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財政危機、異次元緩和の行き着く先

  財政危機、異次元緩和の行き着く先についての私見を少し詳細に。

 私はかなり前からその危うさを訴えて来ましたが、ようやく最近、異次元緩和に「出口なし」を意識する評論家が増えて来ました。私が属する財政金融委員会でも、出口についての心配が、プライマリーバランスと合わせて議論がされ始めています。

 これについての私見です。

 日銀が通貨発行権に基づき国債を無限に買い支えていけば、ギリシャ危機型の財政・国債破綻は起きにくいでしょう。国債破綻が言われて久しくなりますが、日銀が「異次元緩和」の名の下に買い支えに走っている以上、買い手不在による急激な国債破綻は起きないかもしれません。しかし、円の発行量は毎年毎年膨張していきます。日本という国の総体の価値が増えていないのに、「お札」の量だけ増えて行けば、間違いなく円の価値や信用(これを「信認」といいます)は失われて行き円安が進んで行きます。
 

 現在のところ日本は、トヨタを始めとする自動車産業が健在なので、ジンバブエのような急激な通貨安を伴うハイパーインフレは起きにくいでしょうが、じわじわと進む円安とそれに伴うコストアップインフレは十分に起こり得ます。1970年代と違い、経済成長に伴うインフレではないため、庶民の収入は上がりません(輸出企業が競争力のあるうちは輸出企業に勤める一部の方の収入は上がるかもしれませんが)。仮に年3%の比較的緩やかなインフレでも10年続けば30%の物価高です。給料や年金が上がらなければ、3分の1の大幅減収と同等となります。真綿で首を絞められるようにじわじわと長い年月をかけて庶民は痛めつけられていくこととなります。もっとも、AIの進歩で自動運転が進めば規制でがんじがらめ、さらに創造力に欠ける今の日本企業(自動車会社も例外ではない)一気に主役の座から転落し、ハイパーに近いインフレに見舞われることもあるかもしれません。

 将来を見据えた国民的議論が必要です。