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ボリス・ジョンソンからの飾りのない、しかし心に響く手紙。

今朝、イギリスのジョンソン首相がICUに入られたとのニュースが飛び込んできた。

ここまで、イギリスの新型肺炎感染拡大に真っ正面から取り組んでこられ、その国民に対する指導力に強く感銘を受けていただけに、とても残念だし、必ず回復されるよう心からお祈りする。

 

そんな中、ジョンソン首相の手紙が、イギリスの全家庭に小冊子とともに配布されたという(BBC)。

小冊子の中身は外出についての政府規則や健康情報など。

そして、手紙には「市民に外出を控えて感染拡大を防ぐことで、国民医療制度の国民保健サービス(NHS)がパンクしないように協力してほしい」、ということ、さらに、「医師や看護師をはじめ、様々な形で他人を介護し面倒を見る人たちをたたえたほか、特に弱い立場にあり感染発症リスクも高い人たちを支えるために協力を買って出ている数十万人のボランティアをたたえた。」ということがしたためられていた。

 

この新型コロナウイルスという新しい疫病について、もっとも肝要なのは「医療サービスを守る」というところにある。それは、ドイツのメルケル首相も共通した認識に立つもの。

そして、その戦いの最前線に立つ医師や看護師、介護にかかわる人々をたたえることはとても大切なことだ。

利己主義に陥り、医療者やその家族をバッシングするという、本当に情けない状況に陥りつつある私たちが心するべきところをまるで見透かしたかのように、遠く離れたイギリスの首相によってしたためられたこの手紙は、シンプルにしかしきちんと叱っているかのよう。

 

これは、ジョンソン首相が重症化する前に書かれた手紙である。その重みを噛みしめながら、私たちは「緊急事態宣言」を迎える必要がある。

出来るならば、安倍首相からも、国民一人一人に心からの訴えかけをしてほしい。

官僚の作文ではないものを。

国民の間に生まれてしまっている、分断や不平不満、そこを乗り越える心のこもった呼びかけが今、我が国のリーダーには求められている。

 

なお、私の事務所で作成した、全訳(SNSで作成されたものも参考にさせていただいた)をここに記しておく。早急に用意したものなので、誤りがあるかもしれない。あらかじめお詫びしておく。

 

「この手紙は、コロナウイルスとの闘いに際し、私達がとるべき最新の対策をお知らせするために書いています。

たった数週間の内に、この国の日常生活は劇的に変化しています。私達は皆、自分自身のみならず、愛する人や地域社会にもコロナウイルスが大きな影響を与えていることを感じています。

私は、この混乱が皆さんの生活、ビジネス、仕事にもたらしている困難を完全に理解しています。しかし、私達がとっている行動はある非常にシンプルな理由から絶対的に必要なものなのです。

一度に多くの人が重症化すればNHS(※国民保険サービス:イギリスの国営医療サービス事業)は対応できなくなります。これは命を奪うことに繋がります。私達は病気の拡大を遅らせ、できるだけ多くの命を救うために、病院での治療を必要とする人の数を減らさなければなりません。

これが、「家にいなければならない」というシンプルな指示を出している理由です。

同居していない友人や親せきに会ってはいけません。食べ物や薬を買う、1日1回の運動をする、診察をうけるなど、ごく限られた目的のためにしか家を出てはいけません。通勤は可能ですが、できることなら自宅で仕事をしてください。

外出する際には絶対に、どこであろうと、あなたと同居している人以外とは2メートルは離れるようにしてください。

これらのルールは守られるべきものです。このためルールを破った場合には、警察により罰金が課され、集まりは解散させられることになります。

あなたやあなたのご家族に対する経済的な影響を深く心配されているだろう方が多くいらっしゃることは承知しています。政府はあなたが家計のやりくりをし、食卓に食べ物を並べるのを助けるために必要なことはなんでもするでしょう。

同封のリーフレットに、利用可能な支援とあなたが従うべきルールについて詳しく記載されています。最新の情報はgov.uk/coronavirusでもご覧いただけます。

当初から、私達は適切な時期に適切な措置を講じるように努めてきました。科学的、医学的な見地から必要だと言われれば、さらにこれ以上のことを行うこともためらいはありません。

私は、皆さんと率直に話すことが重要だと思っています。私達は、事態が良くなる前に悪化するであろうことを理解しています。しかし、私達は正しい準備をしていますし、私達全員がルールに従えば従うほど、失われる命は減り、早く元の生活に戻ることができるのです。

ウイルスの撲滅に全力で取り組んでいる皆さん、特にイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの素晴らしいNHSや介護部門のスタッフの皆さんに感謝したいと思います。我が国の医師や看護師、その他の介護者らが、その時のニーズに見事に対応しているのを目の当たりにし、本当に感銘をうけています。

何千人もの退職した医師や看護師がNHSに復帰し、何十万人もの市民が最も弱い立場の人々を助けるためにボランティア活動を行っています。コロナウイルスを打ち負かすのは、この偉大な英国の精神であり、そして、私達皆で、一緒にコロナウイルスを打ち負かすのです。

これが、この国家的非常事態の時に、私があなたに、どうか、自宅に留まり、NHSと命を守ってほしいと真剣に呼び掛ける理由です。

                                               ボリスジョンソン」