し、菅首相も4日に記者会見の予定ということなので、おそらく首都圏などに限った部分的な宣言がなされてしまうのだろう(日経)。

 

この動きの背景には、単に陽性者数の増加傾向がなかなか収束しない、ということだけでなく、例えば東京都では12月30日、31日、1月1日と3日続けて新規入院者数が100人単位で増えたことが響いたのだろう。

 

その気持ちも当然理解できるが、その効果は本当にあるのだろうか?

日本と同じタイミング、同じ感じで増え続けているのが現在のイギリス。

ところがそのイギリスは、11月5日から生活必需品を除く小売り・飲食店などの全面閉鎖、在宅勤務ができない仕事以外などはステイホームで仕事しなくてはならない、という日本よりも強力なロックダウンを若干の間断を入れつつ取ってているが(ロイター)、このところ陽性者数はうなぎのぼりの様相で、1月1日の新規陽性者数は5万3285人。日本の10倍以上だ。

 

日本でも春先の緊急事態宣言は、実効再生算数からするとすでにピークアウトしてからのものであった(宣言前にR<1.0になっていた)とも言われていたが、このほかに人々の行動変容の効果が疑問視されるという研究結果もある(日経)。

また、現在では東京都の発表する資料(12月30日東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議(第26回))からすると、接触歴等不明(つまり感染ルート不明)の陽性者が60%前後に上っている上に、その陽性者からの濃厚接触者で発症したものの80%は、家庭・施設・会社での感染。したがって、春先のように飲食店などに営業の短縮や自粛を求めても効果があるかは疑問とされるところ。

 

 

また、「東京大学の渡辺努教授らが全国の約7800万台のスマートフォンから得たデータをもとに推定した。政府介入より情報提供が効果的だとの結果」が出たという(日経)。

 

この指摘はとても大事だ。というのは、春先と違ってかなりの数の国民が、不十分な政府の情報提供やマスコミ(特にワイドショー)の扇動にも関わらず、この新型コロナウイルスという新しい感染症が、この日本においては、50代以下の働き盛りにとっては、言われているほどの脅威をもたらすものでないことを知ってしまったからだ。

 

「出典:厚労省HP・【国内の患者発生に関する参考資料】○新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年12月29日18時時点)

 

そして、今後発令されるであろう緊急事態宣言は、中小事業者、芸術団体を含むイベント関連事業者、とりわけ飲食業者にとっては、文字通り致命的な打撃を与える恐れが大きい。忘新年会需要を奪われたことで存続を諦める飲食店も多かったと伝えられているが、今度の緊急事態宣言は、その期間と範囲にもよるが、発令の対象となった街の飲食業者を根絶やしにすることにも繋がりかねない。

 

一方で、緊急事態宣言の要請理由について小池都知事はこう語ったそうだ(前記日経)。

 

「陽性者数や医療提供体制の現状を踏まえると、直ちに徹底した人流の抑制を図る必要がある」

 

つまり、日本医師会会長や東京都医師会会長らが口を揃えて言っているように「医療崩壊を防ぐため」だ。

ところが、肝心の医療体制強化については、都知事からも医師会長らからも少しも声は聞こえて来ない。

東京都の感染症モニタリング会議(第26回)の議論を見ても、わずかに

 

「入院患者数の急増に対応するため、都はレベル 3-1(重症用病床 250 床、中等症等用病床 3,750 床)の病床の確保を医 療機関に要請し、約 3,500 床、うち都立・公社病院約 1,110 床確保している。また、都はすでに依頼している都立・公社病院に加え、その他の感染症指定医療機関(8 病院)に対し、中等症等病床の倍増(約 70 床)を依頼した。」

 

と表記されているにとどまる(同会議「専門家によるモニタリングコメント・意見【感染状況】」)。

大阪府で吉村知事がされたように、知事自ら民間病院に新型コロナ対応病床の準備を掛け合うなどは全くされていないようだ(産経)。

 

自分たちの権利を守るためにものを言ってくれる圧力団体もなく、潰れろと言われるに久しい緊急事態宣言を、客観的根拠も示されないまま受け入れざるを得ない中小事業者、飲食事業者、芸術団体を含むイベント関連事業者。

一方で、強力な政治力を持ち、大阪府知事からの要請も「民間に必ず感染症の専門医がいるわけではない。ゾーニング(区域分け)など感染防止のノウハウも、設備投資の余裕もない」「院内感染からクラスター(感染者集団)が発生すれば、病棟を閉鎖し、経営を直撃することになりかねない」(府病院協会会長・前記産経より)とキッパリと断れる医療界(ただし、東京都知事は要請すらしていない様子)。

そして、緊急事態宣言が政治的得点となることを熟知して、都立病院を新型コロナ専門病院に改変する、民間病院に頭を下げて頼み込むなどの医療体制強化には手を付けず、もっとも派手な政府への要請というパフォーマンスを行う東京都知事。

 

やはり今のこの国はバランスが崩れ過ぎている。

このままで、仮に緊急事態宣言が出されたとしても、国民が春先のように唯々諾々と従うかは、甚だ疑問と言わざるを得ない。

マスコミの終わりが始まった年

【2020年を振り返って】

将来振り返ってみた時、今年は新型コロナウイルス・パンデミックが、世の中を大きく変えるきっかけとなった年として記憶されているかもしれない。

 

マスコミの垂れ流す情報が一方的で、かつ世の中に害悪を与えることが大きいことが多くの方の胸に刻み込まれ、一方では、個々人の発信の方に正確かつ最新の情報があることが、このパンデミックのおかげで明らかになったのだ。今はまだ玉石混合状態で、その取捨選択に一定の知識や経験が必要とされるが、やがてその点についても何らかの新しいシステムやノウハウが開発されていくだろう。

 

私の身近においても、本当に些細で違法性もないようなことでハイエナのようなマスコミに追い回されている方がいる。そして、そういったマスコミに毅然と若しくは鷹揚に対抗できるのは、実は今の世の中では自民党くらいのもの。あとの大多数の組織は、マスコミが思い切り増幅したヒステリックな声に対抗できず、身内に対し、やらずもがなな処罰を与えがちだ。

こんな不正義は、もう終わりにしなければならない。そのためには、今年をマスコミの終わりの始まりの年にしなければならない。マスコミの集団リンチや津波のような洗脳を本当に終わりにさせるためにはマスコミ自体を、ブラウン管TVやフィルム写真のような過去の産物にしていかなければならない。彼らには過去の過ちを正すための80年間の猶予があった。しかし、何も変わらなかった。もう猶予は終わりだ。

低生産性上等!

新型コロナ関連の話題から少し離れて。

 

唐突だが、デービッドアトキンソンの生産性オンリーの考え方、そしてそのための最低賃金さえ上げれば日本企業の競争力が強くなる、という理論は間違っていると考えている。

その考え方は、政府が借金して民間に金をバラまけば景気が良くなるという日本流MMT(本家MMTは実は少し異なる)と同じで、「マネー主導」で実態を良くしようというものだが、世の中そんなことでは変わらない。

 

在宅医療に取り組まれているドクターが、生きがいである職を奪われて枯れていってしまった元オーナーシェフの方のお話、そしてその悲しい話とは対照的に、一人暮らしの高齢女性が貴重な少量生産を続けて社会の需要を満たすと共にご自身の健康レベルも維持されているお話などをFacebookで紹介されていた。それを読んで、ドクターも示唆されている、中小企業淘汰論の気付かれていない副作用に思いをいたした。

 

 
 

実際、公園のベンチで朝から酒を一人で飲んでいる方などを見ると、一定の年齢で仕事から切り離される今の社会システムが人の幸せに繋がっているのか疑問に思う。

自身も普通であれば定年を迎える年齢近くにあり、友人が実際に引退しているのを見ると、定年や選挙という選別により強制的に職を退くことがない弁護士という基盤を持つことが、とてもありがたいことなのだろうと気づかされる。

もちろん、夢の引退生活を思い描いた時もあったが。キューバあたりで海岸を眺め、生のジャズを聴きながら昼から美味しいカクテルでも飲む夢。まあそちらは夢で終わりそう。

(出典:厚労省 平成29年度第3回入院医療等の調査・評価分科会資料)

 

日本の近未来の課題は間違いなく高齢者層がほぼ4割を占める高齢者主体社会。4割の人間が生きがいを感じつつできるだけ健康年齢を保つ社会を築くのが、本当は最優先かつ最大のテーマだろう。

主要な解決策の一つは、高齢者になっても、それまでの人生を共に歩んできた「仕事」というものを出来る限り続けていく、そういうことが可能な社会設計を今から進めていくことだろう。

 

それが出来れば高齢者の介護費用やら医療費やらまで考えれば、逆に社会全体のコスト圧縮にも繋がる。

目先の数字ばかりに囚われて、全体を見失わないことが肝要だ。

積極的な受診を!

立憲民主党の羽田参議院議員がお亡くなりになった。働き盛りの年代で突然の死を迎えられたことに心よりご冥福をお祈りします。

 

この極めて残念な出来事の詳細が明らかになるにつれ、なんとか最悪の結果を迎えることが回避できたのでは、という思いが募る。

立憲民主党が明らかにされた概要をまとめると以下のとおり(一部情報を加筆)。

 

【年齢53歳。基礎疾患は、糖尿病、高脂血症、高血圧等】

23日(水):東京→長野(県連会議)→東京(財務省職員と面談)。症状の有無については言及なし

24日(木):11:30頃、参院診療所に秘書から連絡が入った。症状はないが、羽田議員の近場の人に陽性が出たという連絡があり、PCR検査がどこで受けられるかという問い合わせをしたいということだった。院内の診療所からは症状がない場合には、民間のPCR検査しかできないので診療所から民間PCR病院のリストをファックスで送った。そのリストの中にあった、羽田議員の主治医のいる紀尾井町メディカルクリニックに連絡したところ、検査ができないということで、翌日まめクリニックに予約をすることになった。深夜に38.6度の発熱

25日(金):九段下のまめクリニック(無症状者へのPCR検査を手広く行われているところ)にネットでPCR検査の予約をした。自宅で過ごす。体温は朝が36.5度、夜が38.3度

 

26日(土):自宅で過ごす。体温は朝が37.5度、夜が38.2度

27日(日):15時45分からまめクリニックにPCR検査の予約が入っていたので、秘書が自宅に迎えに行き、クリニックに向かう途中、羽田議員の呼吸が荒くなり、「俺、肺炎かな」と羽田議員が言った後会話が途切れたので、後部座席のドアを開け、議員に声を掛けて触れた。若干異常だったので、すぐにその場で救急車を手配して、救急車で東大病院に搬送した後、死亡が確認された。病院外で死亡されたと判断されたので、検死に移し、夕刻に結果の報告。

 

 

当初、心筋梗塞との報道もあったが、この経過をみると異なるようだ。

残念でならないのが、結局、初期診療がなされないまま死亡に至っていること。初発の症状が明らかではないが、立憲民主党の発表だけを見ると24日深夜の38.6度の発熱。しかし、その前の24日午前に秘書が参院診療所にPCR検査についての問い合わせをされているので、何らかの症状がその時点あるいはそれ以前にあったのかもしれない。そして、25日にも受診はなされず、結局無症状者へのPCR検査を謳い文句にされたクリニックへの検査予約を27日の日曜日にされたまま、そこに行き着く前にお亡くなりになった。東大病院でも搬送前死亡なので治療はなされなかったのだろう。

 

この経過で思い起こされたのが、鳥取県知事の次の言葉。

 

「全員がすぐ入院できる態勢を確保しており、まず肺や血液の酸素を調べる。比較的簡単に状態が分かる。よく「元気な人が急に亡くなる」と言われるが間違いだ。必ず軽症から中等症、重症へと経過をたどる。」(中国新聞

 

ここで言及されているのがパルスオキシメーターによるチェック。指に挟むだけの簡単な装置で、患者になんの負担もなく血液中の酸素飽和度を測ることができる。これが下がっていれば、酸素交換がうまく出来ていないことを示している。つまり肺に異常があることがすぐにわかるのだ。急に亡くなる前に症状の進行を把握できる重要な武器だ。

 

そして、初期診療を受けることは大切だ。迅速抗原検査で新型コロナについてPCR検査よりも早く簡易に確かめられるし、パルスオキシメーターや血液検査(D-dimerなど)で症状の悪化の兆候がないかも確認できる。必要があればX線やCTで肺の異常所見がないかの検査・診断も。そして、持病などのリスク要因も加味した上で、パルスオキシメーターやバイタルサインなどで経過観察をしていけば、症状の進行があった際には適時に抗凝固薬やステロイドなどの対症療法を開始することができ、重症化や死亡を防げる。そういった手順が定まってきたことが今の死亡率の激減の大きな要因なのだ。

 

故人にはまさに重症化リスクとして挙げられている糖尿病、高脂血症、高血圧の持病がおありだったとのこと。

また、息苦しさなどの自覚症状がないまま、肺の異常が進む(「幸せな低酸素症」と呼ばれている)ことがあるのが新型コロナウィルス感染症の重症例の特徴の一つ。経過をみるとこれが起きていたのかも知れない。

今回の悲劇は、起こりえることがまさに起きてしまったものといえるだろう。

 

ここで是非申し上げておきたいのが、今回の残念な事態を「PCR検査をしなかったから」と短絡的に喧伝されるのは、再び同じ事態を招きかねない、ということだ。

既に煽り専門ともいえるワイドショーの某コメンテーターが実際に行っている(「人の死まで煽りに利用するコメンテーター」)ところ。しかし、経過をみると、PCR検査だけでは今回の死亡は防げなかった。

最初の発熱段階で「診察」をお受けになることによって初めて、前記のとおりPCR検査だけにとどまらず必要な検査(血液検査、血中酸素飽和度、X線など)が行われるからだ。そして、リスクに見合った経過観察(パルスオキシメーターによる経時的チェック)やより詳細なCT検査の結果によって標準的な治療(抗血栓薬、ステロイド)が行われれば、鳥取県知事が言われている通り重症に至る過程でそれを掴んで最悪の結果を遮断できたかもしれないのだ。

 

10月頃までとは違い、現在はどの地方自治体でも発熱外来が整備されていて、初期段階で誰でも医療にアクセス出来る態勢は整ってきている。

今回は、おそらく要職に就かれている国会議員ということもあり、受診に対する心理的バリアもあったのかもしれない。その点についても、社会が、もっといえばマスコミが、感染したというだけで大袈裟な報道をすることを控えれば取り除けるはず。

 

故人がお亡くなりになったばかりのタイミングで、経過について詳細に論じることは本当に申し訳なく思うところだが、同じ悲劇が起きないために、敢えて書かせていただいた。症状があれば、ためらうことなく発熱外来を受診していただきたいし、それを妨げる心理的バリアを取り除くよう、社会ー特にマスコミーは意識を強めるべきだ。

人の死まで煽りに利用するコメンテーター

ワイドショーのコメンテーターが、国会議員の死亡について、

 

「もし、本当にいっぱいで4日間、(検査を)受けられなかったということなのであれば、国民の代表である国会議員が急死されたということであれば、国会として対処しなければいけないでしょう」と話し、「今まで我々、PCRをずっと言ってきたんだけれども、そういうことができていなかったわけですから。アメリカなんかは(来年)3月末までで1週間で2億回、検査ができる形になるんですよ。ワクチン接種も始まっているのに、まだまだ検査を増やそうとしている。日本はそれを横目で見て、もし、今回のケースがそういうケースであった場合、政府はどういう風に言うのか?」

 

と語ったと伝えられている(スポーツ報知)。

 

しかし、春先であればともかく現在において、普通に考えればPCR検査を受けたくて受けられなかったとは考えられない。

あり得るのは受診したが医師が必要ないと検査を進めなかったか、ご本人が受診や検査を躊躇されたか。

 

報道によれば「党の関係者によりますと、羽田氏は今月24日ごろに発熱して体調不良を訴え、27日にPCR検査を受ける予定だと伝えていました。」(NHK)とのことなので、医療機関への受診自体を控えておられたのかもしれない。

仮に受診していれば、PCR検査に限らずとも迅速な抗原検査もあるし、CTや血液検査(D-dimer)も、パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の確認も出来たはずだ。

 

一方で、12月21日の記者会見で、田村厚労大臣は現在の検査能力は1日10万9千件、まだ余力あるので逼迫すればいつでも増やせる状況と話されている(大臣記者会見)。

 

以上によれば、亡くなられた国会議員の方が、PCR検査を受けたくて受けられなかった可能性は極めて薄い。その事実があったとしたら、何より、その立場で政府を激しく追及してきた議員の所属政党が黙ってはいないだろう。

 

今の混乱した状況を招いている主因の一つは間違いなくマスメディアの根拠なき、あるいは真相から目を逸らした過剰報道。

お亡くなりになった議員が万一受診抑制されていたとすれば、その動機となった可能性もあるだろう。

その「煽り報道」の先頭に立ってきた番組のさらにまた先頭に立ってきたコメンテーターが、人の死を最近ようやく鎮静化してきたPCR検査絶対信仰の煽りに使おうとするその姿勢は、許容範囲をかなりの程度超えている。