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【国会報告】財務金融委員会(前編)

 11月20日、財務金融委員会が行われました。この日は一般質疑でした。

 今回のリポートは、野田元総理と麻生大臣の間で大変重要な質疑が行われた関係で、前後半2回に分けてお送りします。まずは、順番を変えてその野田元総理(無所属の会)の質問からご紹介します。

 まずは、冒頭から国際情勢の緊迫化について真っ向から迫られました。米中間の対立激化により、APECが4半世紀の歴史上初めて首脳宣言がまとめられなかったこと、間もなく始まるG20も踏まえ、大臣の所感を尋ねられました。麻生大臣の答えは、 海外の金融、経済、財政関係の方の来日数が多く、政権が安定しているおかげで経済政策もうまくやっている、金融、金利、為替も安定で、多くの問題で日本は非常に頼りにされているというものでした。

 この後、ペンス副大統領来日時になぜ麻生副総理財務大臣と会談して経済対話をしなかったのか、と残念がるような質問。先の国会での財金での質問では大臣に辞任勧奨までされていましたが、野田さんもやはり麻生大臣の実力を十分評価しておられるようです。

 そして、2025年度プライマリーバランス黒字化のこと。まずは5年先延ばしになってしまった理由を改めて尋ねられました。麻生大臣の答えは、世界経済の成長が去年特に下がったこともあって、税収の伸びが落ちたこと、また、消費増税が前提であったが、それを延ばすという経済判断をされたので、全体として税収の伸びがそれだけ伸びないため、2020年までに達成できなかった。ただし、その前までの3年間は少なくともきちっと半分にしますというのが、それなりの方向に進んでいる、今後とも、このプライマリーバランスを大事にするということは、マーケットの中にある国際市場等々を考えたときに大事なところだ、と答えられました。この答弁について、私は、アベノミクスで経済の好循環が進んでいる、という安倍総理の持論と矛盾するものですし、消費増税延期は麻生大臣の判断ではなく安倍総理の判断であったのは確かでしょうが、他人事のような言いぶりはどうか、と残念に感じました。ただし、マーケットの国際市場とは、おそらくは日本国債や円の信用問題のこと。財政均衡の目途が立たないということになれば国債は暴落、円は際限ない円安という大変な事態にもなりうる、ということを示唆されたのでしょう。ここは全く同感です。

 麻生大臣は続けて、2025年と言っているのは、「団塊の世代がいわゆる後期高齢者というところになってこられますので、そういった意味では、この段階までにきちんとやっておく必要があるのではないかというのが率直な実感でして、それまでにぜひともやり上げたいということを思っておる」と答えられましたが、ぜひ有言実行を期待したいところです。

野田さんは、この答弁を受けて、世界経済の落ち込みや消費税の二度の延期もそうだが、累次の補正予算が、プライマリーバランス黒字化の遅れの原因ではないか、と指摘されました。立憲民主党や国民民主党、共産党などの野党も、補正予算にはもろ手を挙げて賛成のようですが、野田さんの質問によれば、第二次安倍政権になってから黒字の補正予算を過去9回組んで30兆円の追加支出をしており、消費税の使途変更より大きいとのこと。これは放漫財政になりかねないので、十分御注意を、と述べられました。

これに対して麻生大臣は、補正が非常に影響したという指摘はそれなりに拝聴せねばいかぬところだと率直な答弁。

続けて、まさに財務金融委員会の本質にも関わる来年度の予算編成についての質問。きちっと財政健全化の道筋をたどっていくスタートとなるのか、そうではない放漫財政に陥るのか、まさに正念場。ただし、歳出拡大の要因・圧力が今回いっぱいある。例えば安保情勢を考えると、防衛費。 何度も自然災害で大きな被害が出ているので 防災・減災対策は大き歳出拡大要因。一番大きいのは、やはり社会保障費。2016から2018年というのは、3年で自然増を一兆五千億円で抑える、年で数えると五千億という目安があったが、今回目安もないで。そういう歳出拡大圧力が多くある中で、2025年度のプライマリーバランス黒字化に向けて確かに歩んでいくというのは大変なこと。加えて消費税引上げ対策のばらまきも歳出膨張圧力。 そのほかに、今回の消費税の使途変更にかかわる新しい政策の幼児教育の無償化などは従来と別枠という話も。などすると、間違いなく史上最高 の百兆円台の当初予算になる。 それで本当に2025年度のPBの黒字化なん ということが現実的に考えられるかどうか非常に難しい予算編成だと思うが御決意は、というまさに現実を見据えた質問でした。

麻生大臣は、今回の社会保障関係費については、実質的な増加というものを高齢化による増加分に相当する伸び内におさめる。また、非社会保障関係費についても、これまでの歳出改革の取組というのを継続する、地方の歳出は、一般財源の総額については、2018年と実質的に同水準を確保するという歳出方針を骨太方針2018で示している。来年度の予算編成 に当たって、2025年PB黒字化の初年度に当たるので、非常に大事なところで、基礎的財政収支の黒字化達成がきちんとした方向に行っているということを示す意味でも、基本的なラインをきちんと守って、その上で、防衛費等々いろいろな多くの問題を私ども抱えてお りますので、そういったものを含めまて、歳出が緩んだ結果とおかしなことにならないように、最大の努力をしてまいりたいと思っております、と正面から答えられました。

 

今年度は、まさに、これから数十年の日本の命運を決めていくスタートです。若い世代に誹りを受けることのないよう、今を生きる我々は今年度の予算編成をきちんと注視していきたいと思います。