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この状況で五輪無観客は世界の笑いもの

政府の分科会尾身会長ら有志が提言をまとめ、「無観客開催が最も感染拡大リスクが少なく望ましい」としたうえで、観客を入れるのであれば、現行の大規模イベントの開催基準より厳しい基準を採用することなどを政府や大会の主催者に求めています。」とのこと(NHK)。

そのピントのズレ方に驚くと共に、日本の専門家たちは世界的な状況をどう把握しているのか、そのガラパゴス具合に暗澹たる気持ちとなった。

 

そう思うのはなぜかを解説しよう。

ワクチン完全接種率は未だ6.4%と遅れを取る日本だが、感染者レベルは世界でも群を抜いて少ない状況が続いている。

 

日本ほどではないが、日本と同様に新規陽性者数が減少してきているのがアメリカとフランス。

アメリカはワクチン完全接種率は足踏みの44%だが新規陽性者数は減少が続き、5月には、全米プロゴルフで大観衆がマスクもせずにフィル・ミケルソンを取り囲んで復活優勝をグリーン脇で見守り、ウイニングパットで大歓声。インディ500には14万人が集い、今日はメジャーリーグが観客入場制限を解除し、3万人の観衆が大谷の3勝目を祝った。

 

フランスでは、完全接種率22%だが、陽性者数がやはり減少、屋外マスク義務を解除したので、人々が明るい顔で通りを行き交っていた。

 

また、完全接種率27%のデンマークでは、サッカーのユーロ2020が行われ、大観衆がエリクセンの回復を祈ってスタジアムで拍手を捧げた(SOCCERKING)。

 

つまり、ワクチン接種が進んでいようといまいと、巷間言われる集団免疫獲得率に遠く及ばない状況で、感染者数が減少している国は、正常化に向けて突き進んでいるのだ。

 

こういうと、「変異株、特にデルタ株が脅威」「イギリスは?」と言いたくなる方もいるだろう。

世界で最初に接種が始まったイギリス、その後意外と数字は伸びず、未だ完全接種率は46%。そして、一時かなり下火になった陽性者数がこのところ増えて来ているのはたしか。そしてそれは「デルタ株(旧名称インド株)」の感染力によるものだという。だが、それは果たしてイギリスにとって脅威となっているのか?

下のグラフをご覧いただきたい。

陽性者数はたしかに増えているが、死亡者数は全然増えていない。

そして、極めて興味深い研究結果が日経で報じられた。

 

「英国の研究で、同国で感染者が増加している新型コロナウイルスのインド型(デルタ株)の患者が、「頭痛」「鼻水」「喉の痛み」など従来のコロナより一般の風邪に似た症状を多く経験していることが分かった。「長く続くせき」「嗅覚や味覚の異常」など、従来コロナに特徴的だった症状は報告が減っているという。」

 

この研究が正確なものであれば、スペイン風邪や新型インフルエンザで見られたように、ウイルスが変異と共に感染力は増すが軽症化し、普通のものになっていく、という歓迎すべき変化が訪れている可能性もあるのだ(もちろん、高齢者層へのワクチン接種の賜物という可能性もあり、現時点で断言できるものではない)。

 

いずれにしろ、感染者数の正常化と共に、スポーツイベントも対策も徐々に正常化していくというのが世界の潮流であることは間違いない。

今まで世界でも最も感染レベルが低かったが、欧米のやり方に倣って緊急事態宣言や飲食店の時短・休業などの負担を国民や業界に求め続けた日本。

今度は世界が日本並みの感染レベルに近づき、屋外でのマスク着用義務化解除や大観衆を集めてのスポーツイベントを解禁しているのだから、日本も世界に足並みを揃え、社会生活を正常化する道を歩むのは当然。

 

そして、世界的なイベントであるオリンピックは、有観客で、そして日本の感染状況に照らせば入場制限は出来る限り行わずに行うべきだ。

根拠無き感染者数・重症者数試算を繰り返す専門家集団に引きずられ、意味のあまり感じられない観客入場制限を行ったりしたらー特に無観客にしたりしたら、日本はその判断力の無さについて、世界から嘲笑されてしまうだろう。