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ゲームチェンジャーの可能性。大規模疫学調査をなすべきだ。

今,フランスやイギリスでは新規陽性者数が急増し,規制強化が図られている(日経)。

 

一方で,日本は第2波か,と盛んに喧伝された7月の東京における感染者増も,死者や重症者の拡大はあまり見られず,落ち着いた状況が続いている。

 

その理由については諸説あるが,今のところは「日本のマジック」。

ただ,よく比較されるのは日本と同じく緩やかな制限に止めたスウェーデン。一時は政策の失敗も取り沙汰されたが,感染者数,死者数共に低いレベルが続いており,集団免疫達成とも言われている。

 

感染者数や死者数が落ち着いていることは喜ばしいことではあるが,その原因がよくわからないので,相変わらずマスクの着用について強制に近い同調圧力が働いており,熱中症は増える,飛行機から降ろされる乗客は出るなど,あまり芳しくない状況も見られている。

さらに嘆かわしいのは,大人達はGoToキャンペーンでお金までもらって旅行に出かけるのに,子どもたちの修学旅行は中止される例が相次いでいること。

そして,経済は先の四半期GDPがマイナス28.1%となり,倒産や閉鎖に追い込まれる企業や商店は増加している。

 

そんなところ,少し驚くような論文が出された。査読前のプレプリントではあるが,東京のある企業のボランティア615人が参加した抗体検査で,8月末頃の検査者のなんと50%近くに抗体が確認されたというのだ。

検査対象者は,テストの時点で熱、咳または息切れがある参加者は、除外されているので,無症状の方。ここから演繹すると,「東京都会に住む住民(1400万)の中の40%の感染率と仮定して、感染症死亡率(IFR)は、この期間中、潜在的に0.0006%」(機械翻訳)となるという。

査読前のプレ・プリント論文ではあるが,ゲーム・チェンジャーとなりうる可能性を秘めた論文だ。

 

今後,同様の試験は別の医療機関でも行われるであろうし,この論文の試験の正確さなどの評価は今後を待つしか無いが,それでも,先に述べた新型コロナウイルスが国民に与えている不利益を考えれば,無視することはできない極めて重要な結果である可能性を秘めている。

厚労省は,座して待つのではなく,積極的にマジックを解明すべき。最も簡単で結果も早いのが大規模疫学調査。追試に乗り出すべきだ。

 

その結果によっては,新型コロナウイルス対策も大きく変わる。

この論文と同様の結論が得られたならば,対策を根本的に変える-マスクやら何やらの制限は最小限にして,重症者用医療施設の整備や介護施設・療養型病院などの感染防止対策に絞ることも可能だろう。