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野党こそ変わるべき。国会における討論の質を高めよう。

第2次補正予算が衆議院を通過した。私は,本会議でどのような討論が行われるのか注目していた。注目していたのは「補正予算」の審議にどの程度各党が集中するか,といういわば当たり前の点である。

ここのところ,補正予算は形骸化し,本来当初予算案に計上すべき項目が補正に回されることが常態化している。当初予算案の形を整え,見かけ上の前年比支出増を回避するためである。特に今回の補正では,防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策に1兆円も割かれている。本来はもうすぐ審議が始まる当初予算案に計上すべき予算であり,しかも時期からして補正を組んでも当初予算でも執行はどのみち大差はないだろう。

このようなやり方は,まさに財政法29条1項「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」という規定に反する脱法的行為である。もう一つの問題は,当然ながらこの補正予算により歳出は増大する。結局約2兆8000億円が1次補正よりも増加し,101兆3581億円と,通年では100兆円を超える支出となってしまったのである。増えた分を補う歳入はまたしても国債である(維新の党の指摘によれば1次補正予算と合わせて2兆円の建設国債増)。これは,財政健全化に反するものであることは明らかである。

このようなまさに本質的としかいいようのない問題を含んだ第2次補正予算案に対し,討論が行われた訳だが,各党10~5分の持ち時間しかないのであるから,こういった本質的議論に集中するのが本筋だろう。しかし,残念ながら現実はまたもや違っていた。

立憲は,冒頭3分の1を統計不正問題に費やし,さらに消費増税,軽減税率と繋げて最後にようやく国土強靱化関係予算を補正で組むことについて指摘したが,結論は補正予算で予算化することではなく本当に必要な防災対策であるべき,という焦点のぼけたものとなってしまっていた。また,財政健全化への言及は皆無で,幼児教育無償化の手法や,児童相談所への体制強化に使うべき,という「使い道」競争の視点しかみられなかった。

国民民主は,歳出抑制及び財政法29条の観点から,国土強靱化関係予算や地方創生拠点交付金・戦闘機購入は当初予算に組み込むべきとの説得力ある討論を行ったが,やはり冒頭は統計不正問題であったし,締めは公文書改ざんなどに対する政治家の責任で終わっていた。徹頭徹尾補正予算案に関する本質的問題についての討論を行ったのは維新ただ一党であった(結論はなぜか賛成であったが)。

要は,ケジメをきちんとつけていただきたい,ということなのだ。国会に参加して一年余を経過したが,いつも同じことの繰り返しである。本来討議されるべき事柄(法律案であったり予算案であったり,委員長の解任決議案や大臣の不信任案であったりもする)は横に置かれ,関連性の薄いことや主題でないことが延々と訴えられる。確かに野党にとってはアピールの機会ではあろうが,まずはやるべきことがある。まずは議題に集中し,質の高い討議を行うことこそ,真の国民へのアピールとなるのではないだろうか。「本物の力」こそ,人の魂を揺さぶる。また,じわじわとではあっても,静かにそれは伝播し,広がっていく。今は,テレビ中継はなくともインターネット中継が存在し,そこで何が行われているのか見る人は見ている。

国会の質,そこで行われている民主主義の本質たる討論の質を高めることこそ,野党に求められているところではないだろうか。