煽りは煽り

心配していたことがどんどん現実化している。過剰な自粛ムードで飲食サービス業の灯は消されそう。一方で、現在のところ出来るはずもないCOVID-19に対する「早期発見早期治療」を煽り立てるメディアは勢いを増し、これに手を貸して、現状ではありもしないCOVID-19感染の軽症例に対する抗ウイルス薬などによる治療法があるかのようなコメントを述べて、テレビ局をハシゴしている医師がいるようだ。

しかし、現時点ではそのような治療法はない。

この問題を正確に理解するためには感染力と致死率という二つの別の要素を冷静に見極めるべき。
潜在している無症候感染者をカウントすれば致死率が格段に下がるというのはMERSでのちに判明したこと。
致死率が高いエボラの時に感染拡大はもはや止まらないと煽りまくっていた方がいたが、感染様式からして無理のある言説だった。

未知の感染症に対する恐怖があるのは当然だが、それを煽るのも冷静かつ必要な対処に導くのもマスコミと世論。

現在、デマと変わらないような誤った医学的知見を巻き散らす医師や大学教授と、それに便乗した一部のキャスターの目に余る行動に国立感染症研究所が反論すると、それが言論抑圧としてまた政権批判に利用されている。
しかし、煽りは煽り。
不正確な報道に、公的医療機関が反論するのは当然だろう。

過剰な煽りは、庶民の味方ではない。
必要なものに必要な医療が届かない結果を招き、死ななくてよいものを死なせる結果になる。
また、必死に毎日の日銭を稼いでいる中小零細飲食業者や非正規労働者の生活の糧を根こそぎ奪っている。

正義の仮面を被って勢い込んでまくし立てることが、とてつもない不正義となっているかもしれないと自省することも必要だ。

なお、重症例に対する治療法は開発が進んでいるよう。ECMOによる肺を休ませる治療法や有望な薬(シクレソニド)も出て来ているとのこと。落ち着いて状況を報じてもらいたい。