青山まさゆきの今を考える > 新着情報 > ひとりひとりが、大きな視点から考える。

ひとりひとりが、大きな視点から考える。

【森友学園問題について】

 森友学園問題で、財務省が決済を行うための文書を改竄していたとの報道がなされました。先週行われた財務金融委員会で、政府側はこの改竄問題について3月6日に報告を出すことを約束し、麻生財務大臣は、改竄が事実であれば「ゆゆしき問題」とも答弁しています。                             3月6日の参議院予算委員会ならびに衆議院財務金融委員会においてこの問題が取り上げられることになっていましたが、開示された財務省からの回答が不十分だったことから、与野党間で協議が継続しており、結局、委員会は開催されていません。
   膠着状態に陥っていると思われた森友問題ですが、本当に改竄が行われていたのであれば、国の行政を揺るがしかねない問題です。
 日本における公文書管理の問題は不透明と言わざるを得ません。アメリカでは50年たてばどんな文書でも開示されます。日本では日本銀行にあたる、アメリカの中央銀行(FRB)では、5年たてばすべての議事録が開示されます。
 森友学園問題も、文書開示等を含め、1日も早くすっきりと解明されることが必要です。

【憲法9条について】
 憲法9条の改正が大きな政治テーマになろうとしています。
 日本が今後、どのような防衛政策をとっていくのかは、日本の安全保障に大きく関わってくる問題です。この問題を考えるときに欠かせない視点は、日本が今後、世界の国々とどういう関係を結んでいくのか、というものです。
 これまでのような対米協調路線で、世界に自衛隊を派遣できるような、アメリカ流の「普通の国」になっていくのか、それともアジアにおける平和を追求する独自路線を歩む国になっていくのか。我々は憲法9条をめぐる議論するとき、このような大きな日本のあり方を念頭に置くことを忘れてはならないと思います。
 ただ憲法9条に「自衛隊」の名前を書くか書かないか、ということであれば、私は全く必要ないと思っています。日本のほとんどの憲法学者は、今のままで自衛隊は合憲だと言っています。ですから私は憲法9条を改正する必要はないという立場にあります。
 しかしながら、今の日本の軍事・外交の在り方については「見直す」というよりは、1から日本の将来の在り方を決めていくべき時期が来ていると思っています。
防衛政策、安全保障について、今のままでいいのか、ということは、憲法改正という方法ではなく、日本の将来的な在り方や立ち位置から考えるべきだと思っています。

【財政について】
 日本の将来の在り方を考える上で大切な問題の一つは財政の在り方です。
 日本の財政は困難な状況を迎えています。今、日本の借金は1200兆円です。国債だけでも800兆円を超えています。
 ちょうどイギリスが第二次世界大戦後に今の日本と同じ状態に陥りました。
 戦争直後、1ポンド約1000円であったものが、現在は1ポンド約100円にまで値下がりしてしまったのです。これは、イギリスの価値が、長い時間をかけて、10分の1にまで下がってしまったということです。
 イギリスは、第二次世界大戦直後、戦争のために大変な戦時国債を抱えていました。イギリスは、この戦時国債について、金利を下げることなく徐々に返済をしていくという選択をし、このためにポンドの価値が値下がりしていってしまったのです。そして、1970年ころまで盛んに言われていた、いわゆる「英国病」という、経済の長期低迷に陥ってしまったのです。
 もしも、今日本が、国債の破綻や急激な金融危機に見舞われないとすれば、待ち構えているのは第二の「英国病」です。これから数十年をかけて、徐々にインフレが進行していくのです。それも、いわゆる「コストプッシュ型」と呼ばれる、円安に伴い輸入物価が上がり、輸入物価に引っ張られて物価だけが上がる、というインフレです。そこに至るまで我々の生活は、真綿で首を絞められるように、徐々に徐々に苦しくなっていくのです。
 このままでは日本は、「英国病」ならぬ「日本病」に陥っていきます。
 現在、日米とも株価が非常に不安定です。さらに「ミラー相場」と呼ばれ、アメリカの株価に連動して値動きをするのが通常だった日本の株式が、アメリカの株価が上がっているにも関わらず大きく下げるということが目立つようになってきました。その理由は、日本の景気が「作られた景気」だからです。日銀が、国債を買うために円を増刷して国債を買い続け、お金が余り、不動産等は需要がないにも関わらず価格が上がっていく。株式についても、日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が買い続けることで上がり続けていく。それが不自然であることに多くの人が気づきつつあるのです。
 株式相場の下落も大きな問題です。今、日銀は大変な株式を抱えています。日本の一部上場企業のほとんどで、日銀がトップ5に入る株主になっています。これは異常な事態です。ここまで株を抱えている中、もしも株式の暴落が起これば、日銀の財産が大きく目減りすることになります。本来であれば、金融危機の際、一番しっかりと他の金融機関を支えなければならない日銀が、株式の危機の真っただ中に放り込まれた時に起こる金融不安は大変なものです。
 私達は今、表面上、平穏な生活を起こっていますが、それは、このような不自然な政府の政策に支えられているからです。けれども、その副作用は、徐々に私達の生活をむしばんでいきます。物価は上がっても、年金や公務員の給与は上がらないどころか切り下げられていくことになります。
 我々は、中・長期的に、戦略的視点から、冷静に状況を分析していく必要に迫られているのです。

【教育について】
 アメリカではフォードやクライスラーなど、全盛を極めていた有力な製造業が次々に破綻していきました。しかし、そこから、マイクロソフトやアップル、グーグル、アマゾンなど、世界を支配する大企業がどんどん生まれてきているのです。
これはなぜか。
 それは、アメリカには自由があり、創造性を育てるような教育が行われているからです。
 アメリカの大企業では、スーツで通勤する人はほとんどいません。広大な自由なレイアウトの会社に、皆が自由気ままに出勤していくのです。大学の入試でも、一握りの受験エリートのみを入学させるのではなく、多様性を重視した選抜システムが取り入れられています。
 このように、多様性や自由を重んじる教育に切り替えていったとき、日本人はまだまだ伸びることができるはずです。
 今の日本のやりかたは、やや時代にそぐわないものだと私は考えています。確かに、今の教育は、少し前までの、製造業中心の産業には合っているかもしれません。上司の指示に逆らわず、言う通りにするという人々を育てる教育です。しかし、製造業は今、人件費の安い発展途上国にどんどん移っています。今後、日本という国が勝ち残っていくために必要なのは、人間の多様性や創造性なのです。多様性のある社会、創造性のある社会を実現するためにまず必要なのは教育の改革です。

【中・長期的な視点、大きな視点で】
 今のように野放図に財政でバラマキをしていく。しかもその原資は日銀による国債の借り入れで続けていく。こんなことをいつまでも続けて行っても、日本の社会は苦しくなっていくばかりです。
 こういった、国の行く末を見据えた大きな議論が、残念ながら日本ではほとんど行われていません。
 保育園の問題にしてみてもそうです。保育園に対してどういう投資をするのかというのは非常に重要な問題だとは思います。けれども、それだけではなく、国の方針として、本当に子育てを中心にしていくのか、そして、限られた財源の中で、何を切り、何を節約して子育てにまわすのか。日本という国をどうしていくのか。そうした、10年、20年先を見据えた戦略が日本には欠けているのだと思います。
今行われているのは、日銀が国債を無限に近い形で引き受けていき、それによって財政の規律が失われ、何にでもお金がばらまける、そのバラマキ先を喧々諤々している、私には、そんな世界に見えます。しかしそんなことは長くは続きません。このツケを払うのは、今、政治の中心にいる人たちではありません。今の30代、20代、10代の人たちが、今後数十年にわたって、重い苦しい道を歩むことになってしまうわけです。
 私達は今、立ち止まって考えるべきです。
 本当に今の予算の在り方、財政の在り方でいいのか、将来に向けた在り方はこれでいいのか。防衛にしても、教育にしても、外交にしても、憲法にしても、30~40年先の国の行く末を見据えた議論をしていくべきです。
 日本がまだ力があるうちに、日本という国の在り方を見つめなおす。
 日本にまだお金があるうちに教育の在り方や社会保障の在り方を考え直す。
 50年後、100年後に、国民がもっともっと幸せになれるような国の在り方を、国民ひとりひとりが、大きな視点から考える時期に来ていると思います。