青山まさゆきの今を考える > 新着情報 > 感染拡大のかなめである唾液と舌へのピンポイント攻撃。吉村知事のポビドンヨード会見まとめを通して。

感染拡大のかなめである唾液と舌へのピンポイント攻撃。吉村知事のポビドンヨード会見まとめを通して。

大阪府の吉村知事のポビドンヨード記者会見を巡る波紋。

誤解される報道の仕方を前のブログやSNSで批判した。当然,あちらこちらからご意見をいただいたが,まずその意見について興味深かった点を最初に。

それは,普段新型コロナウイルス感染症について心配の度合いが大きい方ほど強く反発されておられることだ。普通のハンドソープでの手洗いの有効性や,海外では最初笑われていたマスクの効果には疑問を挟まないのに,思ってもいなかったポビドンヨードを提示されると過剰に反対する。このあたりが人間心理のよくわからないところ。

 

それはともかく,皆さんからたくさんの意見をいただいたので,あくまで私見としてこの問題をまとめてみた。私の勝手なまとめであり,私の勝手な解説であることをご了解の上ご覧頂きたい。

 

まず最初にこの会見(https://www.youtube.com/watch?v=xpEPcfBiytc)で吉村知事が言われていること(9:48~)を簡単にまとめると,

 

(1)大阪はびきの医療センターでは,臨床治療を行いながら既存薬で重症化を防ぐ研究も行っている。

(2)その中に「宿泊療養におけるポビドンヨード含嗽の重症化抑制にかかる観察研究」がある。

(3)その内容は,ポビドンヨードを使ったうがいを1日4回(起床時,昼食前,夕食前,就寝時)数日間行うと,唾液検体における陽性頻度が低下する。(対照実験として行われ)使わないグループと使ったグループで,4日目に使わないグループの陽性(検出)率は40%,後者は9.5%と明確な差が出た。

(4)唾液の中に多くウイルスが含まれるのがコロナの特徴。それは舌にコロナウイルスが付着していて,舌の裏側にある唾液腺から出た唾液とウイルスが混合している。その唾液が外に飛び散って拡がっていく。ポビドンヨードによるうがいによって圧倒的に陽性が減る。

(5)PCR検査は,朝起きた時にうがい前に行っている。

(6)コロナに効く,と言っている訳ではない。あくまで研究結果。

(7)今後どうするかといえば,まず(1)臨床研究として,今後宿泊されている方で同意いただける方には全員ポビドンヨードのうがいをしてもらう。(2)医療機関へは重症化予防への活用を視野に入れて(臨床研究結果を)情報提供していく。

(8)3つ目の活用として,府民の皆さんへのお願いとして,ポビドンヨードうがい薬によるうがいを励行してほしい。どこまで効果あるかはわからないが。特に①熱など風邪症状の出た方とその同居家族②接待を伴う飲食店の従業員の方,③医療従事者や介護従事者の方,8月20日まで励行してほしい。

 

というもの。ここまででだいぶ誤解が解けた方があるかもしれない。

さて,私のところに寄せられた意見と記者会見を見ての私なりの答えは次のとおり。

 

1 吉村知事は,重症化を防ぐ効果があると言っている

  →これが勿論もっとも多い。上記YouToubで全てが確認できる。吉村知事は非常に慎重な言い回しで,それには触れられていない。上記(7)のとおり,今後の研究を待つというスタンス。松山医師は,説明・質疑の中で,治すという治療ではないが,(ウイルスを含んだ)唾液が肺の中に入ることによる新型肺炎という重症化を防止できるという間接的効果について29:20あたりと40:05あたりでありうることを話しているが,47:23から,記者の質問に答えて「重症化抑制」は次のテーマ,まだ示せていないと明言されている。

つまり,「重症化を防ぐ効果がある」と言ったというのは完全な誤解。

 

2 うがいは,水の方が効果がある,とされているのでは。ヨードは喉の常在菌殺すとも。

  →その出典は「水うがいで風邪発症が4割減少」という京都大学の発表と思われる。しかしこれは風邪の予防効果の話。今回の発表は新型コロナウイルス感染者中の軽症患者の「舌」に表在するウイルスを除去する効果により唾液中のウイルス検査の陽性率発現期間が短縮する,という報告。まったく違う話。なお,今回の実験では,ポビドンヨード含むものと含まないものの対照結果も示されており,前者に著明な優位が示されている。

 

3 検査前にうがいすれば水道水でもウイルス量は減る

 →当たり前です。ですから,朝一番でうがい前にPCR検査の検体(唾液)採取は行われています。

 

4 ポビドンヨードは殺ウイルスに効きます。SARS,MERSでも。

 →調べて見たら確かにそうなのですね。厚労省のHPにも掲載されています。メーカーのHPにも記載がありました。

 

5 厚労省は時期尚早と言っている。

 →厚労省はいつも「時期遅延」。海外の報道や医療文献から,血栓症の関与が濃厚となったため,私が厚労省に対し,「抗血栓薬の使用について検討を始めたらどうか」と,3月下旬か4月上旬に尋ねたときにも「時期尚早」という答えだけだった。今では治療マニュアルにも載ってますが。厚労省とWHOの言うことはあまり信頼していません。

 

さて,皆さんは吉村知事のこの提案,いかがお考えだろうか。

私は,ポビドンヨードには新型コロナウイルスへの殺ウイルス効果が認められるのだから,感染拡大の要である「唾液」と「舌」を狙い撃ちにするというこの提案,一理あるというか,まさに盲点をついた勇気ある提案だと思う。政治的リスクを負いながら,敢えて今発表されたのは,感染拡大をなんとしても防ぎたいという強い気持ちからだと推察されるからだ。

他の誰に出来ることか。

試してみる価値は確かにある。