日本の人口問題

ニューヨーク訪問中の安倍首相が,2016年9月21日,「日本の人口動態は、逆説的ですが、重荷ではなくボーナスなのです」「日本はこの3年で生産年齢人口が300万人減少したが、名目GDPは成長した」「日本の人口動態にまったく懸念を持っていない」と発言した。http://www.news24.jp/articles/2016/09/22/04341646.html,http://news.livedoor.com/article/detail/12049294/
日本を導くリーダーとして,あるいは政権与党である自民党の最高責任者として,日本の根本的問題について誤った認識を持っていることがはっきりとした。

日本の根本的問題は,人口減少だ。これがGDPを減少に転じさせ,賦課方式である年金の将来的破綻を確実にもさせている。下図は私が作成した労働力総人口と名目GDPの推移をグラフ化したものだ。
驚くほど推移が一致している。
gdp

安倍政権は,異次元緩和という名の「日銀による国債の無制限買い入れ」により得た財政的自由(打ち出の小槌)によって,野党提唱のものも含め,大盤振る舞いの放漫財政を続けている。しかし,人口減少に対する大胆な政策実行(フランスのような税制まで含めた子育て支援策)はする気がないようだ。

基本的な現状認識が「人口減少がボーナス」と言っているようでは当然だろう。ちなみに,経済学上は,人口増大によって経済成長が拡大することを「人口ボーナス」,逆に人口減少によって経済が縮小することを「人口オーナス」というが,安倍さんは新説を打ち立てたらしい。ノーベル賞でも狙っているのだろうか?