青山まさゆきの今を考える > 新着情報 > 加藤厚労大臣の許しがたい無責任答弁

加藤厚労大臣の許しがたい無責任答弁

国民の多くが不安に思っているのは、新型コロナウイルスの感染か?と気になる症状が出てもなかなか医療機関を受診できないこと。

 

 この問題について4月29日の参院予算委員会で加藤厚労大臣がきわめて無責任な答弁を行った。蓮舫議員のPCR検査に絡めての質問に対するものだ。以下まずはやり取りを紹介する(以下敬称略)。

 

蓮舫

〜都内の単身赴任用の社員寮で急死。発熱後も保健所に電話がつながらなかった。検査を受けられたのは発熱から6日後。そして検査結果が出たのは亡くなった後だっていう報道があるんです。今の検査体制だと、救えない命あるじゃないですか。

著名な芸能人も自宅待機の間に重症化して、病院に行って亡くなるとか、〜

熱が37.5度以上4日以上続く、呼吸困難、強いだるさ。もうどんどん症例は変わってきてるんだから、総理、この検査を受ける要件、緩和してください。

加藤

これは別に検査を受ける要件ではなくて、受診の診療の目安ということでありまして、これについては37.5度を4日、というのは要するに、そこ以上を超えるんだったら必ず受診をしていただきたい、そういうことで出させていただきました。〜

蓮舫

誤解をしたのは保健所とか国民が悪いんですか?政府がずっと説明してきたじゃないですか。〜だから電話相談したら、あなたは典型例には合わない、まだもっと家にいてくれ。その症状だとこの外来につなげませんと断られているんですよ。誤解じゃないでしょう。〜

加藤

ですからそこはそうした、異なるというか一律な対応をするということに対しては、そこは弾力的に対応していただきたい。それから倦怠感があれば、37.5度の熱が4日間続こうが、続かなくてもそれはすぐかかっていただきたい。あるいはそういう対応があれば、まずかかっていただきたい。連絡をとっていただきたい。そして相談支援センターにおいては、そうした連絡があれば外来のほうにつなげていただく。〜

 

 皆さんはこの答弁を聞いてどのような感想を持たれるであろうか。

 私は正直怒りがこみ上げた。今の政府の最大の欠点である、責任回避のためにその場しのぎの答弁を行うという悪癖がここでも露呈したからである。しかも、国民の命が損なわれているというのに。

 コロナ感染が疑われる症状が出た方がどれほど医療機関に繋がることが大変なのか、現実に経験された方や知人・友人からお聞きになったことがある方も多いだろう。熱があろうが咳が出ようが、帰国者・濃厚接触者外来やPCR検査に繋がれることはまずない。そして、自宅で症状が悪化するまで待機を指示され、病院・医院には絶対行かないでくださいね、と念押しされる。それが医師の資格を持つわけでもない保健所職員の対応だ。

 今までは、

 

軽症(とにかく自宅待機)→肺炎を疑われる症状(重症化)→入院・酸素投与or人工呼吸and PCR

 

という流れであり、どのみち重症化するまでは治療方法もないこと、そして、医療機関のキャパオーバーや無防備な外来での二次感染の広がりを防ぐためにはひたすら自宅待機もやむを得ないという、現実的な要請に伴う非常措置が、政府の打ち出した「とにかく自宅待機」政策であった。

 しかし、これは感染が疑われる国民に無理を強いる非人道的な非常措置であったことは間違いない。そしてこの非常措置により、現に救えたかもしれない国民の命が複数犠牲になっている。

 

 その事態について問われた今回の厚労大臣の答弁が「受診の診療の目安ということでありまして」「37.5度を4日、というのは要するに、そこ以上を超えるんだったら必ず受診をしていただきたい」とだったのだ。

 

 これでは亡くなられた方がうかばれない。私は政府が当初とっていた対応策が間違いであったというつもりはない。感染症外来が整備されておらず、重症者用病棟、感染者用病棟のいずれも不足している日本の医療の現状を前提にすれば緊急対応策としてはやむを得なかったものであったと考えている。

 しかし、だ。その犠牲になった方に対して、「あなたたちの勘違いだった。さっさと病院に行ってくれればよかったのに。政府はそう勧めて来ましたよ。」といわんばかりのあの答弁はさすがにないだろう。

 

 おそらくは訴訟までも意識した官僚作成の原稿をそのまま読んだのだろうが、大臣としてあまりに情けない。国民の苦労や犠牲に報いようという気持ちが微塵も感じられない。

 なすべきであったのは、国民に対して我慢を強いたことを詫びること、亡くなられた方に「医療システム維持」という優先課題の犠牲にしてしまったことを謝罪することであった。

 

 今回のコロナウイルスパンデミックに関する総理と並ぶ責任者の加藤厚労大臣は、今までできる限りのことをされていたと評価していたが、今回の答弁は、それまでの努力をすべてかき消すほどの残念なものであった。

 今後は、亡くなられた方々へのせめてもの罪滅ぼしとして、急変による死者を一人も出さないというくらいの強い意気込みで、軽症者から遠慮なく受診できる体制の整備に力を注いでもらいたい。先に「血栓に注目!軽症者から治療を。そのために医療体制をコロナ・シフトに」で提言させたいただいたが、再掲させていただく。

 

・コロナを疑わせる症状のある患者専用の感染症外来を各都道府県に最低1つ、大都市では複数に設ける。

・上記専門外来だけで賄えない需要を満たすため、コロナ専門オンライン診療施設を早急に拡充し、国がシステム導入のノウハウや費用を支援する。

・オンライン診療と、東京で医師会が設置したような「PCRセンター」や、「血液検査センター」、「CTセンター」を設け、二次感染防止と早期診断・治療を両立させる。

・PCR検査には偽陰性の問題もあるため、PCR検査を経ない疑い診断(味覚・嗅覚障害、コロナのつま先、発熱や咳などの症状を組み合わせた臨床判断)でのパルス・オキシメーターの装着(指先に小さい機械を挟むだけ)や、抗血栓薬の予防処方を行う

 

 加藤厚労大臣の答弁は、責任逃れのための口先だけの机上の空論のようなもの。答弁内容を現実的なものとするためには、上記の整備が必要だ。

 コロナ感染の症状が現れた国民が本当に気兼ねなく受診できるようにするのが政治の責任だろう。