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国債からみた日本の財政

国債からみた日本の財政。やはり大きな問題が見えてきます。引き返せないところまで来ているのかいないのか。最新のところでその数字をまとめてみました。

1.国債:

財務省発表の平成31年度3月末の国債残高見込  994兆7978億円

日銀資金循環統計 2018年12月末(速報) 1013兆0990億円

 平成31年度3月末の見込額である財務省の発表(発行ベースと思われる)と、平成30年12月末の各保有主体別に個別に積み上げた日銀の数値(保有機関の保有残高の合計)が若干違っていますが、いずれにしろ国債残高は概ね1000兆円に達しています。

 保有者別の内訳は下記グラフのとおりです。

出典:財務省 平成31年度国債発行計画について

 日銀以外の銀行や生損保、年金、家計(個人)、海外投資家などは合計505兆円ほど国債を保有しています。仮に国債価格が暴落しても、会計上、日銀は簿価(買入価格)で評価するのでバランスシートは痛みませんが、それ以外の505兆円の保有者は相当の痛手を被ることになるでしょう。

2.平成31年度予算における国債発行予定額

一般会計分:建設国債・4条公債新規発行額 32兆6605億円

特別会計分:復興債 9284億円

財投債 12兆円

借換債 103兆1404億円

国債発行総額    148兆7293億円 

 予算案の一般会計だけ見ていると、国債は32.6兆円しか発行されていないように見えますが、借換債を含むと148.7兆円もの国債が今年度も発行される予定です。日銀の国債買い入れが最近40兆円未満程度(保有残高の推移からの推計)であることからすれば借換債の多くは日銀以外の主体(ほとんどは金融機関)が引き受けているのでしょう。

3.予算のうち、国債償還のために固定化されてしまっている経費

  債務償還費(元本償還分) 14兆6580億円

  利払費等          8兆8502億円 

  国債費計         23兆5082億円

 国債は(復興債などの一部例外あり)、60年償還ルールにより、毎年1.6%ずつ償還費が積まれ(1.6だと60年で96%にしかならないので正確には62年ルール?)、それが特別会計の国債整理基金に流れてそこで少しずつ償還されていきます。換言すればその年の残高の98.4%は据え置かれ、期限の到来したほとんどの国債は借換債によってジャンプされているのです。 

 それでも、新規国債が発行されなければ60年で国債残高はなくなるはずですが、今年度予算でも新規国債発行額は32兆6605億円。償還したのは14兆ですから、18兆円逆に増えているのです。

 このことから導かれる問題は、以下の2つです。

 ① 将来の予算を少なくとも60年に渡って、毎年23兆円以上拘束してしまうこと。

 ② 国債残高は増え続けていくであろうこと。

 ①について少し付言すれば、債務償還費は、現状ベースで14兆6580億円が固定されています。これに、毎年発行される新規国債の1.6%が加算されていく訳です。国債が32兆円新たに発行されれば債務償還費はこれに5120億円加算されることになります。

 また、金利はご承知のとおり現状ではとても低い。1000兆円を残高とすれば、この利払いが8.8兆円しかないのですから、金利は0.88%ということになります。これ以上の低金利はあまり考えられないことと、元金にあたる国債残高が漸増していくことを考えれば、本年度予算に計上されている8.8兆円程度は今後も利払費としてかかっていくでしょう。

 ②についても補足します。将来、仮にプライマリーバランスが均衡したとしても、利払い費分はプライマリーバランスの外なので、その分(今年度の例では8.8兆円)新規国債はやはり増えていくのです。下図は、財務省の予想グラフ。内閣府の作成した大甘の「成長実現ケース」によるものです。

出典:財務省 平成31年度国債発行計画について

4.まとめ

 将来に渡って、国債残高は順調に!増加していくでしょう。危機や破綻といわれるものは、ある日急に訪れるものです。それは国債破綻か、インフレか、それとも予想もつかない別の形でかはわかりませんが。これをいうと、「いつになったら起こるんだ?」と批判する方が必ずおられますが、福島第一原発の事故前に、著名なお笑い芸人が原発反対派を嘲笑していたことが思い起こされます(もちろん、安倍総理の例の発言も)。

 財政均衡や財源のことはすっかり頭から離れた政治家の言動が相変わらず目立つ昨今ですし、財務省の陰謀論が大好きな方もおられます。しかし、厳然と積みあがった事実も一方であるのです。野党支持者の方の多くは、「安全寄り」に考えて地球温暖化論では、CO2削減に積極的な方が多いと思われます。原発問題も同じでしょう。

 私は、日本の財政についても、「安全寄り」に考え、未来への負担削減を提唱していきます。皆さんにも一緒にこの問題について考えていただければ幸いです。