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保健所に違法なトリアージを続けさせるな。診療拒否を呼ばない臨時重症者用施設やコロナ専門病院を。

埼玉県でまたもや自宅待機中の方の死者が出た(毎日)。前にも申し上げたが、もう訴訟のレベル。今回のケースは二重の問題がある(症例については末尾記載)。

 

 一つは、報道を見る限りかなりの症状があり、しかも高齢というリスクファクターのある男性が救急搬送されたのにもかかわらず自宅に返されたこと。

 もう一つは、その返された男性の入院先に関するトリアージを保健所が行っていたことだ。

 

 前者については、平時であれば搬送先の病院の判断ミスとして訴訟問題に発展することも考えられるほど。

高齢・男性・救急搬送されるほどの咳と熱、そして話すことも困難な容態。普通であれば返すことはまず考えられないが、おそらくは二次感染を恐れる病院の事実上の診療拒否だったのだろう。3月初めくらいの事案であればともかく、肺炎や各所での塞栓症などによる急性悪化の症例が相次いでいる現在。パルスオキシメーターによる呼吸機能の状態の管理や、CTによる肺所見の経時的観察、血液検査による凝固機能異常へのモニタリングとこれに対するケア。報道されている内容であれば入院管理が必要であったことは明らかだ。

重症者用医療施設が足りないから、この内容のケースに手がつけられないというのであれば、ダイヤモンドプリンセスで対応したような臨時施設を設けて、そこに感染者が少ない県の専門科医師や自衛隊の医療班・医療施設などの応援も得るなどして、緊急時を乗り切る体制を構築するなども行われるべき。

 フランスでもアメリカでもそのような施設が最盛期には臨時に設けられていたし、ドイツなどはそうならないように最初から着々とICUや感染者病棟の拡大が図られていた。

 大阪府が先手を打ったコロナ専門病院の開設なども極めて有効な手段だろう。

 

 後者についてこれを保健所が調整、というのがそもそもおかしな話。その患者に入院が必要か否か決めるのも医療的判断。本来的あり方どおり、トリアージはプロに任せるべきだ。

 最前線の重症者管理をしている総合病院は大変な忙しさだが、逆に市井の医院などはコロナ余波で手が空いているところも多いと報道されている。そのために政府の援助を医師会が求めているほどだ。

 したがって、相談業務も、患者のトリアージ(振り分けも、医師会と早急に協議して分担を一般開業医と一般病院にオンライン診療という形で役割を分担してもらい、相応の費用をお支払いすれば三方一両得。

 この筋道を作るのになぜ厚労省は手を付けようとしないのか。

 

(ケースの概要)

 男性は、咳・発熱などの症状か悪化して救急搬送されたが入院の必要はないとしてPCR検査の検体を採取して自宅に返された。しかし、咳がひどくて話もできない状態で、食事も取れていなかった。翌日、PCR検査陽性が判明し、保健所は電話問診で症状を把握していたが、「重症者から入院させる。順番がある」と説明。その次の日(最初の救急搬送の翌々日)自宅で呼吸困難となり再び救急搬送されてその日のうちにより高度な治療ができる県内の別の病院に運ばれ集中治療室で人工呼吸器を付けたがその死亡したとのことだ。