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ポビドンヨードうがいの件。調べたら段々面白くなってきた。以下に述べるのは素人である私の勝手な推論なので違っていてもご容赦を。

まずこれは,最近の論文(「新型コロナウイルスのBiology」)からの引用。

1.「COVID-19の初期症状として,味覚異常や嗅覚異常が起こることが報告されている。SARSやインフルエンザにおいてもみられる症状であるが,そのメカニズムとしてSARS-CoV-2の受容体であるACE2の発現が深く関与している。人体のさまざまな組織におけるACE2の発現を調べた結果,肺や腸管以外では,口腔に多く発現していることが報告された。ACE2は,口腔粘膜や歯肉にも発現するが,舌粘膜により多くの発現が認められた。また,舌粘膜にはSARS-CoV-2の感染を手助けする可能性のあるfurinも発現していることから,SARS-CoV-2が舌へ感染することにより味蕾細胞の機能が障害された結果,味覚障害が生じている可能性がある。

 鼻腔では脳の嗅球に近い嗅上皮の支持細胞にACE2が発現していることから~。口腔と鼻腔はウイルスの体内への入口であることから,下気道よりも先に感染が起こっている可能性がある。」

つまり,初期≒軽症(あるいは無症候)段階では,口腔内,特に舌粘膜表面で主にウイルスが増殖していることが考えらるということ。

したがって、ここを殺ウイルス効果があるポビドンヨードで洗浄すれば,ウイルスの増殖が抑えられ,それ以上の進行(下気道・肺での増殖)が防止されるかも知れないというのは一理ある(ここはまだ仮説)。

実際の実験結果としても、4日続けて一日4回ポピドンヨードでうがいしたグループは,唾液でのPCR検査での陽性率が9.5%まで下がったのだから,軽症者では主として口腔内でウイルス感染が起きている方の比率が多く,そのような方は、ポビドンヨードのうがいで陰性化が早まる(=いわば感染巣がデブリされる)という仮説が成り立つのでは。

2.一方で、唾液について

「サルに感染するようにした人工SARS-CoVをアカゲザルの鼻腔から感染させ,~研究がある。解析の結果,肺の上皮細胞と上咽頭にある唾液腺の導管部の上皮からSARS-CoV-2が検出されることが報告されている。さらに,うがい液中に浮遊していた剥離上皮細胞内でのSARS-CoVの増殖も認められている。」

とされており,唾液腺の導管部上皮細胞での増殖もあるとのこと。

以上1.2.によれば,感染が主として口腔内にとどまっているであろう軽症者や無症候者の場合、唾液がウイルスに汚染されるのは,もっぱら、唾液が口腔へ分泌されるルートである導管部での唾液へのウイルスの混入と、唾液が口腔に供給された後に舌粘膜・口腔粘膜に存在しているウイルスの混入によるものと推認される。

したがって,唾液へのウイルス混入を防止するには,唾液腺導管上皮部や,口腔粘膜,舌粘膜を殺ウイルス効果のある薬剤で洗浄すれば良い、ということになろう。

以上は、あくまで仮説であり,吉村知事の会見内容とは離れての私の素人的推論だが、ここから、ポビドンヨードうがいによって、

①感染場所が口腔内に止まる軽症例が重症化することが防止される

②唾液による他者への感染が抑制される,

ことが期待されるのでは。

はびきの医療センターでの症例報告からは、唾液によるPCR検査の陰転化が早まったということなので,①が暫定的に一部立証されたとも言えるだろう。

ただし,当然ながら今後さらに大規模な対照実験が必要だろう。

さて,私の勝手な仮説の展開とは違って,吉村知事が極めて抑制的に行われた会見を,マスコミがとてつもなく不正確に伝えたのは事実。

そして,そのマスコミ報道の影響で,医師を含めた様々な方々が,あり得ないトンデモ説を知事が発表したものと決めつけ,上から目線で攻撃的批評を展開されているのも事実。

今回の吉村知事の記者会見での発表(そして私の拙い仮説)が正鵠を射たものか、その真偽のほどはやがて時間の経過と共に明らかになるであろうが、それがどうなるかはもちろんまだ不明。

しかし,より良い未来が開ける可能性があるなら,それを試すことを躊躇する手はない。

「既存薬」による極めて安価かつ簡単な対策がさらにエビデンスを得て,新しい世界を切り開くことを心から期待する。