議員報酬削減?

名古屋市長選で議員報酬削減が争点となっているようだ。河村市長は議員報酬半減を公約とし,削減を求める声も多いようだが、今の議員は,年金受給年齢となり引退したとしても国民年金しかない。また,年毎に決まった昇給がなされる訳でもなく落ちればいきなり浪人,家族と共に路頭に迷う。そういった事を勘案すれば,一部上場企業の30代あるいは公務員の50代位の年収を半分に、はどうかと思う。報酬面で魅力に欠ければ特に若い世代において,一線級の人材が確保しにくくなるのは間違いない。
関連する問題として,国会議員には政策秘書の給与が支給されるが,そこを勘案しても政策研究費がかなり不足している。アメリカの上院議員は50人の政策スタッフを抱えていると聞いた。充実したスタッフがいてこそ,行政庁と渡り合い,対等の法案提出も可能となる(ただ,日本の場合,政策を検討しているまともな国会議員は数少ない。下手に支給すると,政策秘書が選挙対策の挨拶回りスタッフに化けたり,政策経費が私的利益に流用されてしまう,という問題点がでてくるだろうが)。
また,充実した議会審議のためには県会議員や政令指定都市の市議会議員にも,スタッフの公費負担が必要だろう。上記のような私的流用を防ぐ為,公務員的な扱いで自治体が雇用し,各議員に従事させる,という仕組みでも良いのではなかろうか。

少し話が変わるが,最近の日本は、この名古屋市長選を巡る争点のような,待遇切り下げが正義である,という風潮がまかり通っている。これは,企業の倒産が相次いだバブル期、リストラを行う経営者をマスコミが褒めそやした頃からだと思う。しかし,今の日本に必要なのは、賃下げや報酬切り下げではなく、一部の特権階級的な大金持ちに属さない側の所得増加策である。労働分配率の低下が景気低迷の原因とピケティが論証した通りのところである。当然,民間給与にも広く参考とされている公務員給与も改善が必要だろう。最低賃金の引き上げを含め,社会全体が考え方を変えていく必要がある。