青山まさゆきの今を考える > 新着情報 > まるでイエローペーパー。求む,まともな医療記事。

まるでイエローペーパー。求む,まともな医療記事。

新型コロナウイルス関連の話題で煽って,楽して視聴率を稼ごう,読者興味を惹こう,というマスコミの姿勢がいつまで経っても改まらない。

今日も取り分け酷い記事がネットニュースで大きく紹介されている(MSN)。

 

「コロナ後遺症なしはわずか13%」

 

これだけみれば,普通の方は「へーこわい!」とか「やっぱりコロナはかかるもんじゃない」と考えるだろう。そして,見出しだけでスルーするのが結構一般的。

 

どうせ,中身は適当ないいとこ取りのつまみ食い記事だろうと思ってクリックしてみれば案の定。

この数字は,ローマにあるたった一つの病院のフォローアップ外来を「受診した」元感染者における数字。そもそも何も症状なければわざわざ受診していないだろうから,この数字に統計的な意味はない。

その後も,中国やフランスの医師からも退院後に息苦しいという症状が残ったという中身まったく不明な話を続け,「新型コロナウイルスの長期的な影響についてはまだわからない」と書きながら「重症急性呼吸器症候群(SARS)では、発症から半年以上経っても、後遺症に悩まされている人が一定程度いた」とか関係ない話やら一般的な解説を織り交ぜて,最後はICU治療を受けた高齢者の「せん妄」で締めくくっている。

 

読者を怖がらせるためだけに適当な話を羅列したというだけのほとんど無価値な記事であった。

 

書いたのはコロナ恐怖が続かないと飯の種がなくなるフリーランスのライターかと思いきや,検索すると朝日新聞のれっきとした科学医療部記者とのことで余計に呆れた。

この記事自体はAERAの記事で,朝日新聞本体のものではないが,朝日新聞の科学記事が劣化しているのは動かしがたい事実。

4月にも,朝日新聞は,布マスクのときもひどい記事を掲載していた(「朝日新聞のフェイクニュース」)。

こんな安直な記事ばかりになると,時々の世論に迎合するしか出来なくなって,75年前と同じく,日本をどん底にたたき落とすことに大いに手を貸すことになるだろう。そこまで振りかぶらなくても,何より読んでもつまらない。

 

50年来の愛読者で,特にその科学記事にいつも惹かれていた一読者としても是非お願いしたい。もう少し公正で客観的な記事を掲載して欲しいし,煽動的なタイトルで人を吊ろうとするイエローペーパーまがいのやり方は止めてもらいたい。そして,読んでなるほど,と唸るような優れた科学記事・医療記事を作れる人材を育てていただきたい。