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私たちのエゴイズムと医療崩壊

少し暗然とした気持ちになる。今日の世界の感染者数は113万人。100万人を超えたのは昨日だったか、一昨日だったか?

アメリカで新規感染者数が1日2万人を超えたのは数日前だったと思うが、今日は3万人を超え3万2000人、フランスは一気に2万3000人増えた。(現地時間ではいずれも昨日)。

日本での感染拡大は、欧米に比べればまだまだ序の口だが、早くも医療従事者の家族への差別(保育園への登園拒否や配偶者の勤務先での出勤拒否)が始まっている。

これでは、やがて医療機関の外来拒否が広がっていくだろう。患者や周りの人々のために命を張ってやっていることに関して、逆にその人たちから、家族という一番大事なところを攻撃されては馬鹿らしくなるのが普通だろう。それならば、と自分たちも職業的プライドよりもその人たちと同じように我が身や家族の安全を優先してしまいたくなるのが人情というもの。

諸外国では物理的な患者の増大によって訪れた「医療崩壊」が、日本では私たちのエゴイズムで訪れるのかも知れない。

少し落ち着いて考えてほしい。厚労省のデータによれば、少ない日本の検査数で、PCR検査陽性例は2178人(令和2年4月1日版)。そのうち、無症状病原体保有者は202例。つまり、感染者のうち1割は無症状。

あなたも私も、気づかないけれども感染者かも知れない。日本全体でもわずかな感染者数の中のさらにわずかな医療者への2次感染。そのわずかを「リスクが高い人」と恐れて差別するなら、私もあなたも差別されなければならない。確率の差などほんの僅かだ。

欧米では、医療者へ心からの声援が贈られている。そして、引退した医師・看護師たちが自発的に招集に応じて、私やあなたの抽象的恐怖よりもはるかに覚悟のいる治療にあたっている。

私たちも心のどこかにある、心配しすぎの自分を叱って、つまらない差別は止めにしよう。その差別を捨てない限り、間違いなくその見返りは自分たちに降りかかるだろう。公共の場でマスクをするのも、医療者への差別・偏見を捨てるのも、結局は自分たちのためになることなのだ、と心に強く刻み付けよう。