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アドバイザリーボード・分科会と感染研は信頼に足るのか?

また、私にとってショックな事実が明らかになった。

このところの行政(含む各都道府県知事)や国民の最大の関心事は「変異株」。

 

なぜ、関心を持つかというと、「変異株は重症化し易い」とマスコミが盛んに煽っているから。変異株の感染力が増大していることに争いはなく、感染者数が継続的に増えれば重症者も死者も当然増大するが、それでは当たり前。マスコミは盛んに「変異株は別もの」「若い世代も重症化」とそれ以上に煽りまくって国民の恐怖をつなぎ止めようとしていることは皆さんご存じのとおりだ。

 

ところが本場イギリスではハンコック保健相が当初から「重症化しやすいという証拠はない」(テレビ朝日)と話していたということだし、直近に発行された権威ある「ランセット感染症」には同様の解析結果を記した論文が掲載され、海外のメジャー通信社もこれを報じている(ロイター)。

 

そして、日本でもっとも変異株の割合が高く、既に従来株から置き換わったとアドバイザリーボードが評価(第33回、資料1・3頁)している大阪府の直近の数字を見ると、ランセット感染症の論文と同じく、重症化リスクが増大している傾向は見受けられない。

 

大阪府は第1波から第4波まで、年代別重症者数を正確に発表している(1波・2波:第27回新型コロナウィルス対策本部会議(資料1-5・P30),3波・4波:第32回新型コロナウィルス感染症対策アドバイザリーボード(資料3-5・P21))。

これらを元に第4波の重症者化割合と、それ以前を比較したのが下記グラフ。

以前も紹介したとおり、第4波は、全体の重症化率はそれまでの波より僅かながら低下している。

また、各世代とも抜きん出て高い第1波を除いて第2波・第3波と比較しても、20〜59歳の数値は若干上昇してはいるが、20〜39歳は0.1%、40〜59歳は第2波より0.4%、第3波より0.9%の増加に過ぎず、大差は無い。

 

ところが、この資料を示して5月12日の衆院厚労委員会で尾身会長に「変異株の重症化根拠」がどこにあるのかを尋ねたところ、尾身会長は、

 

「たしかこれは大阪の正式なプレゼンテーションがあって、〜、変異株の五十歳代以下の人たちの重症率が、それ以前と変異株のというので明らかに増加したという、これが国内で、我々が、一番大阪が変異株の割合が多いということで、そのことは、少なくても国内でのしっかりとしたエビデンスというのはあるので、〜我々はそう解釈
をしました。」とのこと。

 

そのレポートとは、厚労省に確認したところ以下のもの。

(厚労省Webより引用)

 

尾身会長の「しっかりとしたエビデンス」とは、一番右の「【再掲】変異株陽性者」の数字である

「全陽性者に占める割合3.5% 40・50代の同4.2% 60代以上の同11.6%」

を指しているのだろう。

その数字であれば、第3波の

「全陽性者に占める割合3.2% 40・50代以上の同1.9% 60代以上の同8.8%」

と比較できるような差はある。

しかし、その数字は第4波の全数の数字と差があり過ぎないか?特に重症者数の2/3を占める60歳以上でその差は顕著。

大阪府では既に8割以上が変異株に置き換わったと言われているのに。

勘が良い方はすぐにピンとくるだろう。重症化率に限らず、統計的に数字を比べるのであれば、抽出する数字が同じ条件で揃えられなければならない。

 

上記の各数字で重症化率算定における第1〜第4波の数字の母数は、大阪府で普通に行われているPCR検査で陽性となった陽性者。機器により差があるが最大45までのCt値での判定。ウイルス量が極めて少ないものも母数に含まれている。

 

一方、変異株陽性者とは、変異株以外も含む全陽性者中から一定割合を抽出して遺伝子解析されて変異株と特定されたもの。そして、その抽出は無作為になされるものではなく、

「ウイルス量が少ないと解析を実施できないため、ウイルス量が多い検体(Ct値3
0以下)を抽出し、国立感染症研究所にて解析を実施」

したものなのだ。

つまり、変異株であっても当然存在するはずのウイルス量が少ない検体は変異株集団では母数から除かれてしまっているのだ。

 

ウイルス量が多ければ必ずしも重症化する訳ではないが、ウイルス量が少ないものがカットされるだけで重症化率は当然低下する。疾患としては治癒しているがよく言われるウイルスの残骸のようなものが残っているだけの陽性者が排除されるからだ(なお、抽出条件は都道府県によって異なり35や38のところもあるとのことだが、いずれにしろ一般的な陽性判定よりも低いCt値だ)。

 

驚くことに、厚労省に問い合わせたところ、アドバイザリーボードも分科会も感染研もその事実を知っていたとのこと。

 

そのような、思いっきりバイアスがかかった集団の解析でもって「国内でのしっかりとしたエビデンスというのはある」と尾身会長は答弁しているのだ。

 

問題なのは尾身会長だけではない。

つい最近、感染研が「変異株の届出時に重症であるリスク1.40倍」との分析結果を発表している(「日本国内で報告された新規変異株症例の疫学的分析(第2報)」。そして、これを早速マスコミが「変異ウイルス 重症化リスク1.40倍 報告書まとめる」と報じている(NHK)。

勿論、マスコミも感染研も、抽出に際して比較に不適当な条件が付せられていたことには全く触れていない。

 

これほど世間の関心が集まり、政策の中心課題となっている「変異株」の病態に関する不正確な見解の公表。

こんなことでアドバイザリーボード・分科会や感染研、そして尾身会長の言が信頼に足りると言って良いのか?大いに疑問を抱くのは私だけではないだろう。