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消費増税反対で本当にいいのか?

 今度の参院選,主要野党は共通して消費増税反対を訴えている。自民党からも消費税率上げ凍結を理由として衆参同時選挙を,との声が絶えなかった。

 しかし,既に使途(子育て支援,高等教育無償化,社会保障など)が決まっている消費増税を先送りすれば,その結果は,国債の増発,つまりは負担の先送りとなる。国債は60年分割償還がルールであり将来世代へのツケ回しそのものだ。既に1000兆円にもなる将来世代へのツケ回しの拡大は世代間不公平を一層拡大するものとなる。今の日本は,貧富の差が拡大しているだけでなく,若者と中高年齢者層の世代間不公平も同時に拡がっている格差社会であるのに。

 そして同時に,財政破綻への道も一歩進めるものともなる。日本政府に対する信認失墜による通貨安によるインフレリスクも増すことになる。

 消費増税凍結が併せ持つ世代間不公平の拡大を始めとした負の側面について、政治は正面から直視することが必要なのではないだろうか。

 本来であれば,消費税率上げはやむを得ないものと国民の皆様にその必要性を説明すると共に,国民の間に根強く存する不公平感の払拭のため,所得税の累進性強化(階段型に税率を上げるのではなく,指数関数的な税率カーブの適用も現在の技術であれば簡単に導入できるであろう)や,法人税課税の強化(二重課税論など理論上の問題はあるにせよ,40%程度の上限での緩やかな累進性の導入)などを提案するというのが責任ある政治の姿,本筋であろう。

 第二次対戦前にあれだけの軍備拡張が出来たのは、財政均衡を説いた高橋是清を2.26事件で殺害してまで国債頼りの放漫財政を続けたが故。主要野党がやはり共通して訴えている防衛費削減も野放図な国債発行を縮減すれば否応無く実現するであろう。ない袖は振れぬ,だ。

 増税凍結を訴えるばかりが本当に国民のためになるのか?

 このままでいけば、なぜあの時、政治はポピュリズムに陥り、止めるべきを止めなかったのか、と言われる時が来るだろう。