本当に恐れるべきこと

新型肺炎で何が最も恐ろしいのか。

それは愛する家族と最後のお別れも、手を握ってあげることも出来ないこと。
患者と家族の苦しみは想像を絶します。実際にスペインなどからその痛切な声が上がっています。
 
風邪などに由来する一般的な肺炎による死別との決定的な違いはそこにあります。その悲劇を日本で広げることのないよう、今私達には最も賢明なる努力が求められています。
安倍首相が最大限の洞察力を働かされること、その側近やブレインが適切な助言をされることを切に願います。勿論、私も一国会議員として出来る限り最大限の努力は致して参ります。

首都圏は緊張感を

アメリカでは、新型コロナウイルス感染者数が激増している。数日前に1日3000人増えていたのが、5000人、7000人、となって今日は9000人を超えた(数字はhttps://www.worldometers.info/coronavirus/より)。そして、おそらくその半数近くがニューヨーク州。

その数字と、首都圏の緩みぶり(電車などでのマスク着用者の減少、大規模格闘技イベント強行)を見ていると、明日は我が身と身震いする。

ニューヨーク州で外出禁止令(行政命令によるロックダウン)が出ている今、小池都知事が言及した東京ロックダウンはパフォーマンス発言ではない。身震いするような現実を見据えたもの。

そして、最も大切な医療資源は、実はそんなにゆとりがある訳ではない。感染者病床数は、大都市圏では感染者の急増に耐えられる状況にはなさそうだ(https://www.stopcovid19.jp/)。

医療資源は、アメリカでさえ限られたものであり、ニューヨーク市のデブラジオ市長が「10日で枯渇する」と呼びかけている(BBC)。そして、「すべてのアメリカ人には、はっきりとした真実を知る資格がある。(中略)新型ウイルスの感染状況は悪化の一途をたどっている。実際、4月や5月ごろには、ずっとひどい状況になっているだろう」と述べたという(同)。

改めて皆さん、特に大都市圏にお住まいの皆さんに呼びかけたい。今は気を緩める時ではない。

政府と自治体の首長にも呼びかけたい。少なくとも大都市圏については、今は先手を打って感染拡大を防止するべき時であり、対策を緩める時ではない。そして、オーバーシュートに備える念のためのBプランとして、医療資源の確保と重症度に応じたトリアージ的取り扱いに備えた軽症者用の施設確保などを直ちに始めて欲しい。

感染症法の整備と自粛に対する保障を

格闘技団体の自粛要請を断っての興業実施や海外旅行帰国者が待機要請を断った後の帰宅後陽性判明が問題視されている。

両者共に感染拡大防止という観点からすれば,自粛要請や待機要請に従って欲しかったことは言うまでもなく,私もその立場だ(「今,手緩くないか?」)。

しかし,これらの要請は,あくまで任意の「お願い」に過ぎず法的根拠はない。したがって,これらを「無視した」として単純に非難することはできない。

率直に言って,自粛要請というのはある意味卑怯なやり方である。自粛といえば聞こえがいいが,自粛であればこれによって損害を被っても要請した側が損失補填をする必要がない。泥は一切被らない。

一方で,自粛によって生じる損害を被るのは主催者である。この損害は,開催が大規模であればあるほど,そして準備が進んでいればいるほど大きくなることは自明。財政的に潤沢な広告会社や人気バンドなら多少の損を被っても世間の評判を気にして中止ということも選択できるだろうが、プロレスを含む格闘技団体は財政的に脆弱なところが多い。止めれば即倒産ということがあってもおかしくない。経済的死活問題が目の前にあったとき,それが法的裏付けを伴わない単なる要請や,モラルとしての自制を上回ることがあったとしても不思議ではない。

実効性を持った感染拡大防止策を取るためには法の整備と同時に自粛要請に従った者に対する保障策の整備が必要だろう。

次に,待機要請について。こちらは実はより重い問題である。

この要請は人の移動の自由を制限するもので,旧東ドイツ出身のメルケル首相が国民に呼びかける声明で語られたように本来非常に重い事柄である。法的根拠がなければ本来人から奪うことが出来ないものなのだ。

そして,これは軽症陽性者の自宅・施設隔離にも共通する問題である。

今後感染者数が増大した場合,軽症者でベッドが埋まっていれば,重症者への対応が疎かになりかねない。ベッドの数自体にも限界がある(厚労省によれば最大5000床)。したがって,大阪府が提唱されている重症度によるトリアージ的取扱いは極めて有効な手段である。

一方で,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は政令によって感染症法6条8項の指定感染症とされていて、医学的には入院治療の必要のない陽性者かつ軽症例であっても、法19条により感染症病棟に入院隔離されているのが現状だ。軽症陽性者を普通病棟に入院隔離させるには,現行の規定で足りると思われるが,それ以外の宿泊施設や自宅待機を命ずることができる条文は存在しない(18条に就業制限はある)。

したがって,もし強制力を持った手段として取ることを期待するのであれば,施設・自宅隔離を命ずることのできる法的根拠が必要であるし,それが法治国家として正しいあり方だろう。

日本社会においては,社会的圧力で有無を言わせず人の自由や権利を奪うことが横行している。しかし,普段はこういったことを非難するポジションにあるいわゆるリベラル派といわれる人々も,今回のことについては非難囂々である。これも悪しきダブルスタンダードと言わざるをえない。右であっても左であても,単なる非難で終わるのではなく,法整備についてまで考察を及ぼして欲しい。

イギリスに学ぶべき政策対応。併せて大都市圏でのクラスター発生防止とワクチン開発支援を。

やはりニューヨークでは一日に3000人!も感染者数が増えていたようだ」。この事態を受け、クオモNY州知事がスーパーや医療機関を除くすべての事業者への出勤禁止を義務付けたとのことだ(NNN「感染者急増NY州で出勤禁止義務化」)。今確認できる数字ではアメリカ全体での感染者増は7686人なので、半数近くをNYが占めることになる。

 

また、状況の悪化が続くイタリアでは1日に793人が死亡し、政府はスーパー、銀行などのほか、交通機関や物流サービスを除くすべての企業活動を停止することを命じている(yahoo)。

 

そういった中、集団免疫の形成に任せて政策的対応を放棄するかのような声明を出していたイギリスのジョンソン首相は、パブや飲食店の閉鎖措置を取るという感染拡大防止政策に転じた。それだけでなく、新型肺炎騒動の影響で働くことができなくなったすべての労働者に対し、賃金の80%・上限月2500ポンド(約32万円)までを政府が肩代わりすると発表している(NHK)。

かなり思い切った政策で、昨晩のBBCで繰り返し報じられていて私もブログ(「今、手緩くないか?」)で書いたところ。

日本でも、収入途絶のフリーランスや個人事業主などの怒りを買うような1万2000円の現金給付などの姑息措置ではなく、大胆な失われた収入に対応する給付策がとられるべきだろう。例えば消費税を0%にしても、収入がなくなった者は消費支出も出来ない。一方でこの騒動は永遠に続くわけではない。短期的な緊急事態には、短期的な応急措置こそふさわしい。また、世界中が同時に行うので、通貨安などの副作用もあまり心配しなくて済む。

 

そして、これからの日本における新型肺炎対応策はやはり大都市圏に重点を置いて行われるべき。

地方はいわゆる3要件のうち、「人の密集」度合いは放っておいても低いが、大都市圏は逆に地方とは比べようもないほど人が混み合っている。ここでいったんクラスターが発生した折には収拾がつかないことは容易に想像がつく。

そのためには、例えば東京都知事が例えば1000人以上(人数等基準を明示すべき)のコンサートやイベントの中止や飲食店の閉鎖を要請したとして、その事業者や収入を絶たれた労働者に対してはイギリスのような大胆な保障を行えるよう政府が手当てすべきだ。そうすれば今日の格闘技イベントも主催者が後の心配をすることなく中止し得たであろう。

 

もう一つ大事なこと。ナショナルセキュリティの観点から、金惜しみをすることなく、開発が先行しているプラスミドDNAワクチンの早期大量供給のための十分な資金支援措置も直ちに行うべきだ。半年後にワクチン100万人分供給が可能となれば、何より大事な医療従事者や高齢者などのリスク保持者に広く接種ができるであろうし、そうなれば仮にまだ蔓延が続いていたとしても一息つける。

 

繰り返すが医療システムが崩壊しかけてから手を打っても遅い。今の政府・政権の対応は、少し安心してしまい、実は後手に回りかけているのではないか?

今、手緩くないか?

欧米の新型コロナウイルスへの感染者数の増加はとどまることを知らない様相だ。イタリアは今チェックした数字では前日比6557人増。スペインもアメリカも3000人を超えている。

 

一方で日本は39人。この数字は検査数の比較からして額面通りには受け取れない。現場の臨床医の声を身元が比較的確かなFacebookで拾ってみても、やはり相当の暗数がありそうだ。

そこで心配なのが、警戒が弛緩しつつあることと、経済を含めた対策の手ぬるさ。

 

例えば、まさに近々に室内での大規模格闘技イベントが予定通り開催されるという。現在、感染者が多発しているのは大都市圏内。人が密集し易いのと人口が多いので当然といえば当然だが、だからこそオーバーシュートを防ぐためには大都市圏内での対策が大事。人が密集、室内、声援と三拍子揃う大規模イベントでクラスターが発生しないのか?

 

COVID-19が怖いのは医療システムを毀損すること。通常の重症肺炎と異なり医療従事者への感染や施設の汚染で医療資源を損なっていくことと、入院期間が長いことの2つの要素により、医療システムの負担を増大させ、徐々に損なっていく。医療従事者の疲弊も経時的に著しくなる。ドイツのメルケル首相が医療システムの維持を強く呼びかけたのは、COVID−19の特徴を正確に理解しているが故のことであった。

少し油断している感のある日本だが、大都市圏は患者数が地道に増えており、感染拡大防止策を緩めることが出来るような状況ではない。

 

もう一つの手ぬるさは、国の対策にかける資金規模。疾病対策と経済対策双方とも欧米に比較して極めて不十分。

 

トランプ大統領は、ワクチンを含めた治療法・診断技術の研究に30億ドルつまり3300億円を注ぎ込むことを素早く決定した。これに対して、日本では、幾つかの研究グループがワクチン開発を進めており、スピードにおいてトップに位置する大学の研究者によれば、10億円単位の資金供与があれば複数の手順を並列して進めることができ、実用化をかなりスピードアップ出来るという。また、大量供給のためのイニシャルコストには100億円単位の金額があればよいとのこと。審査に関する支援もあれば、最短で6ヶ月程度で相当程度のワクチン供給も可能とのことであるが、現在のところ必要な程度の資金援助には至っていないとのこと。流行が収束していけば新型インフルエンザの時のように無駄になる費用かもしれないが、ドイツ、イギリスの首脳が心配するように、疫学的にありうる大流行となる可能性がある今、ナショナルセキュリティの観点からは、必要な投資であることは明らかだろう。

 

経済対策も同じ。トランプ大統領は、50兆円の現金給付を検討している(NHK)。BBCのニュースでは、イギリスも賃金の80%もの保障をする方針と伝えていた。この辺りの思い切りはトランプ大統領といいジョンソン首相といいさすがだ。サービス業を中心とする大規模な閉店や外出禁止・自粛により収入を丸ごと断たれる自営業者やフリーランスの方を救済するにはそれしかないだろう。

一方で現在の政府の政策は「1万2000円」の現金給付。あるフリーランスの方がSNSに「1日1万2000円じゃないの?このおじさん達ばかなの?」と投稿していたが、本当にそう思う。まさに子ども騙し。

 

日本維新の会新型コロナウイルス対策本部ではこの点について先週熱心な議論が行われ、年金保険料の支払免除などが議論されたが、私からはそのような対策と並んで思い切った規模での現金給付について検討すべきことを主張させていただいた。通常時であればバラマキは否定されるべきだが、欧米では戦時と比べられるほどの非常事態になりつつある。そんな時にはやはり非常時に即した政策が必要。

いずれの国においてもその財源は赤字国債とならざるを得ないが、逆にいうと日本だけが突出することなく行えるので、常々心配している通貨安の懸念は薄らぐ。

 

今までの対策は上手く行っていた感のある政府の対応だが、ここで緩んではダメだ。ここからが正念場であると改めて強く警告したい。有効な対策があるのだから、前例に囚われず躊躇無く大胆に取っていくべきだ。

欧米の増え方が凄まじい。

NHKのニュースでカリフォルニアで1日で3000人感染者が増え、州知事が外出禁止令を出したと伝えたと思い、あまりに数字が大きいのでWebで確認してみたら3時間前のニュースとしてアメリカ全土で3400人増えて、感染者数が652人のカリフォルニアでは外出禁止令発令とあったのでやはり聞き間違いだったのかもしれない。
それにしても、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどの増え方は凄まじく、あっという間に感染者数が各国1万人を超えていった(イタリアは4万人超)。

スペイン風邪の時も日本での流行は欧米よりも控えめだったとか何かで読んだ記憶があり、人種的な要因による易感染性や重症化率の差異があるのかも知れない(疾病の種類は異なるが、メラノーマなども欧米人と日本人では悪性度がだいぶ違うという論文を読んで驚いたことがあった)な、との思いがよぎる。
勿論、マスクを着ける習慣の有無や挨拶の仕方など文化的要因、そして各種対策の差異かもしれないが、増え方が2桁違うのを見ると、単なる雑感ではあるがそれだけとも思えない。

いずれにしろ、感染が今のところ抑制できている日本でこの状況なので、欧米の首脳が戦時体制を引き合いに出すのも無理からぬところだろう。
こうしたワールドニュースを見ていると、とてもオリンピックが出来る気がしない。

山尾議員の離党報道に触れての雑感。

山尾議員の離党のニュースが流れた。採決を巡る造反は自由闊達な議論の結果ではなかったよう。
今まで党首選も行わず押さえ込んできた?個性の強い面々が支持率の低迷や国民民主とのくすぶる合流論の中で遂に我を主張し始めたようだ。
念のため申し上げればこのことを申し上げるのは、他党に対する批判ではない。主義主張の違いによって、旧社会党の流れを汲む教条主義的勢力や既得権益勢力をバックボーンとする野党が流動化することこそ、厳しい未来が待ち受ける日本の政治に必要なことだと思うからだ。

落ちるナイフを掴む者

Wダウが≒3000ドル下落した翌日(17日)の日経平均は,16500円割れまで進んだ後,戻して17000円台をかろうじてキープして小幅高。不自然な値動きに日銀の買いが入ったのだろうな,と思っていたら,やっぱり(日銀HP)。

今月に入って7回目,1204億円の買いが入っている。この極端な下落相場において今月だけで日銀は7212億円ものETF買いを行っているのだ。自分の稼いだお金であればまずしないことであろう。やったとしたら相当の博打打ちだ。

(日銀HPより引用)

相場の格言に「落ちるナイフは掴むな」というのがあるが,日銀が連日行っているのがこれ。

結局買いが入らない日に価格は調整されてしまっているだけのようにも見える(今日も昨日のNWダウの1000ドル反発に対して結局284円の下げでついに終値で17000円を割り込んでいる)。

こんなことを日銀はいつまで続けるのか。

株式市場が壊れてしまう。

日銀の追加緩和策は大丈夫なのか?

日銀の追加緩和が本日発表された。その中にETFの買入枠を年6兆円から12兆円に拡大、が含まれている(毎日新聞)。日銀は抜き差しならない状況にあるのではないか?

ここのところNWダウを起点として,世界同時株安が続いている。NWダウは2000ドルの下落や上昇などリーマンショック時にも見なかったような、まさに乱高下を繰り返しながら下げ基調を続けている。2月中旬に付けた2万9500ドルの最高値からわずか1ヶ月で2万3000ドル(3月12日には2万1200ドル)まで下げており,2割の下落。今日も先物の様子を見ると再び大幅下落の可能性がある。ミラー相場と呼ばれていた日経平均も2月中旬の2万3000円から今日の終値で17002円と17000円台割れ寸前。

 

こんな中で,市場の動向に反して日銀は先週金曜日までの段階で3月だけでも5000億円を投じて日経平均を買い支えている(日銀HP)。

今回の追加緩和はさらにそれを拡大していくという意思表示だが,市場の下げは止まらず,今日の終値は429円安。

 

財務金融委員会では、日銀が膨大に買い入れたETFの損益分岐点が度々問題とされてきたが、直近では参議院の財務金融委員会で日銀の黒田総裁が「1万9500円程度」と回答されている。今日の終値が17000円なので既に相当の含み損を抱えていることになる。日銀の損失は元手がかかっていない(簡単に言えばお札を刷ってそれで買い入れただけ)が、これが拡大すれば日銀の信用が失われ、中央銀行への信用が失われれば、金融政策が機能不全に陥ったり、通貨への信用が失われれる恐れがある。

だから買い支えの枠を増やしたのであろうが、それは世界の投資ファンドに向かって手札を明かしたようなもの。下げ相場に対して上限12兆円で時流に逆らいますよ、と宣言したに等しいからだ。売り方からすれば上げては売り、を安心して繰り返せる訳で「下手な難平、すかんぴん」という投資の格言通りになってしまう恐れがあるのではないだろうか。

もう一つの問題点は、株式市場における価格決定機能が失われること。日本の株式の価値が不合理なものとなり、今後日銀以外には誰も日本株を買わなくなる恐れもあるだろう。

こういった問題については日銀も黒田総裁も百もご承知だろうが、だからと言って放置すれば日銀の損失は拡大する。かつ、政権運営の一つの基盤となっている株高がさらに揺らげば政権だけでなく、日銀トップつまりは黒田総裁への批判も集中することになるだろう。だからETFの買入枠を拡大せざるを得なかったのではないか?日銀はまさに抜き差しならない状況に陥ったと言える。

なお、同様に深刻なのは言うまでもなくGPIF。元手が私たちの保険料だからだ。

PCR検査拡大に伴う課題。自宅隔離などのため法制度の整備を

ご承知のとおり安倍首相の記者会見によれば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)へのPCR検査保険適用によって保健所を介さないPCR検査が可能となっていく見込みだ(毎日新聞2月29日、その後の釈明につき同3月3日)。それに伴う課題を指摘したい。

 

PCR検査は検査のための検体採取時にエアロゾルなどによって医師に感染の危険があるため陰圧設備や防護服などが必要で、一般に誤解されているように市井の開業医などが容易にできる検査ではないが、それでもこれからは医師の判断で設備の整っている医療施設でより多く行われるようになろう。そうなればSARS-CoV-2への感染が確認される陽性者の人数が増大することは容易に予想される。

そうした場合の最大の課題は、入院を必要としない軽症陽性例に対する取扱いだ。現在の法制度上、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は政令によって感染症法6条8項の指定感染症とされている。

このため、医学的には入院治療の必要のない陽性者かつ軽症例であっても、感染症病棟に入院隔離されている。3月10日の財務金融委員会における私の質問に対し、政府参考人(厚労省)は「基本的に、感染症法に基づく感染症指定 医療機関に入院いただき、症状に応じた適切な治 療を受けていただくこととしている」と明確に答弁された。感染症法19条による入院措置によるものであろう(7条による準用)

 

しかし、この先PCR検査拡大によって、軽症陽性例が増加すれば入院に適した感染症(隔離)病床が不足する事態も想定される。だが、重症例に対しては人工呼吸器の装着や体外式膜型人工肺(ECMO)などの対症治療が不可欠であって、感染症病床(医療資源)の確保は必要不可欠な最重要事項だ。一方で、軽症陽性例に対しては現在のところなすべき治療法はない。

よって、医療資源温存のためには軽症陽性例については、自宅や宿泊施設での経過観察を伴う隔離も検討されなければならない。

 

先の委員会における私のこの点に関する厚労省の答弁によれば「現在、二千を超える感染症病床がございますけれ ども、緊急時にはこの感染症医療機関におきます病床を最大限動員することで五千床を超える病床を確保することが可能」とのことであったが、換言すれば日本におけるキャパシティは最大5000床ということ。

イタリアで現時点で1万5000人を超す感染者が出ていることを考えれば、状況の推移によってはこれでも足りない。

したがって、限られた医療資源を重症者のために温存するためには、軽症陽性者に対する自宅隔離あるいは宿泊施設を利用した隔離についてその準備を早急に検討しておかなければならない。

法的には19条の規定は「都道府県知事は~入院させるべきことを勧告することができる」とされているため、勧告を見送れば足りるものと考えられる。しかし、実務上は、誤解を生むことのないよう、住民に対しその必要性を十分に説明することが必要となろう。できれば、自宅隔離・宿泊設備隔離に沿った勧告が可能なように法制度を整備することも望ましい。18条に就業制限はあるのだが、自宅待機には明確な規定がない。今回のような病態を法が予想してなかったためであろう。

 

また、自宅隔離・宿泊施設隔離といっても具体的な準備が要る。自宅隔離者には、食料品・日用品などの配給や健康状況のチェックなどのケア体制を整えなければならないし、宿泊施設隔離には、宿泊施設の準備や管理要員の確保が必要となるからだ。(これについては、浅香正博北海道医療大学学長も別の観点からの問題点の指摘をされている。)

 

もちろん、自宅隔離などの必要がなく流行が収束すればそれに越したことはないが、患者数が医療システムのキャパシティを超えたことによる医療崩壊によって死亡者数が増大していると推定されるイタリアの惨状(「新型コロナ「人工呼吸器が足りない」「助けられない命に涙」医療崩壊に瀕するイタリアの医師の悲痛な叫び」「[FT]イタリアに「感染の津波」、医療体制はもう限界」をみれば、その轍を日本が踏むわけにはいかない。

どの程度増大するかはまだ未知の事柄ではあるが、パンクしてから慌ててもイタリア、韓国、そして武漢の二の舞である。

 

ドイツのメルケル首相は、3月11日の記者会見で高齢者とリスク要因保持者のために医療システムを維持することを国民に強く訴え、公衆衛生制度に過重な負荷をかけないことが重要と指摘した(CNNロイターTRTなど)。

日本政府もこの点を強く意識して先手先手の対応を練っていただきたい。