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DMAT医師が「元々状態がよくなくて最後の死因がたまたまコロナだった」場合が大半と述べる現実

大阪府が毎日公表している死亡された方々を見ると、このところ僅かに世代の低下傾向も見えるが、主流が70代80代90代の高齢者の方であることに変わりは無い(大阪府新型コロナウイルスの感染状況について)。

クラスターが高齢者施設や病院で頻発していることを合わせ考えると、看取りの場が高齢者施設や慢性期病院から急性期病院に一気に移っているのが日本におけるコロナ関連死の実情ではないだろうか。

そして、それが集中した急性期病院の現場が経験のない事態と患者の集中に対応困難となり動揺が広がり、それがマスコミにも伝染して一気に恐怖感が国民一般にも広まって、それが続いているようにも思える。

 

医療事件の経験からすると、コロナ以前は高齢者施設入所者や慢性期病院患者が肺炎などで容態が悪化しても、急性期病院に搬送はされるものの人工呼吸器が付けられることはないし、ましてやICUに入室したという記録はほとんど見た記憶がない。

総合病院で臨床医療の現場に立っておられる医師の方もこの見方に同意されている。

 

北海道で、まさにその現場を体験した医師の方がおられる。DMATと呼ばれる災害対応派遣の仕組みで札幌市に応援に入られた近藤医師(厚労省DMAT事務局次長)が、「元々状態がよくなくて最後の死因がたまたまコロナだった死亡」類型を「最後の一滴死亡」という表現で分析され、それが記事となっている(東洋経済)。

 

「クラスター発生病院で感染した死亡者のうち72%は「寝た切り状態」だったことがわかりました。これは期間中の札幌市内の全死亡者(223人)の45%に当たります。」

 

このような状況にあることは、札幌市や大阪府に限ったものではない。東京都も、同様だろう。呆れることに東京都はクラスター別の集計は行っていないとのことだが、それでも重症者の年齢階級別数は公表しており、重症者の半分以上は70代以上だ。

(東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より引用)

 

したがって、新型コロナウイルス関連死亡は、日本においては死亡者数を増加させていないことも考えられるところ、その推認を裏付けるものとして、最新の感染研の2020年超過死亡・過小死亡数推計が、過小優位になっている事実が挙げられる。

(2021年3月5日感染研データより青山まさゆき事務所作成)

 

以上をご覧になった方は、マスコミ報道から植え付けられた印象・先入観と現実がかなり違うことに気づかれたのではないだろうか。

今やるべきことはこの事実を正面から見つめること。そして、救急医療(重症者病棟等)への集中を減らしたければどこに対する対策を徹底すべきかは自ずと明らかだろう。

それは事実かどうかもわからない「若者→高齢者ルート」を絶つなどという迂遠なものではなく、「高齢者を直接救う対策」だ。

具体的には高齢者施設・慢性期病院従事者に3日に一回の頻度でPCR検査もしくは抗原検査を行って、施設・病院への流入減を絶つということ。施設入居者・入院患者らは、移動がないので1週間に一度でも良いだろう。

3日に一度というのは、疫学上の根拠がある話で、厚労委員会でも私の質疑において、尾身会長が「頻回検査は大賛成」と述べられているところ。これが実施されれば、必ず重症者も死者は半減するはず。

 

あまり根拠のない対策で多くの国民を振り回すよりも、現実を直視し、現実に即応したより効果的な対策を取っていくべき。

それと共に、こういった事実をきちんと広報し、必要以上に新型コロナを怖がらせないことへの配慮も必要だろう。

米国は、日本よりずっと多い100万人あたり1日178人の新規感染者を出しながら(日本は45人)既に前に進み始めている。ワクチン接種が遙かに先行しているイギリスやイスラエル並みの1日あたり感染者しか出ていない日本が見えない恐怖に怯えて立ち止まっているのは異常だ。