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「自宅での安静・療養を原則」はもうやめよう。

加藤厚労大臣は、(要約すれば)37.5℃以上4日間は受診の目安に過ぎないので具合悪ければさっさと受診すればよかった、という「今更何を言ってるの?」というような答弁をしたが(「加藤厚労大臣の許しがたい無責任答弁」)、5月4日に改訂された政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」においても、いつでも受診できるような医療機関の整備はおろそかだ。

 

 特定都道府県に限っては、診療ではなく「集中的に検査を実施する機関(地域外来・検査センター)の設置」を呼びかけ、 さらに患者が増加した場合に限って、(なぜか厚労省に相談の上)「一般の医療機関での外来診療を行うこと」とされている。

 しかし、この診療には「感染への不安から安易に医療機関を受診する ことでかえって感染するリスクを高める可能性があることも踏まえ、 症状が軽度である場合は、自宅での安静・療養を原則とし、肺炎が疑われるような強いだるさや息苦しさがあるなど状態が変化した場合は、すぐにでもかかりつけ医等に相談した上で、受診するよう周知すること」との留保がつけられているのだ。

  結局、「自宅での安静・療養」が原則」で、今までと何も変わっていない。

大臣の答弁は何だったのか?

 

 そもそも今回のコロナ感染による重篤な症状が「肺炎」のみによってもたらされる、という古い考え方にいつまでしがみついているつもりなのだろうか。

病態として、血栓の生成が促進され、脳梗塞などの合併症で若者であっても急速な転機をたどることがあることは既にアメリカからの報告で判明しているところ。中国からも入院時のDダイマー(血液検査において血栓症の判定に用いられるマーカー)が転機予測に有用であるとの報告が寄せられている。

 また、日本でも症状のある自宅待機者が急速に病状が悪化し、死亡に至ったという報告が何例も出た。

 

 つまり、「自宅での安静・療養を原則」は、「軽症例には医療としてやることが何もない」という古い知見に基づいた誤った考え方になっているのだ。

 何もそういった患者にPCR検査を必ず行わなくてはならない、といっているのではない。新しい知見などに基づけば、疑いのある症例は、軽症例であっても早めにパルス・オキシメーター(血中の酸素飽和度をモニタリングすることで肺機能の悪化をリアルタイムで把握できる上に価格も一個数千円程度)での自己管理の指導や、血液検査を行って必要がある場合は予防的に抗血栓薬を処方する、あるいはCT検査(CTのハードはPCR検査機器と違ってどこにでもあるし時間もかからない。感染予防も工夫次第)を行うなど、軽症例であっても行うべき医療行為が幾つもある。

数日おきに再検査すれば「急激な悪化」による死亡も避けられるだろう。

 

  基本方針には明記されなかったが、「軽症例に対する外来診療体制の整備」こそが今必要なことであるし(重症例については明記されている)、大臣の答弁に合致するところとなろう。