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今やるべきは広範な緊急事態宣言の延長?「コロナの時代の「新たな日常」を作り上げる」とは??

昨日、安倍首相が記者会見を行い、全国的な緊急事態宣言の延長を宣言した。

先の記者会見の時と違い、安倍首相の演説にあまり力はなかったと感じた。

とりわけよくわからなかったのが「コロナの時代の「新たな日常」を作り上げる」という言葉だ。

 

 私は、緊急事態宣言に効果がなかったとも不必要だったとは思わない。

大都市圏を中心に新規感染者数が減少していることは明らかだからだ。

 

 しかし、この緊急事態宣言とそれに伴う外出自粛や休業要請をいつまでも続けられる訳ではない。よくわからない「新たな日常」とやらも。

 先に記事を書いたが、コロナ禍に伴う経済的苦境が影響したことによる死亡者が既に出ているし、アメリカでは、あのゴールドジムが破産申請をした(ただし、日本のフランチャイズ店に直接の影響はないとのこと)。

 コロナウイルス・パンデミックがいつ収束するかわからないが、今の不十分な休業補償であってもトータルすれば莫大な経費がかかり、日本銀行が財布代わりに円を増発しまくってそれを支えるという構図もいつまでも続けられる訳ではない。

 

 ここは原則に戻るべき時であろう。

 

 今やるべきであるがやられていない政府の最大の課題は「医療システムの維持」だ。

 ドイツのメルケル首相が、社会全体の広範なロックダウンを要請したとき、記者会見で述べた目標だ。

 ドイツは、その言葉だけでなくそのために着々と準備を進めていた。ICUの大幅な拡充であり病床の確保だ。その成果で、日本の10倍以上の16万人超の感染者を出しながら、他国の重症患者を受け入れるゆとりすらある。医療現場の医学的要請に従ったPCR検査(*)すらできない日本とは違い、一日7万件の検査をこなしている(日経)。

 現場から、「既に医療崩壊している」との悲痛な声が聞こえる日本とは大違いだ。

 

 その最大の原因は、政府が「医療システム維持は地方自治体の仕事」と他人事視しているところにあるのではないか?

 今まで、党の対策本部におけるヒアリングなどを通して厚労省に医療体制システムの維持について聞いてきたが、回答は、「感染者病棟の拡大を地方自治体を通して図っている」というような間接的な答え。確かに日本のシステムはそうなっているが、それを前提としてもできることは多いのではないか。
 どこまでかかるのか、際限のない現金給付や休業補償に多額の国費(しかもそれは実質は日本銀行による円紙幣増刷への100%依存)をかけるのであれば、10兆円かかろうが50兆円かかろうが、コロナに合わせた「医療システムの拡充と変化」を図るべきである。

 

 例えば、

・各都道府県の現状に応じて、ホテルや廃校などを買い上げて軽症者・中等症者用医療施設を直ちに確保する

・いくらかかろうが必要なN95マスクや防護衣などを海外から買い付け、同時に国内企業に必要なだけの設備費と買い上げ補償で生産を促す

・現に現場の第一線に立って奮闘している医療者に十分な報償を用意すると共に、コロナ禍によって逆に手が空いている医療者にコロナ対応医療への従事を促す

・救急医療が破綻している大都市圏に、コロナ専門外来と専門病院を設け、協力する医療機関に対し、十分な報償を行う。また、自衛隊を動員し、臨時の救急重症患者用施設を設ける。

・オンライン診療とそれとタイアップしたPCR・CT検査施設を設け、国民がコロナか?と心配となったその最初の時点で医療のケアを受けられる体制を整える。そのための設備・ノウハウを無料で国が医療機関に提供し、十分な診療報酬を支払う。

 

 これらの施策を、国が、厚労大臣が先頭に立って取り組み、国民が「コロナに感染しても安心して治療を受けられる体制」を作ることこそが政府の使命だ。

 無症候感染者を含めた死亡率は、ニューヨークでの抗体検査の結果から1%を切るものと想定される一方、この流行は2022年まで続くとするハーバード大学の予測もある(産経)。

 

 であるならば首相がいうような「コロナの時代の「新たな日常」を作り上げる」などというよくわからない目標を掲げるのではなく、現実的に「コロナの時代に耐えられる「新たな医療システムを作り上げる」ことにこそ、政治の目標を置くべきだ。

 

 

 

(* なおPCR検査自体が目的ではなくいので、あくまで医療が必要とした検査ができていないことが問題)