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東京都への緊急事態宣言は妥当か?

東京都にも緊急事態宣言が発令された。

その点について、23日の厚生労働委員会で尾身会長と議論した。

 

そもそも、社会的距離政策の一種である緊急事態宣言は、国民の自由を制限し、飲食店や商業施設の営業を制限する(≒財産権の侵害)ものであって、できれば選択することを控えるべき政策。いわば奥の手、最後の切り札である。

であるならば、発令は、あらかじめ定められたルールに則って行われるべきだ。

この点、分科会は客観的数字に基づくルールをきちんと定めている。

分科会の資料をここで提示すれば(以下はいずれも厚労省Webより)、

①医療提供体制における支障の具合からステージⅠ〜Ⅳまでを定める。

②そのうちステージⅢを「まん延等防止措置」、ステージⅣを「緊急事態宣言」の対象とする。

③各ステージの指標は次のとおりとする。

私は、東京都の数字にはいつも注目している。今回を除けば、日本での感染の中心であり先駆けはいつも東京都だったからだ。

だから、東京都の新規陽性者が徐々に増加していることは掴んでいたが、重症者数は横ばいか微減(最近微増)だったので、緊急事態宣言の対象とするのは時期尚早だと考え、その旨をSNSなどでも申し上げてきた。

実際、分科会の指標に当てはめてみると、7つある指標のうち、

①2つがⅢ未満

②2つがⅢ

③Ⅳは3つ

という状況。指標において最も重要な医療提供体制はⅢとⅢ未満なので、どうみても医療がひっ迫しているとはいえない(下記表参照)

(東京都・厚労省データを元に青山まさゆき事務所作成)

この点について、変異株の影響などあるのかと尾身会長の見解をただしたところ、尾身会長からは(以下いずれも概要)、

「委員おっしゃるように東京と大阪では様相が違う。大阪では医療ひっ迫。感染者拡大は弱まっているがなぜ出すかといえば医療ひっ迫の期間を少なくするため感染減少のスピードを速める。東京は、ステージⅢとⅣが混在していて文字通りⅣではない。」

と認めた上で

「変異株の問題は当然ある。東京のエピカーブを見ると確実に6週以上上がっている。大阪より人流の下がりが悪い。若い人がかなり多く、これから高齢者に移る。陽性率も上がっている。総合的に判断すると医療のひっ迫が起きる蓋然性が高いので、強い対策、接触の機会を減らすため緊急事態宣言は妥当な判断」

とのお答え。

新規陽性者数の推移からするとわからなくもないが、早めの措置は一方で対象となる小売り・飲食店業者の方が苦しむ時期を早めるということ。

社会的距離政策は薬にも毒にもなる政策。飲食店業者の方からは「もう限界。資金繰りが持たない」との悲鳴が寄せられている。

「緊急事態宣言の期間が短すぎる」とこの日の委員会で尾身会長や首相に大声で詰め寄る立民の議員がおられた。いつも、緊急事態宣言を早く、早くとも大声で問われている。緊急事態宣言の影響を受ける、政治的代表者(巨大な労働組合など)を持たない飲食・小売業者の存在などまるで無視だ。

政治的プレッシャーやマスコミからの圧力は強いが、やはり、社会的距離政策の採用にあたっては基準に沿った科学的判断が尊重されるべき。

その点で今回の東京都への「緊急事態宣言」の適用はやはり疑問視せざるを得ない。