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ワクチン接種時に絶対必要なアナフィラキシーショックに対する対応

気になる新型コロナウイルスワクチンの有害事象について。

現在明らかになっているのはアナフィラキシー。アナフィラキシーとは薬剤、食品、蜂毒などが体内に入ることによって、全身にアレルギー症状が表れ、過敏な反応が出ること。その中でも血圧低下や意識レベルの低下、浮腫による気道閉塞など命に関わる重症の場合をアナフィラキシーショックと呼ぶ。

 

まずファイザー社製。CDC所属者による論文が発表されている。アナフィラキシー発現頻度は100万回投与当たり11.1例で、約7割は接種後15分以内に発現とのこと。

100万回あたり11例は通常のワクチンよりかなり多いのは事実。発症者は既往症にアレルギーある方が多いが、薬剤だけでなく食物アレルギーがあった方でも起きている。

また、アメリカではファイザーに続きモデルナ製のワクチン投与が始まっており、これについてもアナフィラキシーショックの報告がCDCよりなされている。

 

結果をMedical Tribuneの記事を引用して紹介すると、 「アナフィラキシー発現頻度は100万回投与当たり2.5例であった。 アナフィラキシー発現例の半数が過去にアナフィラキシーを経験。 アナフィラキシー発現症例の年齢中央値は47歳(範囲31〜63歳)であった。ワクチン接種からアナフィラキシー症状発現までの時間の中央値は7.5分(範囲1〜45分)で、9例が15分以内、1例は45分後に発症した。  10例全例に緊急治療としてエピネフリンが筋注投与され、集中治療室に入室した5例(4例は気管内挿管を要した)を含む6例が入院し、4例は救急科で治療された。」 

これらの報告を紹介する理由は、どのようなワクチンや薬剤でも起こりうるアナフィラキシーだが、手当が即座になされないと気道閉塞で死に至ることがあるので、要注意だからだ。死亡事故が起きればワクチン接種事業にも影響が出ることは言うまでもない。

かつてない大規模なオペレーションともなるため、接種主体となる自治体に十分な備えと警戒心が必要だ。

 

病院外の体育館などでの集団接種を行うのであれば、接種後の待機時間を十分に取る、即座に特効薬であるエピネフリン(アドレナリン)を打てるようシミュレーションしておくなどしてもらいたい。

現在、政府は待機時間が30分程度を想定しているようだが、上記表のとおり45分での出現もあるため、時間をどうするかは今後の例も含めてじっくりと検討されたいところ。

そしてエピネフィリンの即時注射は当然として、その後挿管、ICU管理となった例も4例あることから、その手順もシミュレートしておくことも大事だ。 

 

アメリカではファイザー、モデルナ製ワクチン共に今のところアナフィラキシーによる死亡は防げているようだが、いずれの報告でも年齢層は高齢者ではない。その年代のコロナでの致死率は日本では極めて低いので、ワクチンを打ったから死亡してしまったなどという悲劇が起きないよう、一人もアナフィラキシー死を出さないという意気込みで取り組んで欲しいところだ。

 

 そして、両社製共にアナフィラキシーの既往がある方に起きる例が比較的に多いので、ワクチン接種を希望される側も、アレルギー反応の既往のある方は特によくリスクを知って、ご自身の年齢や持病などを含めてリスク&ベネフィットを勘案された上でお決めになるのが必須だろう。

 

 

なお、若干本筋とは逸れるが、ヨーロッパではアストラゼネカ製のワクチンを巡ってEUに揉め事が広がっている。一方でブレグジットしているイギリスは、優先権を得て違う立場を取っている。こういった情報は国内メディアではほとんど報じられていない。

アメリカもイギリスもドイツも(そして実は日本も)新規陽性者が急減する中、なかなか生臭い話になってきたようだ。