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CDCも「不要なPCR検査はやっぱり不要」

今や新型コロナウイルス対策は,社会・経済活動とリスク低減をどう衡量させていくか,を議論すべきフェーズ。

政府の分科会委員押谷氏が日本感染症学会で提言されているところだ(「感染症学会での~」)。また,安倍総理も感染症法上の分類を見直す可能性があると報じられているが,これもその議論の一環と捉えることができるだろう。

 

一方で,巷では相変わらず「PCR検査」を拡大しなければ何も始まらない,と思い込んでいる方が多く,厚労委員会でも最大会派野党議員が繰り返し政府に「無料で,誰でも」と迫っている始末。

皆さんご承知のとおり,朝のワイドショーで某薬学部教授とコメンテーターがPCR検査を絶対視するようなやり取りを繰り広げた結果,一部で「PCR教」と揶揄されるほどの状況が生まれていて,他の議論が疎かになってしまっているのだ。

 

そこで改めて述べる。

PCR検査に費用も労力もかからなければいくら拡げても別にいいが,1回のコストが数万円,採取や検査に結構手間がかかるときているのだから,医学的・疫学的に意味がなければ無闇にこれをやる必要はない。

そしてあの,マスクに対する評価を世界的に一変させた,感染症について世界で最も権威あるCDCの指針は,「症状のある者,濃厚接触者」限定,が基本なのだ。

 

Considerations for who should get tested

  • People who have symptoms of COVID-19
  • People who have had close contact (within 6 feet of an infected person for at least 15 minutes) with someone with confirmed COVID-19
  • People who have been asked or referred to get testing by their healthcare provider, localexternal icon or state health department.

Not everyone needs to be tested. If you do get tested, you should self-quarantine/isolate at home pending test results and follow the advice of your health care provider or a public health professional.

 

以下は機械翻訳。

 

「誰がテストを受ける必要があるかについての考慮事項

・COVID-19の症状がある人

・COVID-19が確認された人と密接に接触した人(感染した人から6フィート以内に少なくとも15分間)

・医療提供者、地域または州の保険局から検査を受けるように依頼または紹介された人々

全員をテストする必要があるわけではありません。検査を受けた場合は、あなたはテスト結果まで自宅で自己検疫/隔離し、医療提供者または公衆衛生専門家の助言に従う必要があります。」

 

つまり,①症状がある者,あるいは②距離と時間で限定された濃厚接触者,③医療機関や保健所から依頼された者,以外はテスト不要がCDCの結論。

ただし,CDCのこの指針については,改訂されたとされ「24日に更新されたCDCのサイトには、感染者と6フィート(約1.8メートル)以内で15分以上接触したが症状が出ていない場合、本人の重症者リスクが高いケースや、医師や、保健当局から指示されたケースを除き、必ずしも検査を受ける必要はないと書かれている。」と報道されているが(CNN),サイトを見る限り「濃厚接触者だが無症状」は除く,とされているようには見えない。

この報道に従えば,改訂前であればPCR検査を巡る必要性の判断は日本と同じ,改訂後であれば,日本より厳しい,ということになる。

 

同時に注目すべきは,このサイトに書かれているテスト検査が「陰性」であることの意義。

 

「陰性のテスト結果は、テスト時にCOVID-19を持っていなかったこと、またはあなたのサンプルがあなたの感染の早すぎる早期に収集されたことを意味します。また、テスト後にCOVID-19にさらされ、感染してウイルスを他の人に広める可能性があります。」

 

すなわち,「陰性」の結果が意味するのは,検体が採取されたその瞬間が陰性,というだけの話。その次の瞬間は陽性かもしれない,というわけだ。

したがって,疫学的見地からも,いくら検査数を拡大しても,閉鎖された全地域でそこの全人口に対し,同時にやるのでなければ根絶できない。陽性者に対する追跡・隔離が徹底できれば多少の意味は出て来るが,これも無闇に拡大すれば,逆に医療機関や保健所のパンクを招く。先日の沖縄県がその例だ。

 

結局のところ,新型コロナウイルスであっても,他の感染症と同様,医療機関が必要とした場合に検査は行われる,それで十分なはず。

むしろ問題は「検査」が受けられないことではなく,「診療」が受けられないことにある。

 

そろそろ「世界がー」などとは言わず,冷静に考えてみてください。