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マスコミが「公正」だと言いたいなら

大阪の未来と、日本の未来。これを左右する大切なチャレンジ、「大阪都構想」の住民投票を目前に控え、毎日新聞がまたやらかしたのがつい昨日。

トップ記事で誤報をやらかす数々の過去を持つ毎日新聞が、単なる「地方交付税算定のための試算」を持ち出して、「行政コスト増 218億円」と大見出しを打ってあたかも200億円の行政コスト増が生じるかのようにスクープとして報じたのだった。その背景には政治的思惑やら既得権益やらが蠢いていたことが窺われるのだが(「反対派の陰謀」)。

そしてこれに乗っかってしまったのがNHK朝日新聞

 

NHKも朝日も松井大阪市長のコメントこそ載せてはいるが、NHKのタイトルは「市分割でコスト218億円増試算」、朝日のタイトルは「「年218億円増」試算 大阪市、単純に4分割なら」となっていて、毎日と同じように誤導を生じやすいセンセーショナルなものだった。

 

しかし、この218億円増とは、実は地方交付税算定のために決められた算定項目によって積み上げられた架空の数字。「各地方団体の支出の実績(決算額)でもなければ、実際に支出しようとする額(予算額) でもない」(総務省)もので、大阪市が基本設計で実際にかかりそうな試算を積み上げて「リアルな予算ベースで計算し、はっきり黒字になるということを長期の財政シミュレーションでお示ししている」(松井市長)とは比較すら出来ないような意味のない数字。

 

それを、突如このタイミングで持ち出すそのやり方は「公正」ということからかけ離れたものだし、それをただ垂れ流した毎日の報道は、正義を重んじる普段の姿からはかけ離れたもの。毎日に追従した朝日新聞やNHKの報道は、松井市長のコメントを載せたところは公正さに配慮した面を見せてはいるが、記事の中身とは不釣り合いな見出しを掲げたところは、やはりどうか?

 

大阪市は本日、こうした偏った、そして不正確な報道に対し、次のような見解を表明している。

 

「1.試算作成の経緯・前提

  • 複数の報道機関から財政局に対し、大阪市を4市に分市した場合の基準財政需要額と大阪市の基準財政需要額との比較について試算作成の依頼があり、新たな特別区制度に即した正確な試算はできないことを前提として機械的に作成し情報提供したもの。
  • 単純に大阪市を4つの政令市に分割する簡略な方式で試算したもので、事務分担など今回の特別区の制度設計の内容に基づいたものではありません。

(注)基準財政需要額とは、各地方公共団体の支出の実績(決算額)でもなければ、実際に支出しようとする額(予算額)でもありません。

 

2.特別区設置にかかる実際のコストについて

  • 特別区設置に伴い実際に発生する職員体制の整備に伴う経費や設置コストについては、特別区制度案や財政シミュレーションにおいて実態に即して積算のうえ示しており、これに基づき、特別区設置協定書も作成されています。

 この度は、財政局が試算した前提から外れ、特別区設置に伴うコストが増加すると受け取られるような報道がなされ、市民の皆様に誤解と混乱を招く結果になったものと考えています。

 市としては、今回の特別区設置に必要なコストを算出したうえで、協定書を作成し、説明資料も作成しています。市民の皆様におかれては、正確な情報に基づいてご判断いただきますようお願いいたします。」

 

大阪市当局は記者会見も行っており、これらの動きを受けて、NHKは「大阪市コスト試算 制度基づかず」とタイトルして、事実上の訂正報道を行っている。

 

さて、そもそもの毎日新聞はどうするのか?そして、朝日は大阪市の見解をどのように伝えるのだろう。

彼らが普段の報道において、常に強調している「公正」や「真実」を重んじる姿勢が口だけのものでないのであれば、ここは素直に訂正報道を行うべきだ。

そうでなければ、普段行っている政権批判やら何やらは単なるポーズ、「過ちを認めないのは、常日頃批判している対象と同じです。」という事実を世間にさらけ出すことになるだろう。

明日の紙面が注目される。