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民主主義を歪めるフェイクの蔓延

アメリカ大統領選に絡んで、SNSでは陰謀論花ざかりの様相。

もう昔の範疇だがメル・ギブソンとジュリア・ロバーツの「陰謀のセオリー」というサスペンス映画があった。少し?な感じのメル・ギブソンが執拗に訴えてきた都市伝説のような「地震兵器」を巡って話は展開していくもの。

なかなか面白い映画だったが、それは映画の世界だから。最近は、都市伝説やらデマやらが現実世界を侵食しており、それが選挙や民主主義を歪めつつあるとなれば、面白がってはいられない。

 

例えば、今TwitterやFacebookでは、「ウィスコンシン州では投票率が200%」というアメリカでのツイートをネタ元にして、アメリカ大統領選挙に関するデマが日本でも広がっている。選挙前から広まっていた「Qアノン」」的言動だ。

背景には、新型コロナ禍や協調社会、建前社会への鬱積した不満があり、それらをすべて突き破るリアルジャイアンのようなワンマン大統領の言動に心酔する方が日米共に多く、その反作用として、建前や「よい子」であることを大事にするアメリカ・民主党、その象徴のような紳士な感じのバイデン候補に対する反発が強いのだろう。

トランプ大統領が政治的に上手なのは、そういった陰謀論を利用して、自身を、世界を支配してきた黒幕たる巨大な陰謀組織に立ち向かうチャレンジャーと見せているところ。

 

しかし、このような状況は、民主主義を歪める。そのやり方でヒットラーが政権を奪取したのは歴史のうちでも最も教訓とすべきところ。先の大阪都構想の住民投票においても、その手口がまかりとおり、見事に反対派が勝利したが、彼らには民主主義を歪めたという認識はあったのだろうか?これが今後の選挙でもまかり通れば、日本の未来には再び大きな黒雲に覆われるだろう。

 

やはり公に発信する以上、ネタ元の確認が必要。SNSでは、ニ次情報がネタ元、しかも誰かのツイートなどの投稿というものが多いが、それを盲信して再発信すればフェイク拡散狙いの元ネタ発信者の思うがまま。SNSへの投稿であっても、やはり一次情報を確認するという姿勢が大事だろう。

民主主義は意外に脆い側面を持つ。こういったところから社会は道を逸れていくことを歴史は教えている。