医療現場最優先‼

我が目を疑うような記事を目にした。国土交通省が、医療現場でも使用可能なディスポーザブルなマスクを、全国の倉庫関係など所管する業界団体に仲介しているというのだ。

 

静岡新聞のスクープ記事だが、国交省担当者は「倉庫業以外にも、省内の各局が所管する他業種に同様の案内を出した。政府のマスクチームが医療や介護の現場をケアしているので、他で必要な分を奪っているわけではない。」とコメントして悪びれた様子もない。

しかし、医療現場でマスクが不足しているのは周知の事実。最前線に立つ医療者たちが二次感染の危険にさらされながらサージカルマスクの再利用などを余儀なくされている。

神奈川県医師会副会長も「できる限りの感染対策は当然尽くします。ですが、そのための医療物資も本当に足りません。マスクが足りません。アルコールも足りません。そして緊急時に使用する防護服(服とフェイスシールド)もありません。」とその厳しい現状を訴えている(J-CAST)。

 

そんな中で、「他のマスクチームがケアをしているからいい」とは、一体どんな感覚なのか?

 

省益や縦割り行政などしている場合ではないことぐらい、いくら何でも気づくべきで、そんなルートがあるなら、さっさとその分を厚労省に渡してもらいたい。

 

ドイツ・メルケル首相が言ったとおり、このコロナウイルスとの戦いは、医療システムを守る戦いである。医療システムさえ維持されていれば助かる命が、これが崩壊したときには見殺しにされざるを得ない状況となる。そして、イタリアなどに続いてこの日本でそれが現実になりつつある。最優先の課題が何かは、誰の目にも明らかだろう。

 

ところが、これに対して日本では、政治も、行政も、そしてすべてではないが一部の国民も、その最重要課題をきちんと理解していないのではないか?

医療現場を最優先しない冒頭の事例だけではない。一部で見られる医療従事者やその家族に対するバッシングや差別的取り扱いも、何が大事なのかを理解していないが故に起きていることであろう。

 

最優先課題である以上、前線に立つ方たちに対して正当な報酬で報いることもまた当然。

ところが、私の地元における情報として、まさに最前線の感染症(コロナ)病棟の看護師の危険手当は日額2000円、いつ感染者に遭遇するかわからない救急外来は同1000円とのこと。

一般的な感覚としてリスクに見合う報酬増額とはとても言い難い。

政府はその財源として診療報酬加算を認めることとしてはいるが、このやり方では、現場の医療従事者の方たちにこれが届くかは定かではない。

ここは、感染症病棟や救急外来の方たちに例えば日額1万円の危険手当を支給し、その財源は政府が拠出するなどというストレートなやり方に改めるべき。

 

政府は施策に魂を入れて、医療システムをなんとしてでも守る、という危害をもって取り組んでもらいたい。