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実は進歩している新型コロナウイルス感染症に対する治療法

日本における新型コロナウイルスの死亡率,重症化率からして4月のころと同じように「怖さ」と「感染者数」だけを煽るのはどうか,と7月上旬よりずっと訴え続けてきた。

マスコミの報道は一時よりもましになってきた感はあるが,相変わらず「怖さ」方向に偏重していることに変わりはない。NYやフランスでは再ロックダウンも取り沙汰されているし,トランプ大統領の感染もあって揺り戻しも懸念される。

 

しかし,少なくとも日本に関しては良い方向へのファクトが積み重なっていることは見逃せない。下図は、厚労省の公開データを元に私の事務所で作成した、陽性者と死者の年齢階層別累計データ。

 

 

 

実質的には70代以上にリスクが偏った疾患となっていることが容易に見て取れる。

死亡率自体が変化し、3月4月とは違って50代以下はほとんど死ぬことのない感染症に変化してきているのだ。

 

この要因について、感染経験による細胞性免疫説が大きく取り上げられつつある。最近ではネアンデルタール人の遺伝子を持っていると不利、という説も報道されている。

このような説に比べて地味だが、死亡率を左右していると思われるのが治療法の進歩。

基本対症療法的なものだが、対症療法で乗り切れさえすればいつかは回復するのがこの感染症。したがって、対症療法は根治療法に匹敵する意味を持つ。

 

この数日大きく報道されているトランプ大統領は、まだ重症には至っていないようだが、レムデシビル、デキサメタゾン、亜鉛、ビタミンD、モノクローナル抗体のカクテル製剤など、これでもかといわんばかりの治療を受けているようだ。

 

日本でも日本化学療法学会において、RDT療法(レムデシビル、デキサメタゾン、トシリズマブ)と呼ぶ薬物療法が著効を示しているとの発表があったようだ。

6月以降にRDT療法を受けた重症・重篤例は17例中死亡は1例で、死亡割合は6%。

一方、6月以前のRDT療法なしの重症・重篤例の死亡は29例中9例で、死亡割合は31%だったとのこと。抗ウイルス、抗炎症、抗サイトカイン、抗血栓と重症例で問題となるすべてに目配りしたものでとても合理的。

 

対症療法も進歩しているという事実は、世の中にもっと知られてよい。こういった事実もマスコミはちゃんと伝えてほしい。