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戦後75年は終わった。新たなる成功を目指すべき時。

8年間の長きに渡った安倍政権に代わり、菅内閣がスタートしている。

 

私は期待を込めてまずは見守っている。今までに語られた菅首相の言葉がまさに今の日本の問題点をよく突いているからだ。

 

総裁選のさなかに語られたのが「自助・共助・公序」。

この順番に異を唱える方もおられたが、この順番であることこそ大事。

 

今の日本が、衰退しつつあることは誰もが感じているところ。その理由の一つに精神の衰退がある。

あまりにいい環境に置かれ続けると、争いは少なく、温和な理想社会が築かれる。ところが、外敵の襲来で厳しい競争環境に置かれると外敵に太刀打ち出来なくなって滅びてしまう、というのが自然の摂理の一つ。

孤島の環境に置かれて独自の進化を続けた動物が、外来生物の侵入でたやすく絶滅してしまう例が見られるのはご承知の通りだ。

 

過去の経済戦争を制したのは「高品質で画一的、そして安価な物作り」。工業製品は容易に模倣可能であり、独創性などなくともどこかの誰かが開発してくれた独創性にあふれた製品をコピーし、それをより安価で高品質で供給することこそ国際競争における勝利条件であった。

そしてこの勝利条件を満たす均質な大量生産のためには、従順で均質な人間が必要であった。

こういう前提にあった二昔前の国際競争においては、日本の「自主性を尊重しない」教育が優位に働いた。

そして、「自主性がない=ワガママや意見を言わない」人たちが生きやすい社会が作られていった。

 

しかし、今や世界は一変してしまっている。ITの進歩によって、物作りを始めとする企業文化は一変した。独創性のある製品、製品でさえないソフトウエア的なシステムが次々と生まれ、単なる模倣や二番煎じの製品を品質勝負で売り込むというビジネスモデルは全く通用しなくなっている。

今や物さえ作らない企業(Facebook、アマゾン)が世界の巨人だ。

 

一方で、日本は「ガラパゴス」と呼ばれるほどの独自の物作り、細かい気配りとやらの進化を進めてきた結果、日本国内でしか通用しない企業がほとんどになってしまった。最後の砦ともいうべき自動車産業すら、トヨタ以外は総崩れの様相だ。

 

ここから日本が巻き返すには、ここに至った原因を探求し、そこから改めるしかない。

そのためには、「自助」の気概を持つ人材を育てるしかない。自分自身の頭でまずは考え、新しいものや仕組みを作り出していける人。それこそが今の日本に根本的に欠けている人材だ。したがって、教育がまず改められなければならないし、社会に蔓延する「管理主義・同調圧力」を排除して「自由・独創」を重んずる自由闊達な社会を作って行かなければならない。

 

そこに、菅首相が就任の最初に語った次の言葉、「縦割り行政、既得権益、前例主義」の打破が呼応してくる。

 

戦後の焼け野原から、何もないもっとも不利益なところから当時の日本人のチャレンジが始まり、わずか20年ほどに世界の表舞台に踊り出た。それから比べれば、今は、衰えつつあるとはいえ、未だ世界第三位の経済大国だ。

公序は確かに大事だが、それは最後のセーフティ・ネット。

今の日本、このセーフティ・ネットは世界最強の経済大国アメリカなどより遙かに整備されている。それについては国民は安心していい。

だから、私たちはしっかりと前を向いて、新しい未来を切り開いて行くことに目を向けるべきなのだ。

 

時はくしくも大乱の時。戦後75年以上に渡って揺るぎなき覇権国であったアメリカに挑む中国というもう一つの覇権国が登場し、覇権国の座をかけて、熾烈な戦いを繰り広げている。

私たち日本も、新しい未来をかけて、新しい国作り、産業作りのスタートを切るべき時だ。