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穴の空いたバケツに数十億円の税金を注ぎ込む広島県の愚行

広島県が壮大な無駄遣いを始めるようだ。報道によれば、

 

「広島県は2月7日まで延長した新型コロナウイルスの集中対策の一環で、広島市8区のうち中心部の4区(中区、東区、南区、西区)の全住民や就業者を対象に無料のPCR検査を実施する。検査は任意で、対象は最大で80万人程度とみられる。自治体が広域で大規模PCR検査を行うのは全国でも珍しい。県は無症状の感染者を早期に発見し、市中感染の拡大を封じ込める狙い」(日経

 

とのこと。ここで少し考えてみてほしい。

PCR検査とは、検体(唾や、鼻の奥から取った体液)を採取した「その瞬間」に体内に新型コロナウイルスが存在しているかどうかを確認する、というだけのもの。

検査の帰り路、あるいはその後の夕食で感染してもそれを把握することはできない。その方がその後接触する人が陰性ばかりならいいが、その後陽性の方と接触しては全くの無意味なのだ。

 

だから、もし感染拡大防止のためにやるのなら、やる地域全体を封鎖し、個人も住居から動くことを禁止して、短期間で一斉に行う必要がある。それをやっているのが中国。

つい最近の例では北京市朝陽区で1人感染者がでたら、なんとその日のうちに周辺区域の23万人全員を検査して陰性確認したとのこと。春先の武漢でも1100万人都市を封鎖して、同じようなことを行った。だから効果があった。

 

しかし、同じことを移動制限もとらずにバラバラと時間を空けてやっても全くの無意味。検査後の人との接触で、「その一瞬の陰性者(非感染者)」は、あっという間に「陽性者(≒感染者)」に変化してしまう。

この点広島県の場合、もちろん移動制限(封鎖)など取れるはずもない。時間的にも、

「県外の民間検査機関を含めて、広島県が確保している検査能力は1日最大5300件。80万人の対象者を検査するにはかなり時間がかかることが予想される。」(前記記事)

とのこと。時間がかかればかかるほど、「一瞬の陰性者」が「陽性者」に変化するチャンス(機会)が増してしまう。

 

つまり、空間的な移動の自由があり、被検査者が狭い時間幅で同時に検査を受けられないことによって、

①「一瞬の陰性者」や感染者が相互に移動自由であることにより、陰性者が検査後どこかの場所で感染者に出会って感染してしまうという大穴

②感染者が検査を受けるまでに時間がかかることにより、その感染者が既に検査を受けて「一瞬の陰性者」と判定された者に出会って感染させてしまうという大穴

が空いていることになる。

 

いわば、側面にも底面にも大穴の空いたバケツ、感染拡大防止には何の意味もないのだ。

感染者が混じった水をすべて汲み出そうと、大穴が2つ空いた穴あきバケツでいくら水を組んでも、水は穴から漏れ出すだけ。

 

こんなことは少し考えれば容易にわかるが、この愚行を続けているのがニューヨーク州。

1日あたり5万件もの検査を行い、現在の累計は2845万件!人口が1945万人なので、ちょうど1.5倍の検査を行っている。

人口が281万人の広島県に当て嵌めれば421万件もの検査を既にこなしているのだ。

ところが昨日の陽性者数はなんと2万177人。日本全体が6591人なのでニューヨーク州だけでその3倍。

大規模無差別PCR検査に感染拡大防止効果などまったくないのは火を見るより明らかだろう。

 

効果がないだけでなく、心配されるのは社会の混乱。

今のCt値が高いPCR検査では、感染力を失ったいわばウイルスの残骸しかないような方も拾ってしまうので、感染防止の意味では本来不要なクラスター対策が多く取られることになり、陽性判定者の周囲で不要な検査・隔離・営業停止が相次ぎ、社会に混乱がもたらされる。保健所の業務もパンク寸前となり、本来やるべきことが逆におろそかになる。

7月の沖縄県で実際に起きたことだ。

 

以上のとおり、感染防止対策として無意味なだけでなく、害さえもある、大規模無差別PCR検査。

しかも、費用は巨額。仮に1件1万円として、80万件であれば80億円にも昇る。

それを知事のポケットマネーで、あるいは県の財源だけでやるなら、その知事を選んだ県民の民意なので致し方ない面もある。しかし、報道によれば「予算を確保するため、国に支援を求めていく。」(スポニチ)とのこと。

国が予算措置を行うことは適切でないことは明らかだ。