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人口減少社会への対策

安倍首相は,平成28年9月21日,人口が300万人減少しているがGDPは伸びている,だから人口減少は心配いらない,とニューヨークで講演した。人口減少はボーナスとも。しかし,これはアベノミクスという国富減少政策で2割もの円安が進んだことによるマジック。基軸通貨のドル建てでは1兆ドルという驚くほどのGDP減少だったのである。衰退のスピードは速い。

経済学には「人口ボーナス」「人口オーナス」という言葉がある。人口ボーナスとは,戦後日本や最近の中国に見られたように,人口増加に伴い,経済が拡大することをいう。これに対して,人口オーナスとは,人口減少に伴い経済が縮小することをいう。今の日本に当てはまっているのは人口オーナスである。先般来日して安倍首相とも会談した,アメリカのノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンはアベノミクスや黒田異次元緩和の理論的基礎を提供した有名な経済学者である。その彼が,既に昨年(2015年)の10月20日、NYタイムズ紙に寄稿し,日本で通貨量を増やしても,つまり異次元緩和をしても景気が上昇しなかった原因を分析している。「日本は人口の生産年齢人口の面から、経済成長が低くなる、ひどく好ましくない人口構造をもっている」。つまり,日本の不景気の原因は人口減少にあったことを指摘している。なんだか素人にでもわかるようなことだと思うが,結局,壮大な社会実験であるアベノミクス・異次元緩和をさせた挙げ句,それが失敗であったことを認めたのである。

ところが,安倍首相は前記のとおり,未だに人口減少は日本の経済衰退の主原因であることを認めない,と世界に向けて言い張っているのである。驚くべき無知蒙昧だ。驚くのは,彼だけでなく,期待の若手とされている小泉進次郎氏が,「人口減少社会で幸福感を醸成できる」とあるフォーラムで最近講演したことだ。自民党はもう終わり,ここまで現状認識ができない人物がトップであり,次代のホープであるようでは。

 

ところで,私はこの夏に静岡市の山間部である井川、梅が島地区を細かく歩いた。そこには,老人の一人暮らし世帯ばかりが目立ち,その合間に人が住まなくなった廃屋があった。静岡市の中心部・呉服町通りにもずっとシャッターが閉まったままの店舗が幾店もみられる。静岡市でもずっと前に西武百貨店が閉店したが,地方都市で百貨店の閉店が相次いでいる。

また,NHKスペシャル「縮小日本の衝撃」でも取り上げられた,財政破綻で有名な夕張市はいうに及ばず、税収不足で救急車の更新すら出来ない自治体もある。今の日本では,一番弱いところから徐々に、壊死のような衰退が広がっているのだ。

それだけではない。賦課方式をとっている年金は、2050年には二人で一人を支えなければならなくなる。どう考えても破綻必死だが,厚労省はこれが維持できるという。その理由は、年3%成長を前提とした夢物語を立てているからだ。現在ですら,国は年40%前後の巨額の赤字財政を続けている。地方自治体ならとっくの昔に破綻,安倍首相や国会議員たちの給与も手取り15万円でもおかしくない。しかし,政府は国債を日銀に全額直接引き受けさせて賄っているだけなのだ。

 

問題は,さて、そこでどうするか。私は,日本全体の共通認識として,破滅的な人口減少とそれに伴う経済の崩壊を迎える前に,若い世代が子育てを安心して楽しめるための政策を採っていくことが日本全体の幸せに繋がる,という意識を持つことが必要だと思う。OECD主要30カ国では育児給付(サービス含む)が増えると出生率が上がるという関係があり,合計特殊出生率を1.4→1.8にするには育児給付(サービス含む)の割合をGDP比0.4%→1.3%にすることが必要だという。フランス並みに2を越えるには1.9%の投資が要る。安倍首相が経済最優先というのであれば,経済衰退の根本原因である少子化問題を最優先として取り組むべきだが,既得権益層に絡み取られ,自らの支持母体の利益のみ優先する既存政党(自民も民進にも)には不可能な政策であろう。今こそ,日本の招来のために既得権益に囚われず,For the peopleな政党が必要だ。我々が立ち上げた政策集団国民サイドは,そのために存在する。%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b0%e7%94%a8