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森友、加計、そして桜は国会論戦としては卒業する時期

私は是々非々の立場。そして、財政政策としてのアベノミクスには疑問大なので、特に前の安倍政権を支持しているものではない。しかし、国会の委員会で果てしなく繰り返されるモリカケサクラは、そろそろ一区切りつける時期だと思っている。その理由は、前政権に関する実らない疑惑追及にいつまでも拘っているのは時間の無駄であり、国益というか国民の利益をむしろ損なうから。

この点について、SNSでいくら言ってもわからない方たちがおられるので、まとめて書いてみた。

 なお,国会における審議には議員として臨席したものであるが,ここでの私見は弁護士的視点で述べたもの。また、何か新証拠が出た場合にその点について質問されることや、司法や言論の場で追及されることについて止めるべきなどというつもりは全くないので念のため申し添える。

 

1 総論 

(1)エビデンス

単なる批判のレベルを超えて人を追及する以上一般的にエビデンスが必要なのは言うまでもないが,たとえ相手が権力者であってもエビデンスが必要なことは言を待たない。

また、エビデンスがなく総理大臣が問題視されるとすれば,たとえば,外国にとって都合の悪い総理大臣を失脚させることが容易になる。あのロッキード事件も,当時のマスコミの一方的報道や世論の後押しもあって,尋問調書の取り扱いなどを巡る司法手続きで,脱法的ともいえる相当の無理が積み重ねられている。そして,今となっては外国諜報機関の関与さえ取り沙汰されているのはご承知のとおり。諸外国においては,驚くほど自国の利益最優先という思考が強く,それを実現するための諜報活動も盛んで,場合によっては重大な違法性の行為すらしばしば行われていることは一般論として念頭に置くべき。

 

(2)国会での追及

なんらかの端緒を元に,国会で現行法制度に基づいた手段を尽くして事実(真実)を探究することは民主主義社会における国会として当然のこと。

その意味で,これらの問題が発覚して2~3年の間,ある意味集中して取り扱われたことに意義はあった。

しかし,掘り尽くされた感がある現在,新事実があれば別途,同じ手持ち証拠で同じような質問を繰り返しても,掘り尽くされた鉱脈をもう一度掘り返すようなもの。

 

(3)官僚の答弁

率直にいって,官僚の答弁は,あまり褒められたものではなかった。素直に答えれば良いものを敢えて話を逸らしたりまだるっこしい言い方をしたり。そのために審議が中断して,委員長が仲裁に入って,結局後日の委員会で答弁がなされるということもしばしばあった。

そういった答弁になる理由の第1は,首相を始めとする大臣や与党への忖度。

第2は,質問する側の手法。質問者が,相当程度高圧的な態度で質問をし,引き出した答弁で重箱の隅をつつくような質問を執拗に続けていく,という手法への防禦策としてそうせざるを得ないのだ。

両方とも前近代的であり,真実解明や正義の実現というところからはほど遠い。実に無意味だ。

 

2 各論

(1)森友 

元々の発端は旧時代的思考の小学校を作ろうとした理事長が,上手に安倍元首相の権威を利用して土地を破格の値段で手に入れたというところ。その手法や,まんまとそこにつけ込まれた財務局官僚などの行政側に問題があったことは間違いないが,そこと安倍元首相の直接の指示があったとするにはかなりの無理がある。何か都合の悪いことが起きた時に特段問題のない事実にないことないこと付け加えて誰かを貶めて自分を被害者に見せかけて事を有利に運ぼうとするのは、世上よく見られる典型的な行動パターン。安倍元首相がこの件に直接介在する動機もないし,夫人が体よく利用された,というところまでが証拠上認定できる限度だろう。

 

今後の課題:意思形成過程を含めた公文書(メールや電話録音も含める)の保存と,全面的開示を義務づけること並びに保存期間の長期化を図ったらどうか。

 

(2)加計

率直にいって,問題を追及するエビデンス不足。状況証拠としては,元首相の親しい知人が経営する学校法人が特別枠を得ているのだから,なんらかの有利な取り計らいがあったと推測することも不合理では無いが,あまりにエビデンス不足。

 

今後の課題:首相や政務三役の面会記録等々を充実させる(面会した相手,同行者,面談時の会話録音)ことを実現させ,中途半端な疑惑が生じないようすることが課題であることはハッキリしたので,その方向での法整備を進めてはどうだろうか。

 

(3)桜

政治家が公費で支援者を接待する,という点が最大の問題。旧民主党時代も行われていた悪弊。議員が選挙区内の特定の支援者を招待したとういのであれば,有権者に対する寄付行為の公費を使った脱法行為であり,旧民主党時にこれを行った議員らと共に,倫理的にはかなりのグレー。

名簿が廃棄されたのは,違法では無いが証拠隠滅的なグレーな行為であった可能性が高い。しかし、廃棄したというからには実際に廃棄していることはほぼ間違いないだろうから,そこをいくら繰り返しても「念押し質問」にしかならない。

 

今後の課題:まずは,グレーな行為の大本というべき「桜を見る会」自体を廃止した菅首相の決断は英断。そして,名簿廃棄などという証拠隠滅まがいの行為が行われない以上,公文書の長期間保存と全面開示を制度化すること。森友と同じだ。