【国会報告】代表質問がおこなわれました

   昨日、代表質問が衆院で行われました。

 

 トップバッターは、野党第一党の立憲民主党の枝野代表。最初のテーマとして持ち出されたのは予想通り前国会で追及されたモリカケ問題や防衛省の日報問題でした。賛否のあるところですが、私としては、野党第一党らしく、国の根幹について堂々たる議論をぶつけていただきたかったところでした。このところの立憲民主党の支持率低迷の原因は、率直にいって声が大きい方達の声ばかりが聞こえてしまい、サイレントマジョリティである大多数の国民の声とは違うところを向いてしまっているからなのでは、と危惧を感じています。粘り強く期待してくださっている国民も多いところですので、骨太の議論を前面に押し出してその期待に応えていただきたいと思います。

 補正予算の編成遅れや賃上げ・経済成長に関する国民の実感と続いた後、ようやく国民の主要な関心事-消費税引き上げについての質問があり,その使途(保育所の無償化)と格差拡大の観点から反対する、と述べられました。そして、逆進性対策としてのクレジットカードのポイント付与や商品券配布についての批判がなされました。逆進性対策については、中小業者にとって負担となるだけですし、まさに弥縫策、私も反対で,枝野代表に強く共感しました。ただ、消費税引き上げ反対を言うからには、三党合意をされた肝心な理由である財政均衡について,その点をどうされるのかきちんと説明されるべきだったのではないでしょうか。

 憲法改正について、総理が改正の旗手となることの法的・立憲主義的問題点を指摘されたところは、納得でした。その後いくつかの質問事項の中で私が気になったのは、外国人労働者を受け入れるための入管法改正案について。移民受け入れや研修に名を借りた外国人労働者に対する賃金差別問題について枝野党首自身はどう考えておられるのか、そこも聞きたかったところ。諸外国における一般的な定義では1年以上定住している外国人は移民なのですから。ここは正面からの議論をしていただきたいところです。ドイツのメルケル首相は、党の評判など気にすることもなく、筋を通して移民受け入れ政策を推し進めています。その政治家としての潔さこそ、これから、日本においても求められてくるところでしょう。

 最後の方で辺野古基地問題にも触れられました。その目配りはさすがですが、沖縄基地問題の中長期的ビジョンも質問の前提として、お聞きしたかったところ。

 総じて言えば、政権交代を目指す野党第一党として、逃げない議論を是非していただきたい。国民はそこをみていると感じます。

 

 次は自民党。政権与党であるため、首相の所信表明演説の礼賛となるのはある意味当然。しかし、党として注文をつける、というところは少しで良いから必要だったのではないでしょうか。質問者の稲田議員は、ペーパーを棒読みの感じで、メモだけを見て質問する昔の弁護士のようでした。肝心の中身は、最初に「五箇条の御誓文」や聖徳太子の十七条の憲法第一条を持ち出されるなど復古主義者であることを彷彿とさせるものでした。

 外交・安保問題でも、米国、中国、ロシアにはその力に配慮したかのような慎重な物言いに終始されましたが、韓国に対しては、相当程度敵対的・挑発的な内容で、対照的な印象を受けました。保守であるならば、大国に対しても臆せずモノを言う、という態度をみせて欲しかったところです。 大変問題があった「全世代型社会保障制度」と「憲法9条改正」については、先に報告させていただきましたのでそちらをご覧ください。

 

 昨日の最後は、国民民主党でした。支持率は結党当初から低いのですが、質問においては前国会においても光るところをしばしば感じていました。優秀な政策スタッフの存在があるのでしょうが、玉木氏自身の考え方や個性も当然反映されているのでしょう。今日も最初の方で「日米地位協定」そして首都圏の空域問題を取り上げ、独立国の権利を主張された辺りさすがという感じでした。

 北方領土・日ソ平和条約に関する具体的提言をされた後、憲法9条に関する対案としての改憲案と国民投票法に関しても具体的提言。前者は必ずしも賛同しませんが、後者はまさにおっしゃるとおり。

 軽減税率の問題では、タブー(?)である宅配新聞の軽減の問題も取り上げられました。インボイスの発行で中小企業者が取引から排除される懸念も頷けるところでした。コドモノミクスと名付け子ども一人1000万円の給付を提案されましたが、これは時すでに遅しの感がある上に日本社会では嫉妬がらみの批判が高まりそうです。

 入管法改正では「外国人と共生」を訴え、「同一労働同一賃金」「日本語教育の義務付け」と具体策を提示されましたが、これにはおおいに賛同します。とにかく、具体的で熱が入った面白い代表質問でした。

 日本に改革中道政党が必要なことは言われるとおり。支援団体と一定の距離を保ち、国民全体の利益に配慮した、率直な意見を今後も述べられることを期待します。

【国会報告】代表質問で露呈した安倍政権の 国民に対する虚構

 本日はいよいよ代表質問が衆院で行われた。まずは衝撃的な質問と答弁について紹介する。自民党の稲田議員が、「元気で活躍できる高齢者に「支え手」の側に回ってもらう」と質問し、安倍総理は、「年齢にかかわらず学び働く」「70歳まで就業確保」と答弁された。つまり、事実上「死ぬまで働いてください、年金はほぼ払いません」と公式に政府が表明したのである。私は、正直な言葉で政策を語るべきであり、その点が現在の政府に根本的に欠けている問題点だ、ということを述べてきた。安倍政権が提唱する「全世代型社会保障」という言葉の真の意味はここにあり、その真の姿が国民の前に姿を現しつつある。

 

 同じ問題を抱える別の重要な質問もやはり稲田議員によってなされた。憲法9条改正を巡る問題だ。「自衛隊違憲論に終止符を打つ」「防衛大臣時代に南スーダンを視察しましたが、気温50度を超える灼熱の地で黙々と道路や施設を補修する自衛隊員の姿は現地の人々や世界から賞賛されていました。」「災害において自らの危険を顧みず救助、復興作業に当たっているのも自衛隊員の皆さんです。」だから、「自衛隊を誰からも憲法違反などとは言わせない、そのためにも憲法改正は急務」と質問し、安倍総理は「総理としては答弁は差し控えるが自民党総裁として」答弁された(?)。その内容は「自衛隊が合憲という憲法学者は2割」だから、その論争に終止符を打つためだそうだ。現在の憲法学者で自衛隊を違憲という方を探すほうが難しいと思うが、自衛隊改憲論の後ろに隠されたもの―日米同盟において自衛隊を米軍の世界戦略における補完勢力とするための基盤整備として、安全保障法制と憲法改正を一体として進める―はあくまで隠しとおして物事を進めるつもりなのだ。

 私は、憲法改正の一切を認めない、という立場ではない。しかし、一国の基盤たる憲法、しかもその主要部分とされる安全保障の在り方を定めた憲法9条改正を、言葉のごまかしで進めるべきではない。正々堂々とした議論の果てに行われるべきであるし、それが「主権在民」「民主主義」の姿だ。国民を欺くようにして、国の進路を決めるべきではないのだ。

【国会報告】第197回臨時国会が召集されました

 本日、第197回臨時国会が召集されました。

 私は、無所属として再出発しましたが、無所属という立場を生かし、是々非々の自由な観点から国会の様子を皆様にお伝えし、また、私の見解・意見を述べさせていただきます。この報告を行っていくこと、そしてそのような活動を通して今の国政の問題点を皆様と共に考えていく、という新たな議員活動のスタートです。国会議員として、心躍る気持ちで国会に臨んでいます。

 

 初日は、安倍内閣総理大臣の所信表明演説と麻生財務大臣の財政演説がありました。

 

 安倍総理の所信表明は、「強い日本」を創る、という安倍さんらしい前文から始まりました。安倍さんの今までの言動やそこから覗えるキャラクターどおりの前文です。私は個々人の自由や創造性を重視するという立場ですので、必ずしも共感するものではありませんでしたが、トランプ大統領と同じく個性を前面に出しているという点で、安倍自民支持層には訴えかけるものだったでしょう。

 

 その後、述べられた点は、2「強靭な故郷づくり(復旧・復興の加速・震災からの復興・国土強靭化)」3「地方創生(農林水産新時代)」と続きました。この3の中で述べられた「全世代型社会保障改革」、この言葉とその内容には大きな違和感を受けています。言葉は格好の良いものですが、ありていに言えば、年金の破たんが近づき、65歳年金開始でも賄えそうもないから70歳まで支給年齢繰り上げを視野に入れ、「全世代」という言葉でごまかしている感が透けてみえます。過去の歴代政権や厚生労働省の予測の誤りの積み重ねの結果ですから、安倍政権のみの責任とは言えないでしょうが、せめて言葉でごまかすのではなく、真摯に国民に真相を告白し、骨太の議論や提案を行うべきです。

 

 同様の問題は、同じ項目での「女性活躍の旗を高く掲げる」と「外国人材」にもあります。女性活躍や外国人労働者の積極的受け入れは私も賛同するところです。しかし、女性労働力に着目している理由の大きなところは、極端な労働力不足解消のためという狙いがあるのでしょう。これもそのような狙いがあることを正面から認めたうえで、日本の現状を直視し、女性に偏重している家事・育児負担の軽減を図ったうえで女性の自己実現のために行うという正直な提言であるべきです。外国人材も同じです。「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材」についてのみ「日本人と同等の報酬」を確保するとしています。しかし、日本国内に根強く残る定住外国人労働者受け入れへの偏見を是正し、「研修」という修飾語でもって、日本国籍をもつ労働者ではありえない低賃金労働を強いている不正義の是正も同時に訴えなくてはならなかったところです。

 

 この後、4「外交・安全保障」が述べられたあと、5「新たな国造り」結びとして6「おわりに」が語られました。外交・安全保障については、深く論じていきたいところもあり、これについての言及はまた別の機会にさせていただきます。「新たな国造り」では、安倍総理悲願の憲法改正に言及がなされました。その具体的内容については語られませんでしたが、安倍総理の主眼が憲法9条にあることは間違いのないところでしょう。9条について議論されることを否定するものではありませんが、これは広く安全保障の在り方と憲法9条改正や安保法制のその先にあるアメリカ・日本の真の狙いをつまびらかにし、国民が正確な情報をもとに正しい選択を行えるようにすることが先決です。この問題こそは、「言葉遊び」や「言葉の修飾」でごまかすべき問題ではありません。私たち、そして未来を担う子どもたちの生命の行く末にかかわるものであり、国民の真意による選択が絶対的に必要なものなのですから。

 

 最後に、復興・復旧予算をはじめとする必要な補正に異を唱えるものではありません。しかし、当初予算に計上すべきである項目などの問題点は隠されたままです。財政均衡の視点は、安倍総理の所信表明だけでなく、麻生財務大臣の財政演説でもまったく触れられませんでした。財政の均衡という視点は、これからの日本を考えるとき欠かせないものです。この視点が欠落すれば、所信表明の最後に述べられた「私たちの子や孫の世代のために、今日、ここから、希望にあふれ、誇りある日本を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか」という高らかな宣言とまったく逆の未来が待っているでしょう。