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環境省が環境破壊省になった日

皆さんは「再生利用実証事業」というものをご存知だろうか?

あまり耳慣れないこの事業は、環境省が今福島で進めている事業だ。

除染作業で集めた土は、本来であれば福島県内の中間貯蔵施設で保管された後、30年以内に県外の最終処分場で処分されることになっている。最終処分は普通であればトレンチ、すなわち地中に溝を掘ってコンクリートなどで障壁を作り、そこに監視しながら保管することになる。

 

現在までに集められた汚染土は1700万㎥という途方もない量だ。地道に除染作業員の方が各地で集め、フレコンバックに詰め込んだのだ。

この折角集めた汚染土を今、環境省が再び環境中に散逸させようとしている。それが再生利用実証事業だ。汚染土を道路の下に埋めたり、園芸作物(リンゴやブドウ、キャベツ、大根など)や資源作物(燃料油の原料となるトウモロコシなど)の土壌に使うというものだ。

 出典:環境省 中間貯蔵施設情報サイト 飯館村における再生利用実証事業http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/recycling/iitate.html

 

本来であれば,トレンチを掘って厳重に隔離した上で監視下におくべき汚染土を,道路の下に「再生資材」と称して埋め込んでしまうという発想は,一昔前の廃棄物を敷地に埋めて処理してしまっていた杜撰な工場を思い起こさせるが,今回の実証事業とやらはそれを作物の土壌の一部に使おうということなどちょっと想像もつかないことをしようとしているのだ。このような「実証事業」が既に飯館村と南相馬市で始められてしまっている。二本松市でも行われようとしたが,住民の反対にあって頓挫しているようだ。

この福島県内でなんとかごまかそうという発想は,沖縄における米軍基地問題を思い起こさせる。政府は,30年で県外最終処分を行うことができないと考えているからこそ,約束に反して,福島県内で,「再生処理事業」などというお為ごかしの名前をつけて,事実上の最終処分を進め始めているのだ。

これは絶対に許してはならない事柄だ。政府与党は,福島県民に約束したとおり,汚染土の全量を県外で最終処分しなければならない。このところの常習手段である,「名前をつけてごまかす」ということは,この問題では絶対に取ってはならない。

どうしても「再生処理事業」とやらをしたいのであれば,環境省は「環境破壊省」と名称を改めるべきだ。誰の指示でこのような環境破壊を計画しているのかは不明だが,実態に名前を合わせるのは当然だからだ。