青山まさゆきの今を考える > 新着情報 > 尾身会長の仮説は正しいのか?Part Ⅱ「夜の街や飲食が感染拡大の原因」

尾身会長の仮説は正しいのか?Part Ⅱ「夜の街や飲食が感染拡大の原因」

緊急事態宣言やまん防など日本の社会的距離政策の中心は「飲食店への営業制限」。

そしてその根拠は、尾身会長の理論「夜の街や飲食から感染が社会に拡がっていく」によるもの。しかし、それは本当だろうか?

前回の「若者が感染拡大の原因」?に引き続くPart Ⅱです。

 

そもそも、新規感染者の発生源として、飲食店は実は主要なものではない。少なくとも主要なものとするにつき何の根拠もないのだ。

 

とてつもなく情けないことに、厚労省は、クラスター別の発生件数やそれによる陽性者数を掴んでいない。長妻議員や私の問い合わせにも、報道ベースでの発生件数しか答えられていない。

その理由は、厚労省が自治体からの報告に頼り切り、任せきりなので、自治体がそのデータを掴んでいなければ厚労省もわからない。そんな状態がもう1年以上も続いているからだ。

そして、肝心の自治体はそのデータを把握していない。

東京都でさえ、

「東京都ではクラスターについての統計はとっていない。施設などでまとまった人数の感染が確認されたときにはマスコミ発表の際にクラスター発生ということは伝えるがそれをデータとしてまとめてはいない」

のだ(東京都福祉保健局 感染症対策部 回答)

 

例外として、情報公開が徹底している大阪府は詳細なデータを公表しているが、それによればクラスター別の発生件数において飲食店は小口の発生源に過ぎない。

ではなぜ尾身会長は飲食店主犯説に立っているのか?

 

尾身会長の提唱する「夜の町や飲食が感染拡大の原因」という説の根拠は、実は極めて怪しいもの。以下が令和2年12月23日新型コロナウイルス感染症対策分科会で発表された「現在直面する3つの課題」の中にある根拠というグラフ。

(厚労省Webより引用)

 

輸入された株が、夜の街→飲食→家庭内感染→院内感染と赤矢印のように若干のタイムラグを伴って拡がっていくことを示しているという。

 

しかし、この線は極めて恣意的な引かれ方をしている。普通に線を引くのであれば、以下の青矢印のようになるのでは?

(厚労省Web掲載のグラフに青山まさゆき事務所が青矢印を追加)

 

どう見ても7月の山において少し「夜の町」の初発が早い以外はあまり夜の町が先行しているという関係は見えてこない。

 

では、尾身会長ともあろう方がなぜこんな無理筋というか薄弱な根拠で「夜の街主犯(先駆け?)説」を打ち立てられているのだろう?

 

それは、「飛沫感染が主要な感染様式である」との考え方に固執しているため、

「マスクをしていれば感染はおきない」→「マスクを外すのは会食の場だけ」

という演繹的思考をされているからではないだろうか。

 

だが、マスクでしっかり防御されていた医療者が感染する例が初期には相次いでいたことからも明らかなとおり、マスクをしていても感染は伝播する。

最近、世界で最も権威ある医学雑誌の一つであるLANCETに掲載された記事「Ten scientific reasons in support of airborne transmission of SARS-CoV-2」によれば、エアロゾルによる空中経路感染を起こしている10の証拠があるとのこと。

であるならば、飲食店でマスクを外して会食するよりも多く、換気の悪い会社などで呼気に伴いマスクから盛大に漏れ出しているエアロゾルに長時間触れていることにより感染拡大が起きていると考えるのが普通ではないだろうか。

それこそが尾身会長が最近盛んに厚労委員会で口にされる「見落としている感染ルート」だろう。

 

以上によれば、まず取るべき手段は、2大感染源であることにつき確たる根拠(エビデンス)がある高齢者施設と医療機関に感染拡大防止策を徹底させることだ。

繰り返し述べているが、3日に1度、従事者へのPCR検査または抗原検査をすれば「流入ルート」が絶たれる。

そして、医療ひっ迫をもたらしている重症者の大半は高齢者。

(東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より引用)

 

よって、この対策を取れば医療システムをひっ迫させる「重症者」の発生が激減するので緊急事態宣言などの社会的距離政策を取る必要は無くなるだろう。

 

それでも、どうしても緊急事態宣言を取るというのであれば、飲食店や百貨店ばかりを締め付けてもあまり意味がない。換気が不十分な室内に長時間止まることを防止しなくては感染拡大は防げないからだ。

したがって、本気で感染拡大を防止するというのであれば、まず、会社・事業所への出社・出所を禁ずるべきだろう。

宴会を端に発したとされている厚労省内のクラスター、あまり報道されていないが実はその後厚労省内で感染は拡大している。感染者がいれば、マスクをしていても感染は拡がっていくのだ。

 

だが、そもそも今の日本に緊急事態宣言などの社会的距離政策が本当に必要なのだろうか?

指摘しておかなければならないのは、日本の感染者発生レベルは世界的には極めて低く、第4波の最中にある現在においてですら、ワクチン接種が相当行き渡ったイギリス、イスラエルと遜色はなく、医療体制さえ整備されればそもそも緊急事態宣言など必要がないということ。

(札幌医大 フロンティア研 ゲノム医科学Webより引用)

 

尾身会長の分科会が主導する今の政策は根拠自体が危うく、その効果も疑問視される。メディアや左翼系野党は煽ることを止め、また、国民一人々も自分の目で事実を確かめ、落ち着きを取り戻すことが必要だろう。そうしなければ、新型コロナによる被害よりも、不要な対策などによる副次的被害の方が遙かに大きくなって行くだろう。本来やるべき対策に目を向けるべきだ。