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【国会報告】法務大臣不信任決議案

 本日、日本の将来を大きく変えてしまう可能性のある、入管法改正案の衆議院審議が行われています。まずは、午後いっぱい行われた法務大臣不信任決議案の審議について報告します。
 最初にこの法案に対する私の立場をご説明いたします。私は、正面からの十分な議論と受け入れに伴う制度整備を前提とした上で一定数の移民は受け入れるべき、技能実習制度は早急に廃止という立場です。しかし、現在の入管法改正案は議論不足、準備不足の極みでそれに呼応するように法案の中身が空っぽなので反対です。また、ボリュームの大きな移民の受け入れは、若年者層やブルーワーカー層の低賃金の固定化に繋がることは間違いなく、それが今の欧米に見られるような極右勢力の台頭にも繋がっていく可能性もまたあるでしょう。したがって、法制化には事実の検証を踏まえたきちんとした議論が必要です。

 さて、趣旨弁明に立たれたのは、国民民主党の山井和則議員。まずは現在の技能実習生の悲惨な実例を紹介されました。建設業の実習のはずが福島で除染作業に従事させられたり、残業代が300円だったベトナムの方。ダンボール製造業で指を3本切断し、雇用主からはいたわりではなく「仕事ができないならば帰国しろ」と非人間的な言葉を寄せられたというカンボジアの方。自転車に乗ることや大勢で集まることを禁止され、赤い帽子を日常的にかぶることを強制されたという例など。いずれも、憧れであった日本のイメージを著しく失墜させるものであったと紹介されました。こういったことを放置しての新たな制度の導入は認められない、との論説でした。このあたり、本当に胸を打つ訴えかけでしばし聞き入り、また拍手をいたしました。しかし、法案成立を足止めするためにやむを得ない手段だったとはいえ、時間を使おうとされるあまり徐々に話が散漫になった印象は否めず、折角マスコミを始め広く国民に本法案の問題点を浮き彫りにさせるチャンスであったと思うと残念ではありました。その後、日本人の賃金が上がりにくくなるという、当然制度導入によって起きうる事態について正当な指摘をされ、ご自身が留学経験されたスウェーデンで、国民との軋轢が生じていることを紹介されました。移民受け入れに反対はしないが、自国民の賃金・労働時間・労働条件の向上とセットにしないと、移民排斥の極右政党が台頭する、近時のスウェーデン、ドイツを見よ、あのメルケルでさえ(2021年限りの)引退に追い込まれた、とまさに時宜を得た指摘をされました。
 総じて、熱が入り、また正しい指摘であったと思いますが、先に述べたとおり止むを得ないこととはいえ、内容的には1時間が限度のもの、約2時間であったことは演説としてもったいなかったと感じました。

 各党の賛成反対討論は、印象を中心として。
 自民党は、野党が問題視する技能実習制度の問題点と本法案は牽連性がないとの指摘。それはそうですが、前段階の技能実習制度の問題点を踏まえてその改善策を盛り込んだ本格的制度の法制化であるべきなのでは。
 立憲民主党は法務大臣のホームページにあるという大臣の持ち味「突破力」と座右の銘である「人生は生きるに値する」という言葉に絡めての批判。そこに絡める必要はなかったと感じましたし、そもそも移民制度に賛成なのか反対なのかがよくわからないため、説得力がもう一つ、という感じでした。
維新は、不信任決議や解任決議は、議論の機会を奪うし、政党間の信頼関係を奪う最終兵器なので乱発すべきではない、との意見。それはそうです。
 国民民主党は、静岡県の源馬議員。いつも上手な討論をされるのですが、この日も真っ向からの正論。外国人労働者が必要だから改正するというが、ではその見込人数の積算根拠は?であるとか、日本人賃金に影響ないという根拠は?都会に偏在しないか?と畳み掛けた上で、少子化で先細りする日本には、短期労働力ではなく移民が必要という、堂々たる論陣を張られました。頷くことばかりでした。
 無所属の会と共産党は、特筆するところがなかったため、恐縮ですが省略させていただきます。
 不信任案は賛成131、反対309票で否決されました。私は賛成票を投じております。

 さて、入管法改正案は、特に若者にとって、労働市場において外国人労働者という強力なライバルをボリューム感を持って導入しようという法律です。使用者側・企業側の労働力不足という声だけでなく、未来を見据えた制度設計が必要であることを再度訴えかけさせていただきます。