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なぜ消費税10%にすべきと考えるのか。

私は,SNSなどに寄せられたコメントについて,議論させていただくことがよくある。それは,議論を通じて,お互いの知見が高まり,自分にとっても勉強になり,相手の方にとっても違う見方を知って頂けるからだ。先の「消費税反対で本当にいいのか?」について寄せられたご意見について交わさせていただいた議論における私の説明を,皆さんにも知って頂きたく,加筆した上でご紹介させていただく。
 
 ご承知のとおり,今回の消費増税は,安倍政権が決めたものではない。2012年の民主党政権時に、社会保障の将来的な維持のために,時の野田総理が3党合意(民主・自民・公明)をして決められたこと。ただし,本当なら2015年までに10%に上げることは決められていたのだが。増税の決断は選挙を常に意識せざるを得ない政権与党にとっては,大変なこと。このときの野田総理の英断はまさにポピュリズムとは対極にあったものといえよう。
 
なぜ,この消費税増税の道筋が定められたのか。それは,「社会保障の安定財源の確保」にあった。
皆さんは,日本の財政収支がなぜ悪化しているのかその原因をご存知だろうか?まさに社会保障費の増大が続いているからだ。平成15年に82兆円だった国家予算、本年度予算は101兆円なので21兆円増えている。1.23倍だ。
問題はその歳出増の要因。実は,伸びている費目は2つしかない。平成15年予算の社会保障費は19兆円。これに対して本年度予算では34兆円。つまり,15年間で15兆円も増大し,その伸びは1.8倍。
残る費目のうち伸びているのは国債関係費が17兆円→24兆円で,7兆円増の1.4倍。
2つの費目合計で22兆円増なので,予算が21兆円増えた要因はこの2つに尽きるといっていい。他の費目は平成15年当時に比べほぼマイナス。防衛費でさえ5兆→5.2兆と微増しただけなのだ。
 
本来予算の膨張に対処するためには,各種の税を相応に上げるべきであったろうが,それを行わず安易な国債頼みを続けてきたため,国債残高がそのとき500兆円未満であったのが倍増して約1000兆円になり、当然ながら利払い費が先に示したとおり増大してしまっている。
そして,社会保障費の伸びも人口減少というより高齢者層の人数的拡大により,この先も続いていく。例えば,75歳以上の1人当たり医療費は年間91万円。15~44歳では12万円なので,7倍以上。
団塊の世代のピークが75歳以上に突入するのは5年後である。
 
人口構成のバランスが崩れ,極端に高齢者層が厚くなり続けるその負担に社会保障制度が悲鳴をあげ、国家財政が悲鳴をあげているのだ。
日本の社会保障制度は、アメリカとは比べものにならないほど良好であるし、ヨーロッパと比べてもそんなに劣るものではない。完全無料ではないものの,高額医療費助成制度があるのでたとえ数千万円医療費がかかっても,自己負担は月に数万円。
一方で消費税率は、ヨーロッパの平均20%(デンマークなどは25%)の半分以下,国民負担率もやはりその分少ないのだから、よりお金のかかる高齢者の数が圧倒的に増えて来ている現在、このままでは維持できるはずもない。
 
もちろん,所得税,法人税の見直しや,財政支出面についても防衛費など色々と見直しをしなければならない。
ただし,それをやってからでなければ消費税上げをすべきでない,ということにはならない。両方が必要と考えるべきだろう。
政治家も政党も国民も,現実を直視すべきである。