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がんの自由診療に潜む問題。がん患者が金儲け医療の犠牲になっていないか。

誰しもがんの告知を受ければ動揺する。それが、自身のことであろうと、最愛の家族であろうと。

昔からそこにつけこむ悪質な商法があった。ひと昔前であれば、いわゆる代替療法(健康食品・サプリメント)であったが、警察による薬事法違反(誇大広告)の摘発もあり、一時よりはなりを潜めた感がある。

そんな中、最近私が警戒しているのが、特定の開業医による様々な自由診療だ。我が国においては、各種臨床試験などを経て効果が確認された治療法は、保険適用がなされ、高額療養費制度もあるため、患者は、一般的には許容範囲と考えられる自己負担額でもって治療を受けることができる。

ただし、医療は、保険診療がすべてではない。大学病院などで日々取り組まれている研究段階の医療(臨床試験、治験など)や、法律によって認められていて一部保険給付がされる先進医療などがあり、このような治療は保険適用がある治療よりも患者の負担額は高額となる。これらは、先端的医療技術や新薬の研究開発を進めるためにやむを得ないものであり、医学の発展を促すものであってやがては国民の利益となる。

私が問題視しているのは、これと異なり、WEB上の広告や記事などで盛んに喧伝されている、効果が不確かながん治療に対する自由診療だ。(それに加えて、最近は輸入医薬品(話題の抗がん剤オプシーボなど)を使った問題の多い治療があることも医師の方が報告されている。)その費用は一回あたり数十万円、総計数百万円に及ぶことが多いようだ。生命にかかわることが一般的ながんという疾患の場合、人は告知を受けた瞬間から治療のための情報を探し始める。ネットには情報が溢れているからだ。

そこにつけこむような医療が行われても、高額の治療費を提示されても、自身や家族の「命」が懸かっているとなれば、人は預金をはたいてもそれにすがってしまうのである。これは、絵空事ではなく、弁護士として実際に受任している事件を通して知った残念な事実だ。

また、健康食品などと違って、例えいかがわしいものであっても、医師が行うものであると捜査機関は摘発しにくい。医療過誤バッシングにより医療関係事件は事実上刑事司法にとっての「聖域」となり、アンタッチャブルな領域となっているからだ。

 

ただ、この現状が放置されてよいはずもない。このような問題があること自体、あまり知られていないが、良識のある医師の方々はすでに眉をひそめている。日本医師会、あるいは厚労省などが一定の指針をまとめ、広く国民に告知することが望ましい。